甘すぎない可愛げートライアングルミュージアム

女子は可愛いが大好き。
だからといって可愛すぎるのはちょっとねと思うのも大いにわかります。

丸襟の可愛いブラウスも渋いグレーにすると知的な辛さが漂ってきます。
さらに渋い赤の入ったブローチのチョイスはただものではない深い味わいを魅せてくれます。

まったく!
この3人の感性はいったいどこまで複雑に絡み合いながらも独特な世界観を見せてくれるのかと驚きます。
よく考えてみれば、それぞれの作品を横目で見つつ3人3様に制作を進めてきたのだからそうできるのはごく当たり前なんだと納得もしました。
3人がさらっとそれほどの議論もなくこんな組み合わせの展示をすすめていくのも驚くことではないのでした。

搬入の日までそれぞれが十分互いの作品を理解したからこその空間が今プリズムに広がっています。

おしゃれ男子も着てみてねートライアングルミュージアム

もともとふっくらさんを描いていたはまだのりこさん。
たっぷり服が得意だったHUMMINGBIRDDESIGN安達真由子さん。
合わないはずがない。

絵を観て「今回は女子向きの展覧会」と決めてしまったおしゃれ男子さんたち、それは残念な勘違いです。左のパンツは男子着用可なことをお知らせします。
たっぷりサイズで丈も長め。だから男女兼用です。女子は裾をロールアップして着てください。コケティッシュな着こなしは、かわいい。もちろん男子だってロールアップして短めに着て足首見せファッションを楽しむのは大賛成です。

このデザインは色素材違いがもう1着あります。こちらも男女兼用ですから、是非お試しください。

キーポイントは「朱赤」だったートライアングルミュージアム

お互いの進捗状況は写真の交換だけという条件で制作は始まりました。

HUMMINGBIRDDESIGN安達真由子さんははまだのりこさんの絵に使われていた「朱赤」に目が行きました。縁あって手元に来た「朱赤」の服地。それははまださんの絵の中の人物が着ていた「朱赤」のワンピースと近い色でした。その色はプリズムのちょっとクリームがかった白い壁によく映える。あのワンピースを作ろう。「朱赤」のワンピース。ワンピースは色のボリュームとしてもなかなかなものになる。

一方はまだのりこさんの手元にあの「朱赤」のワンピースはもうない。過去作品は既にファンのところに行っていまっていました。同じ衣装を着た作品を描く。ワンピース作品も数点仕上げ、その色のパンツを過去に描いたものも今回は出品してくれている。ということは以前にもこの「朱赤」はよく使っていたのに、意外なことに「この展覧会のためにいつもは使わない朱赤の衣装を着た人物を描いたのね」という人が何人もいる。ヒトが持つ印象とは面白いものだ。

そして溝渕美穂さんは、キーポイントは朱赤と見たけど朱赤を使わず朱赤をサポートする方針を決めました。溝渕さんが好きなちょっとくすんだクリーム色や黄緑は「朱赤」に合う。それだけでは物足らないと「朱赤」に合う「赤」のブローチを作る。これはなかなかの挑戦。一筋縄ではいかなかったことと思う。写真では「朱赤」よりの色に見えるがこれがなかなか複雑な色で、絵を描く人なら驚くことでしょう。

このように「朱赤」1つとっても3人がそれぞれの仕事に敬意を払って自分らしさを表現しようと制作を進めてくれたのです。
昨日舞台人のお一人がこの展覧会を観てくださったのですが、とても興味を持って観てくださいました。表現者すべての人に通じる大切なものがこの展覧会には詰まっています。これはファッションだけを観ていただく展覧会ではありません。お互いへのリスペクトと自分らしさをどう作品に生かしていくかの軌跡です。

公開制作レポートートライアングルミュージアム

5月1日(日)雨模様の日、公開制作を開催しました。
まだまだコロナが高止まりの中でしたので、このお知らせは前日にFacebookのみでいたしました。急なお知らせだったので慣れない動画配信をしましたが、これもFacebookのみだったのでレポートを書きます。

まず事前にHUMMINGBIRDDESIGN安達真由子さんがオリジナルのカットソーを作ってくれました。

そのカットソーにイラストレーターはまだのりこさんは絵を描きます。

安達真由子さんはステッチを入れていきます。

描きあがったはまださんの絵です。

縫いあがった安達さんのステッチです。

ここでそれぞれが交換して描きあがった絵にさらにステッチをいれ、縫いあがったステッチに絵を描き加えていく。

出来上がりがこの2点です。

お互いに事前の話し合いは敢えてしないことにしました。
交換してしばらくは二人とも考え込んでいましたが、アイデアが決まるとすぐに手が動き始めました。動き始めれば迷いのない仕事ぶり。この2点が仕上がるのにだいたい1時間半。こんなに短く感じた1時間半にびっくりでした。

*大変申し訳ありませんが、完成作品はすぐに売約済みとなり、現在ギャラリーに展示がありません。

公開制作のお知らせートライアングルミュージアム

明日5月1日(日)午後2時から4時HUMMINGBIRDDESIGN安達真由子さんとはまだのりこさんによる公開制作「sew&draw」をギャラリー内にて開催します。

それぞれが描いたり刺繍したカットソーを途中で交換して完成させるというライブパフォーマンスです。完成したカットソーは販売も致します。

時間は2時間ですがお客様にはこんな時期ですので全工程をお見せできないかもしれません。ギャラリー内は2年前から入場については関係者を除いて5人以内と人数制限をさせていただいています。大変申し訳ありませんがお待ちのお客様がいらっしゃる場合は在廊時間20分以内をお願いしています。ご理解ください。

*急なお知らせをさせていただいたのも感染症対策を考えたうえでのことです。

トライアングルミュージアムー服・イラストレーション・ブローチ

「はまだのりこさんが描く人物が着ている服って私が作る服とテイストが近くて、時々はまだ作品の中の服をスケッチしているんです」と
HUMMING BIRD DESIGN安達真由子さんがふと口にした一言からこの展覧会は始まりました。

絵の中の服が実物として作られていたら面白いだろうな。

「せっかく展覧会にするなら溝渕美穂さんのブローチを服に着けてみたいな」という一言もこの展覧会に盛り込みました。

ただし、HUMMING BIRD DESIGN(洋服)・はまだのりこ(イラストレーション)・溝渕美穂(ブローチ)の三人は作家なのだからそれぞれの創造性は生かしたい。絵のよう作った服やブローチも面白いけれど、それぞれの作品へのリスペクトを持って自分の世界観で作品を作ってもらったらもっと面白いのではないかとプリズムとしてのコンセプトを提示しました。

それぞれの作品を写真で見合いながら、「そうきたか、それならこうしてみよう」という具合に写真のやり取りだけで制作はすすめることにしたのです。

実物と絵の違いはそれぞれの解釈の違いでもあり、それは作家としての個性なのだと思います。その違いに面白さを見つけていただければ幸いです。

板倉鉱司鉄の作品展ー最終日

「板倉鉱司鉄の作品展ー影と曇」は本日最終日です。(午後5時まで)

親しみやすさの中に深い思いを秘めた板倉鉱司さんの世界。
2年後に続きを見せていただく約束をしましたので、待っていてください。

次回は4月29日(金)から「トライアングルミュージアム」です。洋服のHUMMINGBIRDDESIGN、イラストレーションのはまだのりこ、ブローチの溝渕美穂が今までになかった展開で作品を展示します。
4月29日(金)-5月22日(日)*月火曜日休廊
正午-午後7時(最終日午後5時まで)

空を飛ぶⅡー板倉鉱司鉄の作品展

「犬?」のような何かが空を飛ぶ。
「犬」のつもりだけど「犬」じゃなくてもいい。

「犬」より「飛ぶ」が板倉鉱司さんにとってこの作品においては比重が重い。
「鉄」という硬くて重くて冷たい(常温で)素材が柔らかくて軽くて暖かい。
板倉鉱司さんにしか作れない作品たち。

鉄板を切って溶接した作品だと先日紹介しましたが、この個展では切ったパーツを叩いて曲線を出すということもしています。それにより動きを出したことも新しい試みでした。

明日は最終日です。70歳を過ぎてまだまだ進化を続ける板倉さんをまだ見ていない方々、是非お出かけください。

月の影ー板倉鉱司鉄の作品展

「この作品1点制作するのにどれくらい時間がかかりましたか」とよく聞かれています。超絶技巧の作品ならそれもわからないわけではないのですが、そういう作品に限らず実は多くの作家さんが聞かれその答え方に困っています。

ことこの板倉作品において実際に鉄板を切って溶接をする時間なら膨大な時間はかかりません。仮に「1時間」としてそう答えたとしたら、え?そんなものかと質問者は思うだろうし、人によってはなんだ簡単なんだと思う人もいないとは言えません。

板倉作品のようにぴっちりまっすぐな線ではないし、パーツも多くないと、それを時間に換算されるのはちょっと違うなと思います。
昨日のブログでも書いたように自分の感性に合わなければ没の山ができることだってあるのだし・・・。

そして何よりもこの形に作ろうと思うまでにどれだけの時間がかかっているのか。

ある作家が「アイデアを考えるのに七転八倒するし、それを形にするのにまた七転八倒するのだけど、それが作品を通して他人に見えたらかっこ悪いよね。」とおっしゃった。
板倉作品はさらっと作っているように見える。七転八倒の後が見えないからかっこいい。だけど思い悩む時間だって、ある。

ピカソはさらさらっと描いた絵に値段をつけたら相手に「これしか時間がかかっていないのに高すぎる」と言われたそうだ。その時「この絵を描くのに自分の年齢分の時間がかかっているんだけど」と返したというエピソードがある。

制作時間にはその作家の人生時間も含まれていることを忘れないようにしたいですね。