林孝子雅羅素展ー最終日

「林孝子雅羅素展」は本日最終日です。(午後5時まで)
来年この時期にも孝子さんの個展を予定しています。是非お楽しみに。

次回はプリズム夏の一大イベント「小さな絵の展覧会2024」を7月28日(日)から8月25日(日)まで開催します。名古屋の暑い夏を乗り切るために会期中月火曜日を休廊とさせていただきます。

孝子さんの「いいよぉ!」ー林孝子雅羅素展

孝子さんにいろいろなことをお願いすることがあります。そんな時孝子さんは「いいよぉ!」と言ってくださいます。その声がとても軽くて明るいので大好きです。

人生の大先輩ですからお願いすることに無理があってはいけないなと思っているのですが「いいよぉ!」と言ってくださると本当にお願いしてよかったと思うのです。

先日も秋の企画をお願いしたところ「いいよぉ!」と言ってくださったのでその言葉が好きだとお伝えしました。「断ったらそれで終わってしまうけど、いいよぉ!と言ったらそこから始まるじゃない。そしたら素敵なことに出会えるかもしれないでしょ。だからいいよぉ!って言うの。秋の企画だっておもしろそうじゃないの。」

何に対しても面白いかもしれないと思うこと。大事だと思う。相手が信頼できる人や物事であることは大前提だけどね。

幅広い作品たちー林孝子雅羅素展

林孝子さんの個展を観にプリズムに行くという意識を持って会場に入ってくださるにもかかわらず「この展覧会は何人の作家が出品されているのですか?」と何度質問されたことか。「個展ですから林孝子さんお一人でこの作品を制作なさったのですよ」と答えるとみなさんびっくりなさいます。

食器からオブジェ壁面の半立体作品・・・。
確かに作品の幅は広い。
それだけでみなさん圧倒されるようだ。

そしてその作品の1点1点がとにかく力強い。
どれも生命力が溢れている。

この壁面の作品群もやっぱり端材で作られています。中には磨きをかけるためのごみ(ガラスの粉などを処理する素材)も炉に入れればガラスの成分を含んでいるので面白い形になります。それも作品の一部にしているものもある。どんな小さなものにも命を吹き込んでいく孝子さんの物に対する愛は素晴らしい。

オブジェー林孝子雅羅素展

板ガラスを切って重ねて炉に入れてオブジェにしました。

700℃800℃という温度をかけるのだけどたった20℃の差くらいでエッジのでき方が変わるのだそうです。炉に入れたら温度を落として冷めてしまうまで炉の中を見ることはできません。炉のどこに入れたかでもできは違うと言います。孝子さんがOKが出せるのは5点に1点くらいなんだそうです。

このオブジェをクロワッサンみたいだと言う方がいらっしゃって、「それ作ってみたい」と思うのが孝子さん。
キャドで設計してクロワッサンを作ってみようと86歳の孝子さんは言いました。間もなく70歳の私はタジタジな気持ちになります。いやいやタジタジになっている場合じゃない。

 

始まりは・・・ー林孝子雅羅素展

林孝子さんがガラスで作品を作り始めたのは間もなく50歳になろうとしていた頃でした。それまでしてきた仕事がひと段落したのを機会に、ガラスの加工が家業なのだからもっとガラスのことを知ろうとガラス作品を作る勉強を始めたのです。

夏だけではありますが、月曜日から金曜日までガラスの学校に行って勉強をし、金曜日の夕方から自宅のある岐阜に向かい日曜日の夜まで家業の仕事をし、日曜日の夜に東京に向かう。仮眠をとって月曜日の朝からはガラスの学校で勉強をする。それを3年続けた。長野の学校も行きました。

ガラスと言ってもいろんな種類がある。吹きガラスやステンドグラスやパートドヴェール・・・。

孝子さんが制作しているのはヒュージングと言う技法です。板ガラスを炉で溶かしてくっ付けて制作していきます。
孝子さんの家業は板ガラスの加工です。建材のガラスなので廃棄する端材の単位が大きい。廃棄されたガラスを材料に作品にするならヒュージングはぴったりだったし、性格的にも他の技法よりそれが良かったのだそうです。

ガラスは再生可能な素材です。
それなのに捨てられることも少なくありません。ある時ある建物を取り壊すことになりそこに使われていたクリスラスガラスのタイルも廃棄処分されることになっていました。それならばともらって帰って作品にしていったのです。

そうやって廃棄ガラスで作品を作ってもやっぱりその端材が出る。
最後は小さなアクセサリーを制作する。
建築資材を加工する炉で小さなアクセサリーを作るのは案外大変なんだそうだけど、それでも最後まで何かに作ってあげたいと思うのが孝子さん。ガラスへの思いの深さが素敵です。

林孝子という作品ー林孝子雅羅素展

あんまり他人の年齢のことを書くとお叱りを受けるかもしれませんが、御年86歳の林孝子さんは今まで出会ったことのないタイプの人でした。

好奇心の塊のような人とはよく使われる言葉ですが、その範疇を越える人です。
これどうなっているの?どうなっていくの?
こうやったらもっといいのに。だったら私がやる。・・・・・

いつも頭はフル回転。

だからこそのスイカ皿。
孝子さんは発明家ではないから便利グッズを作っているわけではありません。
西瓜を最後までお皿の美しさを保ったまま食べたいという気持ちがあのお皿を作らせた。

たくさんの作品を作りながら楽しい場所には神出鬼没。夜中まで遊んでいても次の日朝早くから別のところにいたりする。
本当に作品作っているのかと軽く疑う人すらいるくらい。

ある日「孝子さん疲れませんか?」と聞いたことがある。しばらく考えてそれから「疲れたことないわ」と。

もうその生き方が作品。林孝子という作品だと思う。86年かけて作り上げてきた立派な作品。かっこいい。

今日は孝子さんのことを書くから孝子さん自身の写真を撮らせてほしいと頼んだら顔の前に自分の作品を持って映ってくださいました。キュートでチャーミングな孝子さんのガラス作品と林孝子本人はこの写真のようにぴったり重なるのです。

会期中毎日孝子さんは在廊しています。是非ご本人に会ってほしい。だって林孝子という作品なんだから。

七夕短冊ー林孝子雅羅素展

ギャラリーの天井から素敵な短冊が下がっています。

新暦の七夕はもう終わりましたが、七夕祭りが盛んな地域では旧暦で開催することもありますし、名古屋あたりで有名な一宮の七夕は今月末だそうです。

林孝子さんガラスの短冊を作ってくれました。
涼し気です。
短冊には願いを書きますがガラスに書くことはできないのですでに縁起のいい言葉がガラスで書いてあります。その文字は日本に5000年前からあったと言われている龍体文字で書かれています。
*龍体文字に興味がある方は是非調べてみてください。

笹は無くてもガラスの短冊をだけ飾るのも大人な七夕になりますね。

 

木葉皿ー林孝子雅羅素展

長い方が15㎝弱の木葉皿。
色とりどりなのが可愛いお皿です。

水ようかん・フルーツ・プリン・アイスクリーム・・・夏用の取り皿として・・・

食欲の落ちる夏もこのお皿があれば楽しい宴が始まります。

本日(7月13日午後5時)林孝子ギャラリートークを開催します。
予約不要・入場無料です。是非お出かけください。

 

スイカ皿ー林孝子雅羅素展

スイカがおいしい季節です。林孝子さんはスイカが大好き。
「スイカは好きだけどお皿にスイカの汁がたまるのが嫌なの。それで汁が下のお皿に落ちるようなスイカ皿を考えちゃった。」って。
お皿の上にざっくりした網目状のお皿を重ねて使うことを考えました。

自分が快適に暮らすデザイン。
孝子さんらしい!

孝子さんはスイカ皿として作ったけどご来場くださったお客様方は「お蕎麦やおそうめんをを盛りつけたい」とかそれぞれの一番を考えてくださいます。これがまた楽しい時間になるんです。

1セットは2種類の皿が重なっているのですから、2つに分けて使ってもいい。どんな使い方をするかお持ちになっている方が工夫すればいい。「スイカ皿」と名付けたけれどお皿のオーナーの使い方がその人にとっての大正解。

 

林孝子雅羅素展ー夏の器、スイカ皿など

昨年に引き続き2回目のプリズム展になる林孝子雅羅素展です。

夏といえばスイカ。
今年はスイカ専用皿が新登場です。

その他にも全部違う色の木葉皿約30枚も楽しい。

もちろん楽しい大皿・額に入ったガラス・オブジェなど林孝子ワールドがいっぱいです。

7月13日(土)午後5時からギャラリートークも開催します。(予約不要・無料)
林孝子さんは会期中ほぼ在廊します。天候などで急遽不在のこともありますので是非会いたいという方は在廊をご確認ください。(052-953-1839)