「高北幸矢鉛筆画展」は本日最終日です。(午後5時まで)
次回は1月27日(土)より「猫展28」です。
毎年大人気の「猫展」今年もたくさんの猫たちが皆さんをお待ちしています。
*月火曜休廊ただし2月12日(振休)は営業します。
正午-午後7時(日曜日は午後5時まで)
WHITE MATES bldg.1F 1-14-23Izumi Higashi-ku Nagoya Japan Phone052-953-1839
「高北幸矢鉛筆画展」は本日最終日です。(午後5時まで)
次回は1月27日(土)より「猫展28」です。
毎年大人気の「猫展」今年もたくさんの猫たちが皆さんをお待ちしています。
*月火曜休廊ただし2月12日(振休)は営業します。
正午-午後7時(日曜日は午後5時まで)
先日snsに10年前の投稿が出てきました。
10年前もプリズムは高北幸矢の個展でした。
偶々そこに写っていたのは「椿」のペン画。まあ描き方も違っているのですが、今のほうがちょっとうまくなっているような気がしました。
本人も「10年前は下手だったなぁ。」と笑っていたのであえて書きますが、60歳を過ぎても進化するんですね。それはある意味すごいことだと思う一方、進化をあきらめてはいけないということなんだとも思います。
進化を期待して描き進めたわけではない。結果的に進化した。それがなんだかいいな。73歳でも人は進化できる。歳をとると衰えるばかりと悲観的になるけれど、そうばかりでもないなと気持ちが軽くなります。
この絵だけ構図が異色です。
茎も葉もなく花だけを真上から描く。
花ばっかだねと観ていた作品たちも、実はいろんな描き方があって、それは作家のちょっとした格闘のあとだったりするのです。
格闘は苦しいのかというとそうばっかりでもなく、楽しい時間でもあるらしい。
もちろんどうにも答えがみつからずただただ苦しい時間が過ぎていくこともあります。この椿はどっちかな。
「花気配」と言うサブタイトルを付けながら、野菜も2点あります。
野菜の瑞々しさや生命力も魅力的です。
ある時魅力的な蕪に出合いました。それで描き上げたのがこの絵です。
もっと描こうと思って野菜を探したのだけれど、街で売られている野菜で魅力的なものを探すのは至難の業だった。輸送のために切りそろえられたり不自然にまっすぐだったり・・・。植物としての野性がそぎ落とされているのか、何だか個性的ではない。描きたい野菜に出会えなくて、撃沈。
野菜が描きたくないわけではないので、また素敵な野菜に出会ったら描くのだと思います。
いろいろ描いてきましたが、やっぱり「椿」
高北幸矢といえば代名詞のように「椿」ということなんでしょうか。
みなさんそれぞれの思いで高北「椿」を観てくださっているので、もう何か書くこともないです。
咲く花は「椿」であろうが桜であろうがチューリップであろうが、人の思惑や思い入れと関係はない。自然は風景でも植物でもただそこにあるだけ。
そこに思いを寄せられる人の心はなんと豊なことでしょう。
それぞれの思いで観ていただけることに感謝です。
「これって何種類の鉛筆で描いているのですか」という質問をよく受けます。
ほぼ2Bだけです。それも三菱uniだけ。Hi-uniではなくてuni。
画材って作家にとって相性だとはよく聞きますが、高北幸矢にとってもそこはとても重要なようです。
いろいろ使ってみたけどそこに落ち着いたのだそうです。
鉛筆ということで「削る」ことも重要。「削る」というより「研ぐ」というほうが言葉としてしっくりくるとか。
名古屋弁でいうところの「トッキントッキン」の鉛筆を何本も用意して「描く」というより「なぜる」ように描く。
そして、花の部分よりバックの線のほうがずっとずっと時間がかかっている。
描く人はそこを気にしてくださることもあるけれど、ほとんどの観る人はそんなことどうでもいい。観る人にそんなことを気にされるようでは、まだまだってことなのかもしれない。観る人は描く人の苦労なんて気遣う必要はないんですよ。観て楽しかったり嬉しかったり感動したりできれば、それでいい。
だけど、私はちょっとだけ暴露してみました(笑)
60歳で人生の大挫折を味わうことになる。それは突然のできごとだった。
同時期に人生初の美術館での個展のオファーを受けていたのが彼の運の強いところ。
古川美術館での個展での主役は「椿」でした。決めたときには挫折する前のことだった。それほど深い考えのもとで決めたわけではないだろうそのモチーフは結果的にその挫折から彼を救いその後の作家人生に大きな意味を持たせたのでした。
その時の展覧会はインスタレーションでした。
木を彫りだして作った「椿」はそのとき400個だったのだけど、それからいくつかの場所で展示するたびに作り続け、今では1000個になっています。
「椿」を掘り出しながら自分の中にある辛さを開放していく。
満願成就。
今ではそうやって辛さから解放された幸せを今では「椿」の絵に託す。
インスタレーションもこれからも続きます。今年は春に津島でありますのでご興味のある方は是非出かけください。
高北幸矢は長く美術大学に籍を置き教育にも携わってきました。
そういうことがこの展覧会にどう関りがあるのか。
作品を制作し続けることでしか教えられないことがある。
71回目の個展なのだから、そういうことなのだろう。
そして、物の本質を見極める目を育てることが芸大の教育の中で大切な位置を占めるとしたら、この鉛筆画は教育者としての姿勢でもあると思う。
この水仙は水仙の自然な姿ではない。でも間違った水仙でもない。作家の創造・心のありようから生まれた、多分自然界にはないであろう水仙。
大学で教えていたころはこんな絵は描いていなかったっけ。ポスター三昧だったね。
もう20年近くになりますが、在籍していた大学から地元に対するボランティアとして文芸誌の表紙を担当することになりました。
花を中心とした植物モチーフの木版画です。
このシリーズは表紙ですから優しく目に入ってくるきれいな色の作品です。
このシリーズが始まった頃からきれいな花、可愛い花を作品にすることに積極的になったように思います。
今日紹介する作品はこのシリーズの流れにある。
チューリップって春を代表する陽気な花です。そろそろ花屋さんの店先にも並んでいるかもしれません。
鉛筆だけでも十分華やかな絵です。
構図から見ると初期から制作しているグラフィック作品にも通じます。
いろんなことやってきた高北幸矢ですが、やっぱり一人の人間が紡いできた時間なのだと思います。
今回の展覧会とは少し離れます。
昨年末高北幸矢は1冊の本を出版しました。
作品制作とは違いデザインでも街のデザインに関する提言のような内容です。
大学に長く席を置いていたこともあり公共のデザインに関わることも多く、今でも関わらせていただいています。そんな中での考えをまとめました。
田舎に生まれ育ち都会へのあこがれがこういう仕事になっていったのかもしれません。ヨーロッパの大都市を中心にフィールドワークを続けていった中からつかみ取った都市景観への考え。人が人らしく心地よく生活するためのに街創りでどうかかわっていったらいいのか。
ご興味のある方は是非お読みください。この会期中プリズムでお買い上げの皆さんには消費税分だけサービスをさせていただきます。
絵と何も関係ないのかというと、同じ人間のやることですから、根幹になるものは同じなんだと思います。とはいえ随分違う世界なような気もします。