この作品はDMにも使われた今回の個展の代表作でもあります。
折りたためる衝立様(よう)の形状。
屏風ではないところが「和」ではないことを示しているようにも思える。
絵は鹿と林檎。
「鹿」はキリスト教では優しさ・用心深さなどの象徴的な意味を持っている。
「林檎」は禁断の実としてよく知られている。
そんなところからこの作品が何を語ろうとしているのかを考えてみる。
モチーフとしては極めてヨーロッパのキリスト教的ではありますが、宗教というのは集約するとキリスト教に限らず人としての生き方のあるべき方向はあまり大きく違わないのではないでしょうか。
近藤美和さんにとってキリスト教的モチーフは幼少時にドイツで生活する中で自然に触れてきたもので、そこに深い信仰心を持って描いているわけではないのだと言います。とはいえそれが示唆する教えには共感を持っているのです。
モノクロの世界は高潔で神聖な空気も醸し出す。