星滲乾不翠雨之乞ー水野加奈子日本画展

「星滲乾不翠雨之乞」(ほしをとかしてかわずのはなにあめおちるよう)
難しいタイトルです。

水野加奈子さんの解説によると
桜の花が散るころ疫病が流行るのでそれを鎮める神事「花鎮めの祭」を蛙で描き始めたのですが、龍も入れたら雨ごいの絵になった。

瓢箪も龍も蛙も水と深い関係のあるものばかり。
そして水は人が生きていくうえで欠かせない大切なものです。人だけではなく生物にとってこれほど大切なものもない。そこに疫病を鎮める祭が入っているなんてまさに現代の縁起物。いえ、現代どころか永遠の縁起物と言えはしませんか。

眠り猫ー水野加奈子日本画展

「眠り猫」日光東照宮に左甚五郎が彫ったことでも有名な題材です。
猫がのんびり眠っているのは平和であることの象徴として彫られたという説もあるそうです。平和を祈ったのですね。

このところのウクライナの人々を思うと胸がつぶれそうだという方はたくさんいらっしゃいます。水野加奈子さんもその一人。早く平和が戻るように願いを込めてこの作品を描いたそうです。
猫は雀にとって天敵の1つですがその雀が眠っている、それもお腹を上にして眠っている猫のそばでのんびりひなたぼっこでもしているのでしょうか。猫がお腹を上にしているのも危険が全くないときにしかしないことです。つまり猫も雀も全く危険が無いという絵です。

縁起絵を現代に描くとすればこういう絵かなと思い描きました。

平和を祈る気持ちはいつの時代も変わることはありません。
こういう文化が戻ってきてもいいのではないでしょうか。

「metamorphoses」は本日最終日です。
変化する展覧会と紹介してきましたが皆さんに意図が伝わっておらず、反省ばかりの最終日になりました。

「Goki」展から「春の絵」展へ1か月かけて変貌する展覧会にしたつもりだったのです。ギャラリー空間を変化させていくという試みはあまり例がありません。SNSが発達している今だから発信し続けることでご理解いただこうという実験でもあります。


初日の様子です。

 


中日の様子です。

 


そして今日最終日はこのようになりました。

初日、Gokiの服の中に絵は1点でした。
次第に服も絵も増え中日あたりから服を減らし絵をそれまで以上に増やしていきました。最終日の今日は服は1セットあとは全部春の絵です。

今年は冬が長くGokiの作品が前半に揃わなかったのも趣旨が伝わらなかった理由の1つです。秋にもう一度リベンジするかどうかもう少し考えたいと思っています。

次回は3月31日(木)から4月10日(日)*火曜休、「水野加奈子日本画展ーengimono」です。是非お出かけください。

花待ちわびるーmetamorphoses

名古屋のように雪に閉ざされるわけでもない比較的温暖な地域でも春は待ち遠しい。

そして春だよりの一番は花。
花開くことは誰もが嬉しい。

春にふさわしい絵はどんなだろうといろいろ思いあぐねるけれど、やっぱり花の絵は外せない。春の花は優しい。待ちわびていた人々の心もほころばせる。描く人だって同じ気持ち。どの絵も喜びに満ちている。

遠くを見るようにーmetamorphoses

懐かしい作品がたくさん並んでいます。

30年以上かけて集めてきた作品はもうこの世界観を作家本人も描けないだろうな。もしかしたら、ほとんどそうなのかもしれません。

あの時心を満たしていた思いは少しずつ変わっていった。
いつしか随分遠くに来てしまったなというところだろうか。

それぞれの作家どころか見る側だって同じ気持ちでは見られない。

昔読んだ本を読み返すように絵を観るのもいいものです。

そういう意味でもmetamorphoses。

変化ーmetamorphoses

会場の様子が少しずつ変わっていることにきづいていただいているでしょうか。
展示空間からGokiの服が少し少なくなっています。そして壁面の絵がその分増えています。最後までお付き合いいただければ嬉しいです。

明日明後日(3月21,22日)は休廊日です。

この展覧会は3月26日(土)までが会期です。

 

寒の戻りーmetamorphoses

日増しに日差しは力を増してきていますが、まだまだ寒の戻りがあります。
今日もそんな日です。昨日の雨で台地が冷やされたのか日当たりのいいうちの中から外に出てみると思わぬ寒さに身が縮みました。風邪でも引いたらいけません。

画面真ん中あたりに白っぽいパンツが見えていますが、これすこぶる暖かい素材で作られています。ごくシンプルなストレートパンツですが、こういうシンプルなものこそGokiの真骨頂。穿くと本当に美しいシルエットを作ってくれます。

機能的で美しい。今季お勧めの逸品です。
オフホワイトとグレイッシュホワイトの2色が現在ギャラリーにあります。追加は無いので是非お早めに。

 

ファッションは世界を変えられるーmetamorphoses

コロナに追い打ちをかけるようにまた大きな地震がありました。そして世界では悲しい戦も起こっています。どうしたら心穏やかに生きていけるのでしょうか。

コロナや地震は自然災害です、それだってもうこれ以上耐えられないと思っているのに。戦は気持ちのやり場がありません。望んでいない戦に巻き込まれるなんて不条理極まりない。

「サプール」を知っていますか?以前このブログでも紹介したし、ファンは世界中にいるのでもう知っている方もたくさんいることと思います。今日のブログ、ご存じの方はスルーしてください。

アフリカのコンゴで生まれた世界一おしゃれな男たちの集団です。
1880年代植民地の争いに巻き込まれたコンゴ人は平和への思いが強く、それをファッションと結び付けて表現するようになったのだそうです。サプールのことをもっと知りたい方は是非ネットなので検索してみてください。

ファッションに平均年収の4割も使うのだそうですが、ただおしゃれにうつつを抜かしているわけではなく平和を願う心意気がそうさせるというのです。
少なくとも日本では多額の税金が武器購入に費やされていますが、彼らから見たら馬鹿な話だと思うことでしょう。

サプールは男たちの集団ですが、サプール的な女子がいたっていいし、男女を隔てることは無いと思っています。

ファッションやアートが平和とつながらないわけはないと思っています。
楽しいことを想像(創造)するのに人を憎む暇などない。

サプールが世界中に広がることを願ってやみません。

今ファッションに求めるものーmetamorphoses

今日私のSNSにはいくつかのファッション誌やメーカーの広告が流れてきました。毎日たくさんのコマーシャルが流れてきますがいつもと違う、このところのいつもと違う印象。

なぜかそれらはメンズのものでした。それ見た!と思う方も大勢いらっしゃることと思いますが、赤っぽい茶系のチェックのスーツ、上はちょっとビッグシルエットのテーラード。下はロングのスカートに見えましたがワイドパンツだったかもしれません。ある雑誌の記事についての広告でした。メンズでスカートあるいはそれに準ずるシルエット。攻めてる。

ここ2,3年巣ごもり生活を余儀なくされてきたのでファッションなんて部屋着でいいという風潮にうんざりしていた時だったのでこれは朝から気持ちがピリッとしました。

・・・でいいんじゃない、という消極的な気持ちはほかのすべてにも波及します。ファッションは自分を奮い立たせる何かがある。イケイケの時代ならなんとなく周りにのせられて元気な服をチョイスするだろう。でも本当は今のように気持ちが沈みがちな時こそ自分を奮い立たせるべく自分らしいファッションで生きていきたい。

スカートのようなボトムスを発表したのはどのファッションデザイナーだったか確認しませんでしたが、ファッションはそうでなくてはと嬉しくなりました。きっと多くの人々の気持ちのどこかにそういう攻めの気持ちを取り戻したいという願望があり、そのデザイナーが敏感に嗅ぎ取って形にしたのだと思います。

実はもう1つやっぱりメンズのファッション広告に目が行きました。こちらはもう少しおとなしいビジュアルでした。昔のアイヴィーのようなテイストでしたが上品なカジュアルが素敵でした。

この春少しだけ攻めてみませんか。きっと心はいっぱい元気になります。