鈴木喜家日本画とスケッチ展ー最終日

「鈴木喜家日本画とスケッチ展」本日最終日です。
スケッチの大切さがよくわかる展覧会でした。

次回は「呼応する身体ライブパフォーマンス 辻将成展」です。
ダンサーでもありアーティストでもある辻将成さん、ダンスの痕跡を作品にします。
オープニングアーティストトーク(無料予約不要)
4/18(木)午後7時から
ライブパフォーマンス(有料1,000円要予約)
①4/20(土)午前11時ー
②4/20(土)午後6時ー
③4/21(日)午前11時ー
④4/28(日)午前11時ー
⑤4/28(日)午後6時ー
予約はwithsns.prism@gmail.comあるいはメッセンジャーからでも承ります。

洗うー鈴木喜家日本画とスケッチ展

数日前の投稿で「お湯で洗うってどういうこと?」で終わりました。

「洗う」
ぬるま湯や水で本当に洗い流すこと。

洗い流して描き直すってことかな。
そういう意味もないわけではないというけれど、画面の質感を整えたり、今見えている色の下に描いた色を出したり。
それは技法の1つなんだそうです。

「洗い」の効果は計算が成り立つこともあるし、計算外のこともあるらしい。

日本画のこと何も知らなかった。もっともっと知りたい日本画。

 

春の裏磐梯ー鈴木喜家日本画とスケッチ展

今回の個展で一番大きなな絵です。

日本画独特の優しい色合いが大きな画面に広がっていて、やっと春が来た喜びが伝わってきます。

鈴木喜家さん本人は温暖な吉良吉田に生まれ育ったのですが、磐梯山の緑が萌え出す様を観てこの地に暮らす人々の気持ちが自然に伝わってこのような絵になったのだと思います。

この展覧会を観た多くの方が「優しい絵ですね。心が和みます。」とおっしゃいます。ご本人が本当に優しいお人柄なのですから絵に現れるのは当然と言えば当然です。

山が笑っています。

北の海鳥たちー鈴木喜家日本画とスケッチ展

鈴木喜家さんは10年ほど前に病気が見つかり以来お付き合いが続いています。
見つかった当時は上手に付き合うことも手探りだったし、付随してけがもありました。

鈴木さんは体格に恵まれた方で少しづつ病気が進行する中で「私はこの体格ですから大きな絵を描くのは得意だったのですが、もう大きな絵は描けないかもしれない。小さい絵なら描けるからこれからは小さな絵を描くことにするかな。」とおっしゃいました。当時、それはそれで新しい世界を描いてくださるんだろうなと 思ったものです。

以後丁寧に治療を受けリハビリを続けてこられました。

昨年の鈴木さんの所属団体「白士会」の展覧会で今日紹介しているシリーズが出品されていました。180×240㎝の大きな絵でした。力強い。そしてモノクロなのにとても明るい絵でした。制作の喜びが絵に漲っているように見えました。

このシリーズはこの光景に出会ったときに「描きたい」という気持ちでいっぱいだったそうです。

治療と感動のタイミングがベストだったのかもしれません。

また大きな絵が描けた。また描ける。

75歳を過ぎてもまだまだ新しい世界を開いていける。病を得てもなお。
絵にはそんなことも、具体的には見えないけれど、見せてくれる。

新緑のころー鈴木喜家日本画とスケッチ展

今日から「鈴木喜家日本画とスケッチ展」の後半です。
このブログでは今日から本画(完成画)を紹介していきます。

山桜が新緑の中に映えて穏やかな風景になっています。
日本画の絵具の優しい色合いが素敵です。

この絵、一度描いてから少し気になるところがあって洗って描き直したのだそうです。ほうっ?どういうことでしょうか?

本画には本画の聞いてみたいことだらけ。
明日からも楽しみです。

開田高原・夕暮れー鈴木喜家日本画作品とスケッチ展

このスケッチはなんと50年ほど前に描いたものだそうです。

制作に取り掛かるときには過去のスケッチを紐解き一枚一枚に目を通す。
随分昔に描いたスケッチでも昨日のことのようにその時の感動が蘇るときがある。スケッチを通して別の感動が蘇ったり、また新たな感動となったりする。

そんなふうに心に何かひっかりができれば本画(完成画)の制作に移行する。

過去の感動は時間を経て熟成されより良い制作の意欲になっていくということだ。

スケッチはスタートラインにすら立っていないこともあるのだから、今まで展覧会で見せたことは無かった。これは作品ではない。あくまで覚え描き。

今回なぜスケッチを見せようと思ったのか。
そこに画家としての心の動きがはっきり残っており、それを観ていただくことに意味があると意識したからだそうです。

本画にしたいと思う時とは、実はそのスケッチに現在の自分が「いい!」と感動しているときなのだから。

今日で「鈴木喜家展」は会期の半分が終わります。明日(4月9日)の定休日以降後半になります。後半は本画についてブログにする予定です。

妙高高原-鈴木喜家日本画作品とスケッチ展

「スケッチは私にとっては覚え描きです」と鈴木喜家さんはおっしゃいます。

油絵なら現地で描き上げることができますが、日本画はそれができません。
スケッチは必須だと言います。

「覚え描きといってもこんなに描きこむのですね。」とよく言われますが、ご本人にとってはそうでもないようです。スケッチで完成させてしまうと本画(完成画)を描く必要がなくなってしまうのだそうです。

現地でスケッチを描いて画室にもどると、そのスケッチから別のインスピレーションを受けてちょっと違った絵になることもあるそうです。

作家本人にとっては覚え描きのスケッチですが、観る側はまた違った視点で鈴木喜家さんのスケッチを観ます。

「この風景のここを絵にしたい」という思いを一番強く持ったのはこのスケッチを描き始めたとき。その強い思いが絵の中に見える。それが観る側の醍醐味となる。線を描くスピード・強さ・繊細さ。そこに画家のピュアな感動が現れる。

何十年も前に描いたスケッチに過去の自分の感性に感動して本画になることもあるのだろう。スケッチは画家本人にとって大切な宝物でもあるようです。

笠岳ー鈴木喜家日本画とスケッチ展

昨日紹介した黒のパステルの絵も今日紹介するいくつもの色を使ったパステルの絵もどちらも本画(完成画)のためのスケッチです。

黒は形をしっかり心に留めるための色選びなのだそうですが、色が豊かなものは違った目的があります。

外で絵を描いていると時々刻々と陽の光は変化するので目に見える風景の色も変わっていきます。色の印象を忘れないようにたくさんの色のパステルでスケッチするのだそうです。

色の入ったスケッチを描くのに水彩絵の具で描く人もいますし、色鉛筆で描く人もいますが、鈴木喜家さんはパステルで描きます。

鈴木さんがパステルで描くのは日本画の顔彩とパステルの粉っぽい質感が近いからなんです。

ここから絵を描くことがスタートします。

開田高原ー鈴木喜家日本画作品とスケッチ展

黒のパステルで描かれたスケッチです。

風景画はその場に行ってスケッチを描きます。鈴木喜家さんはこんなにスケッチも描きこんでいるのです。本画(完成画)を描くための覚え描きだといいます。そこにはその場に臨んだ新鮮な感動がありそれを本画に落とし込めるように夢中で描いたのだと思います。

この場「開田高原」に一緒にスケッチ旅行に行った絵の仲間が昨日何人もいらっしゃってこの場所のことを話していました。どの方も今そこでその風景の中にいるかのように細かくその場のことを話していました。この画面の続きの風景のことも話していたのです。それだけどの方もこの場に対する感動を持っていたからこそのことだと思いました。

その感動はきっとそれぞれ随分違っていたはずだ。このスケッチを前にそれぞれの感動を蘇らせているのだとしたら、凄い瞬間に出会ってしまった気がしました。実はそれぞれの感動に浸っていたと信じています。

 

 

はまだのりこのイラストレーションー最終日

「はまだのりこのイラストレーション」本日最終日です。(午後5時まで)
夏の「小さな絵の展覧会」や冬の「クリスマス展」「猫展」での出品も楽しみにしていてくださいね。

次回は4月4日(木)から「鈴木喜家 日本画作品とスケッチ展」です。4月5日(金)午後6時からギャラリートークも開催します。(入場無料・予約不要)是非お出かけください。