御囲章木版画展ー最終日

「御囲章木版画展」本日最終日です。

冷静さが必要な彫り進めですが、この激しい作風。
御囲さんの本質がちょっとだけ見えたような気がします。
だからこそ、目が離せないなとも思うようになりました。
多分2年後に次の個展を見せてくださると思いますが、とても楽しみです。

次回の展覧会は2020年最後の展覧会。
12月4日(金)から「 X’MAS ARTIST SHOP 2020」です。

集いの形ー御囲章木版画展

遠目で見るか、近くで見るかで見え方が違う作品です。

それは御囲さんの狙いだったそうです。
写真では遠目に見たときの効果が大きく見えるようです。
黒い幹の木にモリモリした葉が生い茂っているように見えませんか?
もしかしたらそうは見えないのか。
これは私の見え方でしかないのかもしれません。

では近くでどう見えるのか。
私の見え方では、幹が見えなくなるのです。草が生い茂っている草叢だけが何株か見えるだけになってしまいます。

違って見えることを楽しむ。作家も観客も。

私の喜びー御囲章木版画展

御囲さんにとって今回の個展作品の中で一番気に入っているのはこの作品だそうです。これは最後に刷り上がったのだそうですが。

最後に刷り上がった作品が一番良いと思えるのは作家にとって個展を開催する最高のできということになるはずです。

しかし、これが一番と思った端から「ここはこうできたのではないか」とか「なぜこうなってしまったのだろうか?」「こうすれば良かったな」など、100点が一気に減点されてしまうのだそうです。

もちろん買ってくださる方もいて、自分の手を離れることになるのに自分の力に対して失礼がない程度のできではあると自負はあるのだけど。

御囲さんは個展開催中の営業時間はずっと在廊しています。
お客様がずっといらっしゃるわけではないので、誰もいない時間は自作との対話の時間になります。
作家というのは自作に対して本当に謙虚です。どんな大作家でも、いつも「まだ足りぬ、もっと精進せねば」と思うものだとか。だから自作との対話はほとんど駄目出しということになるのでしょう。これはなかなかに厳しい時間のはずです。それがあるから作家としての成長があるのだとしたら、これは大切な時間。私はそっと作家の横顔を見入るのみです。

協調しながらの主張ー御囲章木版画展

御囲さんのモチーフは確かに植物由来です。形はね。

この作品は、ある時他人と一緒にあることをやらなければならなくなりその話し合いの過程でその瞬間を俯瞰的なビジュアルにしてみたらこんな感じかなと思ったことから生まれました。

一人一人が考えていることは違うのだけど、1つにまとめるためにそれぞれがお互いの考えを絡めていく。そしてうまくいけば最後1つになっていく。この作品はまとめようとしている心の動きが面白いなと思ったのだそうです。

話し合いをしている時には意見がぶつかったり、相手との違いに引いてみたり・・・。個のエネルギーは吹き上がる時もあり、押さえる時もあり・・・。

炎のような、植物の成長のような独特な形。
人の心とは気づかなかったけれど、この作品が生まれたエピソードを聞くと、だから「協調しながらの主張」なのだと納得しました。

 

はち切れんばかりー御囲章木版画展

右が版木で左が作品です。

この版木1枚で作品を制作していくのですが、版木は最後の色を入れた版しか残りません。この作品だと、最後のこげ茶の版ということになります。

版木を何度も彫って刷るを繰り返すのに、気持ちの勢いが変わらないことの凄さ。
御囲さんは最後まで変わらないという自信があるものしか彫り始めない、と言います。そのくらい自身がそのアイデアが刷り上がったところを見てみたいということなのでしょう。

最後の版だけ見ると、そんなに緻密なことしてるって思えないな。そんなこと言ったら、御囲さんに叱られそうです。「だから最後の版ってカスみたいなものなんですよ。見てもらってもね。と言ったじゃないですか。」その意味がわかってきました。

制作の情熱は人知れず。
出来上がった作品だけがものを言う。
それでも版木の存在は知りたいし、見せたいというプリズムのわがままを聞いていただきました。

 

暇をたしなむー御囲章木版画展

個展2日目から昨日4日目までに、ブルーピンク系グリーン系オレンジ系の3種の色の作品を紹介してきました。今日はモノクロの作品です。

4月の終わりに自粛生活を言われました。
御囲さんは自宅からアトリエに電車で通勤していたので、その日から自宅に籠ることにしました。しかし、今回の個展が決まっていたので、制作の手を止めるわけにはいきません。最低限の道具や画材を持って自宅制作に切り替えたのです。

彫り進めという技法なので、彫って刷る。版木と彫刻刀とインクが必要です。
たくさんの色のインクを持ち帰ることができないので、黒とグレイだけを選びました。前からモノクロに挑戦してみたいという気持ちもあったのでいい機会と捉えたのです。

今日の作品は初めてのモノクロ作品です。

色を使わず色を見せる。色に頼らない。
それは勇気のいる挑戦だったことでしょう。
だけど、これは力強く手ごたえのある仕上がりとなりました。以後6点のモノクロ作品を制作しましたが、どれも評判上々です。
力強く見えるのは、彼の生き方を反映しているのだと思っています。

我こそはー御囲章木版画展

御囲作品の色にいくつかのパターンがあります。

この作品のように、黄色・
オレンジ・茶色が最もポピュラーな組み合わせです。実はスパイス的な色も入っているのですが、基本は3色。

スパイス色を入れて、4回彫って4回刷る。順番は、黄色→オレンジ→スパイス色→茶色。

奥行きも広がりも、この組み合わせのこの順番ならもう自在に表現できるのではないでしょうか。

できる絵は勢いよく成長する植物。

緻密に忍耐強く制作しているのですが、冷静なだけではないこの勢いにも驚きます。

#御囲章
#ギャラリースペースプリズム

春から夏へー御囲章木版画展

御囲章さんの作品はほとんど植物由来のモチーフです。その植物たちは実在に極めて近いものからそうでないものまで様々なのだけど、共通しているのは生命力。どれももりもり成長しているのです。

この生命力というか成長の様、ゴッホの絵にも見られます。糸杉やアイリスや植物ではないけど髭。
ゴッホにあるものと同じものを御囲作品に感じます。

成長には誰か容易に止める事ができない力があります。ジャックと豆の木やトトロの木に魅かれるその力が彼の作品にも見えます。

#御囲章
#ギャラリースペースプリズム

熱を争うー御囲章木版画展

今回の個展で一番大きい作品です。
サイズは92×60センチ
これを彫刻刀で彫って刷るわけですが、原寸大の下書きから刷り終わるまで、約1ヶ月かかるそうです。

掘り進めという技法は、全く修正が効かないわけではありませんが大きな方向転換はできません。

エスキースの段階で大きな作品にしてみたいという思うことがあるそうです。何よりも作家本人が長い時間をかけても完成した作品を見てみたいという気持ちが制作に向かわせるのだとか。その思いがあれば、「一ヶ月かかる」ではなく「一ヶ月かかってたんだな」になるそうです。

当然大きくしたくなる作品というのは、御囲さんの気持ちの期待感も大きく制作している時間は気持ちが高揚しているといいます。

長い時間をかけて修正がほとんど効かない作業を緻密にこなしていけるのは、自分だけが表現できる世界観を持っているからに違いありません。

その世界観について始まったばかりの個展期間中に探っていきたいと思います。

御囲章木版画展ーいつもどおり

一版多色刷り「彫り進め」という技法で木版画を制作する御囲章さんの個展です。

完成形を念頭に置いて計画的に制作をすることが特徴のこの技法は多くの作家さんたちが時々にアイデアを変更するのと違って修正が効かないという制約が作家仲間からも驚異と言われます。

その上写真からもわかる様に、絵そのものがかなり緻密という彼の独自性が超絶技巧と驚かれます。

この技法そのものが彼の作品の精神性の要とも言えるのではないでしょうか。

「いつもどおり」というサブタイトルは時代を表しているのか。
少しずつ毎日の News(ブログ)で書き留めていきたいと思っています。

会期中ほぼ毎日御囲さんは在廊します。