音に触れたいー小鹿アキコイラストレーション展

「触れる」は触感。だけど、五感すべてが「触れる」でもある。
「音」もその1つ。

「音」をテーマにしたシリーズが「音に触れたい」
「触れる」の世界が広がった。

それとともにストライプや市松模様を絵の中に入れ込んでいくことがこのシリーズでは他の絵と少し違います。イル―ジョンになっているのがグラフィックデザインを勉強していた小鹿アキコさんならではの表現なのかもしれません。

「音」がテーマでも登場する動物たちはやっぱり小鹿さんの大好きなちょっと珍しい魅力的なビジュアルでした。

影に触れたいー小鹿アキコイラストレーション展

子供の頃、誰もが一度は影に触ってみたいと思ったはずです。
手と手は触れることができても、あとのところはやっぱり触れることができない。

触れたくても触れることができないものがあると初めて知るのはもしかしたら自分の影なのかもしれません。

「影」
ただの自然現象としてとらえるだけでなく、心にせまったとらえかたもよくされる。この連作は少女とその影が触れられない関係であったものが仲良くなり、心の中も見えるようになる。最後影が林檎を食べてしまうのだけど、林檎は少女。食べられることは残酷なことではなく、影と少女は実は1つだということがわかる成長の物語。

影を不穏とするか自身と同体と考えるか。奥の深いシリーズだ。

時間ー小鹿アキコイラストレーション展

全ての小鹿作品はほぼ丸ペン・墨汁で描かれています。

この世界に入ってくる人はかなりの確率で「漫画家」を夢見たことがあります。
小鹿アキコさんも例外ではありません。
丸ペンは当時漫画を描く画材として一般的なものでした。
中学生の時近所の文房具屋さんで手に入れて以来ずっとこの画材を使っています。

漫画家になる勉強をしようと専門学校を考えていたけれど高校の先生に止められてデザインの専門学校に入りました。そこではいろいろな画材を手にしましたが最終的に「ペン画がいい」と先生に褒められたことで最初に戻ったのだそうです。

デザイン専門学校でイラストレーションを描くうちに自分は漫画のストーリーを追ってたくさんの絵を描くより、1枚の絵をじっくり完成させていくほうが向いていることにも気が付いたそうです。

細い線が描ける丸ペン1本で陰影をつける。
ベタ面さえも細い線を重ねて描く。
細い線を重ねることでベタ面に温かみが出る。
もちろん繊細な1本の線でニュアンスを出す。

実は丸ペンは使いこなすのが難しい画材と言われています。
中学生の頃から使い慣れた丸ペンだから小鹿さんにはこれ以上使いやすい画材はないのだろう。それでもこれからの進化も楽しみだ。

ブラックホールに触れたいー小鹿アキコイラストレーション展

昨日紹介した小鹿アキコさんの作品は「触れられる触れたいもの」、まあその気になってチャンスをキャッチすれば触れることができる「生き物」たちの絵でした。

今日は「ブラックホール」
これは現時点で触れることができないもの。理論上は存在するし存在が証明されてはいるようですが、この世にこれに触れた人はいません。見た人さえいない。

そんなブラックホールを小鹿さんの「ものがたり」はこうなる。
チョコレートケーキにブラックホールがあったなら。
人の頭にブラックホールがあったなら。
普通の歩いているそばにブラックホールがあったなら。
・・・・・

あなたならどうなると思う?
小鹿さんは絵を通して観る側に話しかけているかのようだ。

小鹿さんは触れてみたい、のだそうだ。
吸い込まれるのだろうか。どんな力で?どんなふうに?
そう思うとわくわくするのだろう。
わくわくするから彼女は絵にする。

トゲトゲ、ふわふわ、もふもふetc.・・・-小鹿アキコイラストレーション展

小鹿アキコさんは「生き物」が大好き。
哺乳類だけではなく、鳥も虫も魚も・・・、なんでも生きている者たちが好きなんです。

いろんな「生き物」に触れてみたい。見るだけではなく触れてみたい。

たくさんの触れてみたい「生き物」の中から今回は5種(1種はショウウインドウの中なので写真にはありません)を選んで描きました。

どんな柔らかさなんだろう。暖かいのだろうか。硬いのだろうか。さらっとしているのだろうか。しっとりしているのだろうか。いろいろなわくわくを持って描きました。

実際に触れてみたのは兎だけなんだそうです。
こんな触り心地だったらいいなを描きました。
小鹿さんが想像した触り心地がみなさんに見えてきたら大成功です。

触れてみたい動物たちにはそれぞれのイメージに合ったコスチュームも着せてみました。
例えばボルゾイ(犬)、ご近所にいるんだそうです。大きなお屋敷に住むその犬は高価そうなペンダントくらい持っていそうです。せっかくだから付けてみました。「ものがたり」です。

他の動物たちの「ものがたり」もギャラリーで語り合いませんか。

小鹿アキコイラストレーション展ー触れてみたいものがたり

小鹿アキコさんの個展です。
「触れてみたいものがたり」
触ってみたいもの。だれにでもあるけれど、それぞれ違ったものであるはず。
自分にとっては触ってみたいものだけど、他の人にとっては絶対に触りたくないものということも多々ある。

小鹿さん自身が触れてみたいもの。
触れれば触れられるものから触れたくても触れられないもの。

そんな様々な「触れてみたい」を絵にしました。

丸ペンで描かれた繊細な絵をみなさんの目で触れてみてください。

小鹿さんにとって実に14年ぶりの個展。
たくさんの方に観ていただきたい展覧会です。

会期中小鹿さんは在廊の予定ですが急な不在もあります。是非会いたいという方はギャラリーに連絡の上お出かけください。
052-953-1839

2023年3月23日(木)-4月2日(日)*火曜休廊
正午―午後7時(最終日午後5時まで)

Goki & Artists 2023 Springー最終日

「GOki & Artists 2023 Spring」は本日最終日です。
多くのGokiファンに惜しまれあちらの世界に行ってしまった加藤裕之さんのデザインはこれからもみなさんにお届けすることになっています。楽しみにしていてください。プリズムでは5月のファッション系のグループ展9月のGoki展12月のクリスマス展にも出品予定です。

さて3月後半の展覧会は3月23日(木)からの「小鹿アキコイラストレーション展」です。なんと個展は11年ぶりとのことです。是非ご覧ください。

DNAは受け継がれたーGoki&Artists 2023 Spring

現在Goki社では4つのブランド展開をしています。
一番上の通称「赤札」はGoki設立の時からある加藤裕之さんだけのブランド。
あとの3つはセカンドラインから分かれてきたブランドで加藤さん以外の後進デザイナーがデザインしたものです。そうは言え加藤さんを慕って入ってきたデザイナーなんで加藤さんのテイスト満載のデザインです。今まではGoki社のデザイン全部に加藤さんが責任をもって目を通し最終的なチェックや修正をして形にしてきました。

そういう態勢もこの秋冬まででした。2023年春物からは加藤さんのチェックはありません。でも大丈夫。見る限り後進デザイナーは加藤裕之のデザインDNAをちゃんと受け継いでいそうです。

加藤さんはこの世に自分の人生を余すことなくちゃんと残していったんだと思います。

「HIROYUKI KATO」の名を冠した赤札はこれからも健在です。
たくさん残していったデザインの中で人気の高いものを復刻という形で再現していくのだそうです。技術も素材も当時と全く同じというわけにはいきません。もしかしたら全然違った生地で作る服もあるのかもしれません。
それでも加藤裕之のデザインは復刻してくれるのは嬉しいことです。

プリズムはこれからもGoki社を応援し続けます。
みなさんも楽しみにしていて欲しいと思います。

「ありがとう」は加藤さんの最後の言葉だったと奥様のルミさんの挨拶状にはありました。「ありがとう」をみなさんにもお伝えすることで加藤裕之さんへの追悼のブログは終わりにさせていただきます。

美しいシルエットーGoki &Artists 2023 Spring

今年は桜の便りが記録的に早いというのにコートの写真はいかにも野暮ですが、今日の話に登場しますのでご容赦を。

今までもGokiの服は後姿が美しいと何度も書いてきました。
これは加藤裕之さんの技術力と美しさを見極める力が作り上げているのだと思います。

YohjiYamamotoでパタンナーとしてしっかり修行をされた賜物です。
デザインを正確に形にするための型紙を作るのがパタンナーの仕事です。
耀司さんが作りたい形を実現する。それができたからこそ自分のデザインも正確に形にできるのです。

そもそもどういう形が美しいのか厳しい目を持っていなければ、美しい形はできるはずもない。
絵で言えば自分の描きたい明確なイメージがあって、それを実現するために高いデッサン力を持った画家が素晴らしい絵を描くということに近い。

そして後姿。
洋服を試着するとき多くの人は前から見える部分に気を取られる。鏡の前で前姿のチェックに余念がない。後姿はどうしても無防備になる。
私はお客様のそんな姿を後ろから見ることになるのだけど、そのとき無防備なはずの後姿がGokiの服だととても美しく見えるのだ。そんなとき思わず「後姿が素敵」と言ってしまうのだけど、多くの方が怪訝な顔をされる。

上質な服は無防備なはずの後姿をちゃんと守ってくれるのだ。
それを加藤さんは人間の体のことをちゃんと計算してパターンを起こしている。
ハイブランドの厳しい修行で培われたものだ。

凝った構築的なデザインでもシンプルなオーソドックスなデザインも、美しく着られる服を作るのはきっと難しいのだと思う。

コートやジャケットではこの差が歴然と見えてしまう。
このコート、最後の1枚なのだけどスペシャルプライスでお待ちしています。

ターゲットって?ーGoki &Artists 2023 Spring

前にも書いたことですが加藤裕之さんの残した言葉としてもう一度書きます。

「Gokiの服って何歳くらいの人用なんですか?」と聞かれることが多い。
あまりよく聞かれるのである時加藤さんに聞いてみました。
「え?あまり考えたことないなぁ。着たい人に着ていただければいいと思っていたから」と。

デザイナー本人の口から答えてもらったので以後「年齢は関係ないとゴキさんはおっしゃっていましたよ」と言うことにしています。

ただ本当は160㎝以上の背丈が理想のようです。
それとて、私など大変小柄なので、自分のバランスで着ればいいと思っています。

加藤さんに会う日にはGokiの服を着ていくのですが「加藤さんの理想と違うでしょう?」と言うと「そんなことはないです。そういうバランスもありですよ。」とちょっとだけ困った顔でおっしゃるのを私は見逃していませんでしたよ、ゴキさん。

冨永愛さんのようなモデルさんがGokiの服を着てランウェイを颯爽と歩く日はなかったけれど、これからもGokiファンは増え続けるよう願ってやみません。