サノエミコー平田佳子博覧展

動物や植物を四角にデフォルメーションしてキャラクターデザインをしているサノエミコさんに四角いお皿に絵付けをしていただくというしゃれた企画を平田佳子さんはしたんですね。

「○○だとかわいいんやて」と平田さんに岐阜弁で気持ちを乗せてもらうと、作家さんたちはどこまでも想像の世界を飛んでいきます。

おおざる工房システム少しはわかっていただけたでしょうか。
会期は今日を含めてあと4日。
平田佳子さんの懐の深さを是非味わっていただきたいです。

今回の絵付けはあと渡辺沙恵子さんがいるのですが、現在ほぼ完売状態です。紹介できなかったことをお詫び申し上げます。

溝渕美穂ー平田佳子博覧展

「溝渕美穂さんが描く猫が大好きだから、猫多めに描いてね」とお願いしたら全部猫の絵にしてくれたのだと平田佳子さんが嬉しそうにおっしゃいました。

まずは自分が好きでなければ「おおざる工房」は成り立たない。

「おおざる工房」の企画は平田さんなのだから、彼女の中で作家の絵と相性のよさそうな器を作陶する。だからきっとなんとなくの絵のイメージもあるのだろう。まあ少しくらいイメージとずれても、それはきっと許容範囲なんだろう。

少しくらいずれるほうがむしろ楽しいと思えるから「おおざる工房」方式ができたのだと思う。いい意味での緩さが楽しさを生み出している。

陶ビーズのネックレス(シピ)ー平田佳子博覧展

このネックレスのパーツはすべて1粒1粒平田佳子さんの手によって作られています。

1粒1粒粘土を丸めて1粒1粒糸を通す穴を開ける。
書いてしまえばそれだけの工程です。
粘土を丸めるのはそれほど大変ではないと言います。実は穴を開けるのは気が遠くなるような手作業なのでした。柔らかい粘土に針状のモノで穴を開ければ針が通った先に押し出された粘土が残ります。それを取り除くとまた少し穴がふさがる。反対から針を通すと先ほどではないにしても、やっぱり粘土が残る。また反対から針をお通す。そんな作業を数回繰り返してやっとビーズ状になる。それを1本のネックレスを作るために何個繰り返せばいいのでしょうか。

雑貨屋さんなどで安価な陶ビーズネックレスを売っていることがありますが、きっと量産できるのでしょう。こんなにきれいなビーズではありません。

平田さんの制作で驚くのはこれに類する根気強い手作業。
そして、その手作業こそが平田作品の真髄。

ざっくり見える作品たちですが、この繊細さがなければできないのです。
作品に汗の跡が見えたらかっこ悪いとある作家が言っていて感動したことがありますが、平田作品はまさに汗の後を見せないクールさが隠し味になっています。

保温ボトルー平田佳子博覧展

寒い日も暑い日も保温ボトルはお出かけにとても重宝します。

平田さんも保温ボトル愛用者です。
せっかくならボトルのボディにも絵付けで描く絵と同じシリーズを描いてしまおうと、描いてみました。それでは「陶パーツ」が付けられない。ボトルにはケースがあったほうがいいしそこになら「陶パーツ」がつけられる。そんなわけでケース付き保温ボトルができあがりました。
(もちろんケースとボトルの絵は同じです。そういう訳でボトルとケースをあっちこっち入れ替えすることはお許しくださいね。)

これが大人気。

平田さんの中ではせっかくなら高い値段をお支払いいただくのは申し訳ないとの思いから、セールを探し何度も足を運んだり遠くまで出向いたり、お値段を抑える努力も惜しみません。

平田さんの絵にほっこりし、その努力を思うと、ボトルに詰めたドリンクがさらにおいしくなります。

最初に「お出かけに」と書きましたが、平田さんは仕事にかかるときにドリンクをボトルに用意し、お仕事しながら水分補給をするそうです。だからデイリーユースだとおっしゃっていました。

丹下幸恵ー平田佳子博覧展

丹下幸恵さんも「おおざる工房」初期からのメンバーです。

丹下さんも坪井さん同様なかなか大胆な作風です。
平田さんは大胆好き?!?

明るく楽しい食器たちはティータイム用にいかが?

新作ロングマフラーー平田佳子博覧展

フェルトでの作品は今までもたくさんつくってきましたが、今まで使ってきたメリノウールは直接肌に触るとチクチクすることがあります。それで首にフェルトが触れる仕様にできませんでした。

それで肌に優しいアルパカでマフラー作りに挑戦しました。
これはなかなか手ごわい。メリノウールほどまとまってくれないのだそうです。
苦心のすえ出来上がったマフラーは肌触り抜群。使うほどに柔らかさが増すそうです。

犬・猫・うさぎがいます。

首に巻くと動物の顔が下を向くことになるのですが、広げたときに動物の体と同じにしたかったのと、何よりも下を向くほうが平田さんは可愛いと思うからこのような作りにしたのだそうです。

今日お買い上げくださったお客様は長さがあるので帯揚げにしてみようと思ったとか。作家の工夫をさらに使い手が工夫をする。いいですね。

動物の目の部分はもちろん平田さん手作りの「陶」です。

坪井香保里ー平田佳子博覧展

坪井香保里さんは「おおざる工房」の初期からのメンバーです。

平田佳子さんは坪井さんの絵が大好き。
彼女の奔放な絵を自分の器に描いてほしくてメンバーになってもらったそうです。

例えば絵付けをする絵具を均一に塗らないとむらができます。これは陶芸家としては技術が低いとみなされますがそんなことを気にしていては奔放な絵は描けません。平田さんはこれを良しとしています。のびのびとした絵のほうがずっとずっと魅力的だと思うから坪井さんとのコンビが長く続いているのです。

これは陶芸の世界では異端に近いのかもしれません。プリズムはそれだからこそ面白いし多くの方々に紹介したい。

追々ほかのメンバーも紹介していきます。

シピー平田佳子博覧展

「シピ」は平田さんの作品の中でアクセサリーのブランド名です。

もともとこちらも「おおざる工房」として制作していましたが、このキレイ系の作品に「おおざる」はちょっとイメージに合わないのでブランド名を別バージョンにしたのです。

こちらのアクセサリーは平田佳子さんとお姉さまの平田小猫さんと二人で制作しています。「陶」と「フェルト」のパーツを佳子さんが制作し小猫さんがファブリックを入れて仕上げるという工程です。

「シピ」はフランス語でわがままな猫という意味だそうですが、猫好きなわがまま姉妹が作っているのでそれをブランド名にしたそうです。

丁寧な仕立てには定評があります。

雑貨を作るー平田佳子博覧展

「雑貨を作るのは楽しい。それは趣味。」と平田佳子さんは言い切ります。

実はこの言葉の中に深い意味があります。
陶芸家としてプロの仕事をするには厳しいこともあります。楽しい雑貨作りをしていると陶芸がどんどん疎かになりそう。だからこれらの雑貨には必ず「陶」でできたパーツを入れています。自分は陶芸家なのだという自戒の念を込めてのことだそうです。

楽しく作った雑貨はその楽しさが溢れているのでファンも多い。
当然売れ行きも良く私も何度か値上げの提案をしました。そのたびに「雑貨は趣味だから材料費分しかいただかないことにしています。たとえ売れてもそれは自分の中でのきまりにしています。」とおっしゃるのです。ただしパーツに使った「陶」の部分は値上げできるのならするのだそうです。

楽しく作るからこそ、いくつ作るとか、クオリティを上げなければ、といった厳しい課題は作らないでいます。作りたいものを作りたいだけ作る。だからこそこんなに楽しいものができるんですね。

おおざる工房ー平田佳子博覧展

自分の絵付けがとても気に入っているという状態ではない中平田佳子さんはたくさんの作家仲間ができました。いろいろなものを制作している仲間には絵を描いている人もいました。

こんな絵が自分の陶器に描けていたらいいなという思いから、数人に絵付けを頼んでみました。なかなかいい出来です。自分の絵で感じていた物足りなさが解決できるような気がしました。

今回のおおざる工房のメンバーは、丹下幸恵・溝渕美穂・坪井香保里・渡辺沙恵子・サノエミコ・平田小猫の6人です。メンバーは時々入れ替わります。それぞれの事情に合わせてのメンバーです。平田さんは決して無理をしません。仕事や体調・家庭の事情などできるときにできる人に描いてもらっています。ただし、自分の陶器に合うということについては自分の感性に厳しく問いかけているはずです。

このシステムにして自分は絵を描かないのかというとそうではありません。もともと絵を描くのが大好きなので、描きます。今回もいっぱいいっぱい描いてくれました。本当は「平田さんの絵が大好き」というファンだって少なくはないのです。きっと自分に厳しいだけですよね。