うろつき夜太ー横尾忠則の時代

「うろつき夜太」は1973年から1974年に「週刊プレーボーイ」に連載された柴田錬三郎氏の小説です。当初から挿絵担当として横尾さんと組んでの企画だったようです。その後絵草紙として豪華本としても出版され人気を得たものを1993年シルクスクリーン版画として東京青山のスペースユイから世に出されたシリーズです。

柴田と横尾は共に同じホテルに缶詰めになり相手からの刺激を受けて執筆・制作をすすめていたようです。
「夜太」のイメージを膨らますために俳優の田村亮をモデルに構想を練っていたその現場を写真に収めそれをモチーフに挿絵にしたのがこの作品です。
1970年代の横尾ポスターを彷彿とさせる色使いにあの頃の時代が持つエネルギーを感じます。

挿絵が小説のストーリーではなく、少しずらした視点で描かれたことも横尾さんらしい創造力です。それでも・・・いやそれだからこそ、「夜太」のカッコよさがグンと伝わるのです。

さぞかし熱い現場だったんだろうな。
熱い現場が横尾さんの周りにはきっとたくさんあった。そんな時代だったのを、今もこの作品が伝えてくれています。
プリズムには横尾作品が4点しかないけど。今愛知県美術館に行けば、ずっと熱く生きてきた横尾忠則の時間の連続が見える。

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