ぷりてぃ地獄ー登龍亭獅篭展2

「ぷりてぃ地獄」は長い長い巻物になっています。1つ1つの絵に日付けもあります。

1つ目の絵は1月1日という日付です。
2020年6月に個展が決まっていたので、その日から毎日地獄の絵を描くと新年の誓いを立てたのです。気持ちの充実が感じられます。描いた絵は毎日Twitterに投稿もしていました。

かわいい女の子が悪いことをした人を懲らしめるという地獄です。だから「ぷりてぃ地獄」。それぞれの日付は「○○の日」と決められている記念日にちなんでいます。

順調に描きすすめていると、中国で妙な病気が流行っているらしいというニュースが流れ始めました。あれよあれよと世界を駆け巡り始めたコロナ。獅篭さんはコロナが憎くて、やがてコロナをやっつけるという絵になってきました。

2月も中旬以降になると自身の落語家としての仕事のキャンセルが毎日のように入るようになってきました。どんどん追いつめられるように精神的にまいってきます。

4月には雷門から登龍亭に変わるお披露目もあるというのに、それも危うくなってきました。獅篭さんはこの一門のトップです。自分ひとりの問題ではありません。このときの重責は想像のしようもないほどの重さだったに違いありません。

そしてとうとう3月29日獅篭さん世代には絶大な人気だった志村けんさんが亡くなりました。お笑いの大先輩でもあり神にも近い存在だっただろう志村けんさんです。本当にショックだったと言います。追悼の地獄を描き、3月31日まで描いたところで、もうこの世が地獄なんだから自分にはこのシリーズは描けないと、筆を折ったのです。

そしてその後落語も中止になり、個展も延期になりました。

そういう経緯でのシリーズです。
改めてこのシリーズを観てみると、獅篭さんでさえ「心病んでいることがわかるなぁ」としみじみつぶやいていました。

軽いタッチでくすっと笑える絵のはずでしたが・・・。

こんなところも見ていただくと共感できるのではないでしょうか。

 

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