私の喜びー御囲章木版画展

御囲さんにとって今回の個展作品の中で一番気に入っているのはこの作品だそうです。これは最後に刷り上がったのだそうですが。

最後に刷り上がった作品が一番良いと思えるのは作家にとって個展を開催する最高のできということになるはずです。

しかし、これが一番と思った端から「ここはこうできたのではないか」とか「なぜこうなってしまったのだろうか?」「こうすれば良かったな」など、100点が一気に減点されてしまうのだそうです。

もちろん買ってくださる方もいて、自分の手を離れることになるのに自分の力に対して失礼がない程度のできではあると自負はあるのだけど。

御囲さんは個展開催中の営業時間はずっと在廊しています。
お客様がずっといらっしゃるわけではないので、誰もいない時間は自作との対話の時間になります。
作家というのは自作に対して本当に謙虚です。どんな大作家でも、いつも「まだ足りぬ、もっと精進せねば」と思うものだとか。だから自作との対話はほとんど駄目出しということになるのでしょう。これはなかなかに厳しい時間のはずです。それがあるから作家としての成長があるのだとしたら、これは大切な時間。私はそっと作家の横顔を見入るのみです。

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