加藤鉦次個展ー最終日

「加藤鉦次個展」はスペースプリズムも第一会場の「ノリタケの森ギャラリー」も本日最終日です。(プリズムは午後5時まで、ノリタケは午後4時まで)

次回は「音部訓子展」は4月20日(木)ー30日(日)*火曜休廊です。

オキザリスー加藤鉦次個展

この作品が今回最後に描いた絵だそうです。

色も光も他の絵とはちょっと違った趣があります。
未来の加藤作品の片鱗なのでしょうか。

今回多用されていたオレンジが少しくすんでいるのと緑に黒が入ってきていること。そして手前の花と奥の白で奥行きを持たせること。

何か新しいことが始まる予感のある絵です。

画業50年の記念展でしたが、もちろんこれで終わりではありません。
次の50年が始まってもいるのです。

ジャルダンー加藤鉦次個展

今回の個展は滋賀県にあるイングリッシュガーデンを主にしたテーマパークを描きました。ですが、このテーマパークそのものが描きたかったわけではありません。

前にも書いた通りイタリアで見た緑があまりに素晴らしくあの緑への憧憬をここに見るのだそうだ。

齢75歳にして絵を描き始めたころのわくわく感を未だ持ち続けようとする加藤鉦次さんの画家としての生き方。まだまだ続くはずです。

今日の絵は今回のDMにしました。

東屋ー加藤鉦次個展

加藤鉦次さんの絵には緑とオレンジがたくさんあります。
この絵もそうです。

この絵は他の絵とは緑が少し違った効果を生んでいます。
空の色を見ると夕景なのでしょうか。
陽光が薄らいでいくと緑は光を反射せず濃い緑に変わっていく。
光を吸収するのでしょう。

一方東屋の屋根はオレンジ色に輝いています。

光の反射も吸収も時々刻々と変わっていくことを画家の目はどのように観ているのだろうか。

藤ー加藤鉦次個展

今年は少し早いですが藤がきれいな季節になりました。
藤棚の下で花を見上げた時の優美な情景。少し風に揺れる姿はあでやかです。

藤の花を通り抜けた風はたとえ強風だったとしても柔らかさを含み優しさに変わるよう。

今はもうないのだけど、加藤さんのお住まいのお近くに有名な藤棚があった。季節になるとそこで味噌おでんを食べさせてくれる店になるのを目当てに藤のお花見に行ったことをとりとめもなく思い出した。

花より団子な自分。あの優雅な藤の花が絵の中でちょっと悲しそうに揺れた。

加藤鉦次個展ー第一会場(ノリタケの森ギャラリー)

本日より「加藤鉦次個展」第一会場(ノリタケの森ギャラリー)が始まりました。

こちらは画業50周年の50年分を凝縮した展示です。

もちろん50年の間に描いた中のほんの部分ではありますが、50年という時間の厚みには凄味すら感じました。こちらの会場も是非お出かけいただきたく思います。

第一会場:ノリタケの森ギャラリー
名古屋市西区則武新町3-1-36 TEL052-561-7290
2023年4月11日(火)-16日(日)
午前10時-午後6時(最終日は午後4時まで)

ジャルダンのガゼボー加藤鉦次個展

加藤鉦次さんという人のひととなりは本当に正直で優しくてまっすぐな人だといつも思います。

絵に対する考え方にもそれは大いに関係がある。
前にも書いたけど、絵を描くにあたって描いてはみたけれどちょっと違うなと思うときのこと。そのこと自体あって当たり前のこと。そんな時、完全に描き直すのが多くの画家の進み方だと思う。加藤さんはちょっと違うことを発想したのも自分だし、考える時間も描いた時間も自分の中にあった時間なんだから残像のように絵の中に残すのだと言います。

1つの画面の中に変わりゆく思考をそのまま描きこむ。
最後に塗った絵の具の下には過去に自分がこれだと思ったものがある。上書きすることを否定的にとらえない。AがあったからA’ができた。言い換えるとAができたからA’に進化できた。
「あったから=できたから」と自分を解釈していくことが実に加藤鉦次らしさがある。Aも愛おしいという残像。

今日の作品は加藤さんが2番目に気に入っている作品です。
1番は一昨日投稿した作品なのだそうです。

 

ジャルダンと小道Ⅱー加藤鉦次個展

本日加藤鉦次個展4日目です。
4日目にしてやっとこの絵の上の方にあるオレンジの部分が何かがわかりました。
建物の屋根なんですね。

絵を観るときってどうしても真ん中に目がいきがちです。
この絵でいえば真ん中あたりの黒い部分を中心に観ようとしてしまう。
ここに何があるのだろうとそればかりに気持ちを集中させてしまう。
そうするとそれ以外の部分に何が潜んでいるのかつい見落としてしまう。

今日ふと作品の前を歩いていて正面ではない角度から何気なく絵を観ていると、はっきりとこの屋根の存在が見えてきました。しかし、正面に立ち黒い部分を中心に観ると、屋根が逃げてしまう。もちろん屋根を意識してみれば正面からでも屋根は見えるのだけど、これは不思議な出来事でした。

この屋根以外にもまだまだ自分には見えてこないものがあるのだろう。まだ会期は始まったばかり。じっくり付き合いたい加藤鉦次作品です。

バラとレストランー加藤鉦次個展

加藤鉦次さんの絵は不思議だ。
実際の絵と写真に撮った絵と乖離がある。

絵を描く時当然のことながら、心が揺らぐ。
描いてはみたものの、ちょっと違うなと思うことがある。
完全に違うことを消して描き直すこともできるけど、彼はちょっと違って描けてしまったものも自分だったのだから完全に消してしまわずに描き続けるのだそうです。

少し前の自分の残像が絵の中に残る。

写真は色を公平に拾うのだけど、人は目から心を通して観るので拾うところが違う。それが個性なんだと思う。あなたが見るこの絵と私が見るこの絵はきっと違う。

さらに作家である加藤鉦次さんはまた違って見えているのだろう。

「写真に撮った自分の絵は深みがない」と加藤さんは言う。
もっと迷ったり悩んだりしたところが映らないのだそうだ。

実際に見る絵はある意味少し難解で、すぐに見えてこない。だからこそ絵と対話ができる。これこそ絵を観る醍醐味なんだと思う。

 

ガゼボー加藤鉦次個展

加藤鉦次さんは画家としてスタートラインに就こうとする頃、イタリアを中心にヨーロッパを巡り絵の勉強をしました。その時に見た植物の緑が忘れられないと言います。

その緑が描きたくて今も緑の絵具を使って絵を描きます。
日本で見る植物はあの緑と違うのだけど、絵具で緑を塗ると今もあの時の色が蘇り気持ちが高揚するのだそうです。

日本ではあの色が見られないから絵が描けないと言った明治のころヨーロッパで絵を勉強した画家たちが多くいたと言いますが、加藤さんは緑の絵具で絵を描いているとそれだけであの色を見ることができるのだそうです。

それくらい強烈な色の印象。

そしてあの頃のわくわく感を今も植物を描くことで取り戻す。