命のつながりー山内寿美展

くるくると巻かれたひも状のものが納められたものはへその緒なのだそうです。

新しい生命体は次の世代に受け継がれていくことを表しています。

ほとんどの素材は科学的に合成されたものを使っていますがこのシリーズでは「へその緒」はウール綿に大切そうに置かれています。

このウールという素材に山内さんの気持ちが込められているのです。
「へその緒」ということはこの生命体は動物として成長する。

生命への畏敬の念、慈しみの気持ちを込めて動物性繊維であるウールという素材にこだわりました。植物の綿ではなくウールしかも原毛に近い素材を選んだと言います。

さあ、山内作品のバックボーン的ストーリーをブログで紹介するのは今日で終わります。
会期も前半はちょうど今日で終わりますが、いよいよ後半は[inside]の解明に入っていきます。

内臓ー山内寿美展

海洋汚染物質を内胞した新生物に血が通い生命体として内臓もできていった。

この4点は個展会場全体の中でちょっと異色な色使い。

アクリルボックスの中には虹色に反射するフィルムやフェイクダイヤが光を孕む。その多くは合成繊維でできたフェイクシルクの布で覆われ透けて見える。

ほとんどの生物の内臓は直接見ることはない。
見たことのないものや見る機会の少ないものに対して人間は少し及び腰になる。

この作品の前で少し腰が引けるような気持になる人は多いのではないだろうか。それは、この作品が内臓ということだけなのだろうか。

そして、きらりと光るモノたちは美しい、のだろうか。

 

 

積層ー山内寿美展

海洋汚染物質を取り込んで生物が生まれ、それが進化していく。
今までになかった細胞の重なりが新たな生物となる。

皮膚の断面図を目にすることがある。
そんなイメージでこのシリーズは生まれた。

細胞の重なりを標本にしたかのような作りだ。

新しい生物の美しい細胞。
その重なりもきっと美しい・・・はずだ。

たくさんの汚染物質はほぼ石油精製物。
それを内胞した生物は美しくだけでなく最強だ。

内胞ー 山内寿美展

山内寿美さんが今回の作品群を作るにあたって最初のシリーズを「内胞」と名付けました。

解決のつかない海洋汚染。
海をきれいにするどころか汚染は止まらずどんどんひどくなる一方だ。

ある時山内さんは、生物は環境に合わせて進化するのだから汚染物質を取り込む進化もあっていいのではないかと妄想したのです。

赤い点は血液が流れていることを表しています。
酸素と水が生命を生み出したように、汚染物質を取り込んで生命体として成立した証なのです。

随分ノーテンキな発想だと思っている方もいらっしゃることと思います。
この話にはまだまだ先があります。
結論ではありません。そもそも結論は無いのかもしれませんが、この展覧会が終わるまでには作品への筋道が分かるようにしますのでお付き合いいただきたく思います。

山内寿美展[inside]

昨年3月から地球レベルで大混乱を引き起こしたコロナ禍。
誰もが絶望に陥った瞬間でもありました。
プリズムも営業自粛を強いられ自分自身がどう生きて行っていいかわからなくもなりました。そんな時安達真由子さんが「世の中で必要としているマスクが足りないから作品を作るつもりだった布でマスクを作りました。ファッションデザイナーだからできたこのマスクをプリズムはギャラリーとして発信してください」と背中を押さたのです。その一言がきっかけで「win the virus展」をネット上だけで展開しました。それに賛同したお客様作家の皆さん、これはもうアートのコミューンでした。そんな作家の1人に山内寿美さんがいました。

彼女もコロナ禍に少し心が沈んでいた時、こんな時こその作品を作ることでだんだん元気を取り戻すことができたのです。

作家は作品を作ることでしか立ち直ることができない。
山内さんはもっとも健全な方法で自分を取り戻したのです。
もともとここ数年海洋汚染をテーマに作品を作り続けていたのでその考えにそってコロナ禍持捉えていきました。

以下彼女のテキストを載せますので、作品鑑賞の手掛かりとしていただければ嬉しいです。

[inside]   山内寿美展

コロナ禍の中、進化へ、美の妄想。

ここ数年、アクリルボックスの中に様々なミクストメディア(複数の制作技法を組み合わせる手法)を構成した[inside](ヒトの内側)シリーズを制作している。
当時、海洋プラスチック問題が浮上した頃、様々な対策がとりいれられたものの、人体に入り込む有害物質を完全に排除するのではなく、いっそ取り込んで進化したら・・・、それは醜悪でとても美しいだろう、という妄想からはじまった。
そして現在、未知のウィルスに人類は脅かされ続け、ついにはヒトの心も蝕んでいく。
はたして進化はただの妄想だったのか。
それでも作り続けなければ、どうにかなりそうな心情のなか、目に見えないものへの恐怖、畏怖、そして、同じく目に見えないものへの想いや祈り、そんなものがないまぜになった作品群を、まさに、このコロナ禍たっただ中、発表する。

Goki & Artists 2021 Autumnー最終日

「Goki &Artists 2021 Autumn」は本日最終日です。

天候不順にも対応できる服は最強。
Gokiの機能美はこんな時にも発揮できるのだと確信しました。

次回は9月16日(木)から山内寿美さんの個展「insaide」です。
環境汚染問題に端を発しコロナ禍をどう乗り切るかを制作を通して独自の世界観を考えました。それはすべて作品に込められた思いとなっています。
強い気持ちを持って臨んだこの個展を多くの方に観ていただきたいと思っています。

バランスをとるーGoki &Artists 2021 Autumn

Gokiの服は身長165cmを目安として作られています。
155cmの人や170㎝の人はGokiを着ることができないのでしょうか。そんなことはありません。その人のバランスで着ればいいのです。

少し小柄なはまださんに着ていただきました。
165cmのひとならひざ丈のチュニックかワンピースとして着ることができるトップスに短丈で裾が少し絞ってあるパンツを合わせて丈とボリュームのバランスを取ってみました。トップスが無地なのでテラコッタ色がちょっと目に入りすぎます。ベージュにネイビーの線で抽象的に見えるけど実は植物柄に目がいくようにパンツをコーディネートしてみました。
小柄な方にはパーカータイプも目線が上に行くので特に後姿はすらっと見えます。

テラコッタのトップス。170㎝の方なら、細身のパンツのほうがバランスがいいかもしれません。せっかくの足長をあいまいにしないほうがかっこいい。

みんな同じは素敵じゃない。
自分の個性を生かしたコーディネートを心掛けたいものです。

あと3日ーGoki &Artists 2021 Autumn

いよいよ会期もあと3日となりました。
たった10日で随分秋めいてきました。

秋になってくるとどうしてもブルー系の色が寒々しく見えてきます。
ギャラリー内も茶系になってきています。

グレイはこういう季節の変わり目には便利な色です。
正面のグレイ地に水玉のブラウスにベージュのパンツを合わせましたが、真夏ならブルー系を合わせたいところです。

持っている服をできるだけ長く着る工夫のポイントの1つに色があります。
正面のコーディネートに茶系やオレンジ系のアクセサリーやスカーフを合わせればさらに秋らしくなります。

そして水玉のブラウスの中に秋らしい色の長袖Tシャツを重ねれば10月の半ばまでは十分活用できます。是非お試しください。

ブルゾンはいかがーGoki &Artists 2021 Autumn

今朝は随分冷え込みました。
そして昼前からの雨で一段と秋が深まった気がします。

こんな時に活躍するのがブルゾン。
今日ご紹介のブルゾンはポリエステル100%の薄くて軽くて雨に強い今日のような日にはぴったりです。

少しオーバーサイズなデザインは今日のように中はTシャツ1枚の時も、少し厚手のスエットやセーターに羽織るにも便利です。

オーバーサイズでしかもAラインなのでジッパーのハードさを少し抑えてくれるのも嬉しい工夫です。

谷口広樹さん逝く

今日は残念なお知らせをしなければなりません。

8月30日、谷口広樹さんが旅立たれました。
未だに信じられません。

数日前にしかるべきところから第一報が入ったのですが、電話連絡だったこともあり悪い冗談かもしれないとも思ったほどでした。しかし残念ながらこれは本当のことだった。北海道での講義中に大動脈乖離を起こして帰らぬ人となっていまったということでした。

プリズムでは「Goki &Artists 2021 Autumn」に作品を展示していたところでした。この前の展覧会「小さな絵の展覧会」にも出品してくださっていました。

谷口さんはプリズムにはなくてはならない作家のだったのです。
昨年の個展では、会期が始まってから東京に緊急事態宣言が出て、急遽名古屋入りの取りやめました。それを大変悔しがっていらっしゃいました。来年の個展は新作を展示すると言ってくださっていたのに。そうそれは、訃報の電話が届いた前日に届いた「小さな絵の展覧会」の関連のお手紙に書かれていたことでした。

谷口さんとは30年以上前からお付き合いいただいておりました。
個展は何回開いていただいたでしょうか。いつも真摯に作品に向き合う姿勢があの素敵な絵になっていたのだと思います。

凄く繊細なのにどこかちょっと見る人を和ませてくれる優しい絵。
もう新作を見せてはいただけないのですね。
残念でなりませんが、私たち以上に谷口さん自身が一番残念なのかもしれません。

少し落ち着きましたら、プリズムの所蔵している谷口作品を皆さんに観ていただく機会を持ちたいと思います。

谷口さん、本当にありがとうございました。

合掌