雨の音ー近藤美和個展

絵には少し毒がある方が魅力的。
近藤美和さんの絵には時に毒を見る。

この絵もカタツムリのぬめりを感じる。
ぬめりを排除して丸っこい可愛い部分だけを抽出したようなデフォルメーションもイラストレーターとしては可能なのだろうけれど、近藤さんはあえてぬめりを感じるデフォルメーションにしている。

ぬめりをどちらかといえば気持ち悪いと感じる人のほうが多いだろう。もちろん、そこに気持ち悪さなんて感じない人もいるのでこれは絶対的な感性の話ではない。

多くの人が気持ち悪いとか嫌いと感じることが毒なのだが。
その毒があるからこそ目が離せなくなる。毒は実は大きな魅力なのだと思う。そしてその魅力はだれにでも魅力というわけではなく、毒に当てられる人と毒の魅力にはまってしまう人がいる。これが作家にとっても鑑賞者にとっても個性なのだ。苦手と言う人と大好きという人の感性に深い溝があればるほど作品としての個性が際立つのかもしれない。

カタツムリに蔦の蔓を絡ませることでぬめりを中和させる、というか品位を高めている。

 

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