加藤鉦次油彩展ー冬野けいとう

野けいとうは春から夏の花です。
ただ強い花なので冬の初めまで咲くこともあるのです。

初冬のある日散歩していると野鶏頭の花が風に翻弄されていた。
鮮やかな色が横に靡く様に心奪われたそうです。

暖色が乏しい季節にはっとさせられた瞬間。

人にとっての瞬間は一瞬ではないことも事実です。
瞬間と瞬間の重なり合いがリアリティ。

 

加藤鉦次油彩展ー秋・小菊

多くの植物にとって秋は去り行く季節。
その季節を惜しむように小菊が咲き乱れる。
その周りでは多くの野の草はすでに立ち枯れようとしている。

画面左の花は小菊では、ない。
ヒメジオンだという。

「主役は小菊なんだけど・・・」

ヒメジオンにふと心が奪われたとして、それを集中力の途切れだとだれが非難できるだろうか。

視点が動いただけ。それは人の本質でもあるのかもしれない。

加藤鉦次油彩展ー夏・芙蓉

芙蓉の大株の向こうに実りつつある田んぼ。

夏の強い陽射しも田んぼの稲が吸収して優しい風として帰してくれる。

見渡してみると田んぼの向こうには小山がある。穏やかな里山の景色。

花を見たり、空を見たり、地面を見たり、後ろを見たり・・・。
その都度動く視点を1枚の絵にする。

「印象派の絵を観ているよう」と誰かが言った。

芙蓉の大株の横にあるのはグラジオラスだろうか。

加藤鉦次油彩展ー春ひなげし

人はある場面を見ている時、対象物に焦点が合っている時間は長いと思いますがその後ろの風景に焦点が合う時間もあるし横に焦点が合っているときもあります。焦点が動いていることに意識することはあまり無いかもしれませんが、実は動かないではいられない。

加藤さんの絵にはそういう眼差しの移ろいが描かれている。

絵の前に立って左右に動いたり、近づいたり離れたりしてみると、奥行きがはっきりしたり、ある部分がくっきり見えたり、後ろの遠くの風景が見えて来たり・・・。

写真にするとすべてが一目でわかるのが、なんだかつまらない。

加藤鉦次油彩展ー夏ジャルダン

初めに断っておきますが、この作品は写真には面白さが写りません。

とても不思議な絵なんです。
絵の前に立って、しばらく行ったり来たり、離れたり近づいたりしてみるとクリアに見える場所に出会う。ちょうど写真に写っているように見える。
この写真は正解を見せてしまっているようなものなんです。

始めてみた時、この絵は逃げると思いました。
ちょっと立ち位置が変わるとすぐに焦点が合わなくなるから。

実はこの絵だけではありません。どの絵も・・・。
そして、今回だけではありません。もうずっと加藤さんの絵はこういう表現です。揺れる絵。

不思議体験を是非ギャラリーでしてみてください。

*加藤さんは毎日在廊しています。

加藤鉦次油彩展ー春夏秋冬/日常

COVID-19により非常事態宣言が発令され、すっかりいつもの時間が流れなくなっていましたが、やっと「日常」が戻ってきました。

加藤鉦次さんの個展はそれ以前から決まっていましたが、開催ができるのかどうか直前まで決められずにいました。
幸いにも5月31日に解除ということになったので、開催という運びとなりました。

「春夏秋冬/日常」
なんとタイムリーなタイトルなのでしょう。
といっても、これは急に決めたタイトルではありません。
ここ数年日々の身近な花を描くことで時の流れを感じていたからの結果です。

世の中にどんなことが起ころうとも、桜は咲くし、ひまわりも咲く。
藤が有名な観光地に来るなと言っても人々が集まるので盛りの花を全部切ってしまったと言うニュースを見たけれど、なんだか悲しい話でした。こんな時でも美しい花は咲く。美しい花だからこそこんな時でも見たい。

そんな非日常ではなかったずっと前から、加藤さんはこれらの絵を描いていました。
きっとそんな時でも「日常」の素晴らしさを感じていたからこのテーマだったのだと思う。今現在多くの人が「非日常」の不条理を受け入れざる得終えない状況を共有しました。その直後。多くの人に共感していただけるテーマなのではないでしょうか。

解除後でもあります。多くの人が集まることがないよう、ギャラリートークは開催いたしません。また会場内、観客は3名までとさせていただいております。ご理解ご協力をお願い申し上げます。

 

百瀬博展ーgift贈りもの

2020年6月18日(木)−28日(日)*23日(火)休廊
午前11時30分ー午後7時(最終日は午後5時まで)
*18、21、22、24、27、28日午後1時から4時在廊
*密集を避けるため入場は3名までとさせていただきます。

Win the Virusー最終日

COVID-19
それはすべての人に平等に襲って来た恐怖でした。今もなお全容はわからない。
たった2、3ヶ月の間に起こったことがもう随分前のことのように思います。
気持ちはパニック映画に放り込まれたような毎日でした。

それでも緊急事態宣言は解除され徐々に日常の落ち着きを取り戻しつつあります。

「Win the Virus」展も本日最終日となります。

休業を要請され、実店舗営業ができなくなりましたが、ただただ休業することに納得がいかずアナログネットギャラリーとして営業を続けたこと。最初はこれで良いのかどうか自信もなかった。
それでも今ではやって良かった。やりきったなという爽快感の中にいます。

ファッションデザイナーの安達真由子さんが「今私はブラウスやスカートを作っている場合じゃないと思うんです。足りなくて困っているマスクを、それもこんな時だからこそオシャレなマスクを作ってみなさんに見てもらいたい。」というメッセージをいただき、その気持ちをベースにこの展覧会を立ち上げたことは奇跡に近かった。

思いのほかたくさんの反響があり、たくさんの方々に支えられ助けていただいたことに、感謝しかありません。

既に始まっているであろうコロナ恐慌の大きさは想像もできず、それを思うとまた足がすくむ思いです。しかし、多くの方の応援を糧にもう少し頑張ってみようと思います。

本当にありがとうございました。

6月4日(木)からは加藤鉦次油彩展が始まります。
いつもの個展ではギャラリートークが開催されますが、まだそれは再開できないことなど通常といってももう少し様子を見ての通常です。
これからもよろしくお願い申し上げます。