協調しながらの主張ー御囲章木版画展

御囲さんのモチーフは確かに植物由来です。形はね。

この作品は、ある時他人と一緒にあることをやらなければならなくなりその話し合いの過程でその瞬間を俯瞰的なビジュアルにしてみたらこんな感じかなと思ったことから生まれました。

一人一人が考えていることは違うのだけど、1つにまとめるためにそれぞれがお互いの考えを絡めていく。そしてうまくいけば最後1つになっていく。この作品はまとめようとしている心の動きが面白いなと思ったのだそうです。

話し合いをしている時には意見がぶつかったり、相手との違いに引いてみたり・・・。個のエネルギーは吹き上がる時もあり、押さえる時もあり・・・。

炎のような、植物の成長のような独特な形。
人の心とは気づかなかったけれど、この作品が生まれたエピソードを聞くと、だから「協調しながらの主張」なのだと納得しました。

 

はち切れんばかりー御囲章木版画展

右が版木で左が作品です。

この版木1枚で作品を制作していくのですが、版木は最後の色を入れた版しか残りません。この作品だと、最後のこげ茶の版ということになります。

版木を何度も彫って刷るを繰り返すのに、気持ちの勢いが変わらないことの凄さ。
御囲さんは最後まで変わらないという自信があるものしか彫り始めない、と言います。そのくらい自身がそのアイデアが刷り上がったところを見てみたいということなのでしょう。

最後の版だけ見ると、そんなに緻密なことしてるって思えないな。そんなこと言ったら、御囲さんに叱られそうです。「だから最後の版ってカスみたいなものなんですよ。見てもらってもね。と言ったじゃないですか。」その意味がわかってきました。

制作の情熱は人知れず。
出来上がった作品だけがものを言う。
それでも版木の存在は知りたいし、見せたいというプリズムのわがままを聞いていただきました。

 

暇をたしなむー御囲章木版画展

個展2日目から昨日4日目までに、ブルーピンク系グリーン系オレンジ系の3種の色の作品を紹介してきました。今日はモノクロの作品です。

4月の終わりに自粛生活を言われました。
御囲さんは自宅からアトリエに電車で通勤していたので、その日から自宅に籠ることにしました。しかし、今回の個展が決まっていたので、制作の手を止めるわけにはいきません。最低限の道具や画材を持って自宅制作に切り替えたのです。

彫り進めという技法なので、彫って刷る。版木と彫刻刀とインクが必要です。
たくさんの色のインクを持ち帰ることができないので、黒とグレイだけを選びました。前からモノクロに挑戦してみたいという気持ちもあったのでいい機会と捉えたのです。

今日の作品は初めてのモノクロ作品です。

色を使わず色を見せる。色に頼らない。
それは勇気のいる挑戦だったことでしょう。
だけど、これは力強く手ごたえのある仕上がりとなりました。以後6点のモノクロ作品を制作しましたが、どれも評判上々です。
力強く見えるのは、彼の生き方を反映しているのだと思っています。

我こそはー御囲章木版画展

御囲作品の色にいくつかのパターンがあります。

この作品のように、黄色・
オレンジ・茶色が最もポピュラーな組み合わせです。実はスパイス的な色も入っているのですが、基本は3色。

スパイス色を入れて、4回彫って4回刷る。順番は、黄色→オレンジ→スパイス色→茶色。

奥行きも広がりも、この組み合わせのこの順番ならもう自在に表現できるのではないでしょうか。

できる絵は勢いよく成長する植物。

緻密に忍耐強く制作しているのですが、冷静なだけではないこの勢いにも驚きます。

#御囲章
#ギャラリースペースプリズム

春から夏へー御囲章木版画展

御囲章さんの作品はほとんど植物由来のモチーフです。その植物たちは実在に極めて近いものからそうでないものまで様々なのだけど、共通しているのは生命力。どれももりもり成長しているのです。

この生命力というか成長の様、ゴッホの絵にも見られます。糸杉やアイリスや植物ではないけど髭。
ゴッホにあるものと同じものを御囲作品に感じます。

成長には誰か容易に止める事ができない力があります。ジャックと豆の木やトトロの木に魅かれるその力が彼の作品にも見えます。

#御囲章
#ギャラリースペースプリズム

熱を争うー御囲章木版画展

今回の個展で一番大きい作品です。
サイズは92×60センチ
これを彫刻刀で彫って刷るわけですが、原寸大の下書きから刷り終わるまで、約1ヶ月かかるそうです。

掘り進めという技法は、全く修正が効かないわけではありませんが大きな方向転換はできません。

エスキースの段階で大きな作品にしてみたいという思うことがあるそうです。何よりも作家本人が長い時間をかけても完成した作品を見てみたいという気持ちが制作に向かわせるのだとか。その思いがあれば、「一ヶ月かかる」ではなく「一ヶ月かかってたんだな」になるそうです。

当然大きくしたくなる作品というのは、御囲さんの気持ちの期待感も大きく制作している時間は気持ちが高揚しているといいます。

長い時間をかけて修正がほとんど効かない作業を緻密にこなしていけるのは、自分だけが表現できる世界観を持っているからに違いありません。

その世界観について始まったばかりの個展期間中に探っていきたいと思います。

御囲章木版画展ーいつもどおり

一版多色刷り「彫り進め」という技法で木版画を制作する御囲章さんの個展です。

完成形を念頭に置いて計画的に制作をすることが特徴のこの技法は多くの作家さんたちが時々にアイデアを変更するのと違って修正が効かないという制約が作家仲間からも驚異と言われます。

その上写真からもわかる様に、絵そのものがかなり緻密という彼の独自性が超絶技巧と驚かれます。

この技法そのものが彼の作品の精神性の要とも言えるのではないでしょうか。

「いつもどおり」というサブタイトルは時代を表しているのか。
少しずつ毎日の News(ブログ)で書き留めていきたいと思っています。

会期中ほぼ毎日御囲さんは在廊します。

 

 

Win the Virus with SNSー最終日

「 Win the Virus with  SNS」本日最終日です。(午後5時まで)

これで第3波も万全などとは決して思ってはいませんが、今考えられる対策の1つを20人の作家の皆さんと形にしてみました。

次回は今年最後の個展「御囲章木版画展ーいつもどおり」を11月19日から開催します。まだまだギャラリートークなど通常のイベントはできませんが無理のない範囲でお出かけいただければ幸いです。

ながおたくまー Win the Virus with SNS

絵本作家ながおたくまさんはニャンズのパパでもあります。

大好きな猫たちが主役の絵ですから楽しくないわけがありません。

毎年2月に恒例の「猫展」でもこの子たちがプリズムを駆け回ることでしょう。

中村友美ー Win the Virus with SNS

中村友美さんは雀が大好き。
チュンと呼んでいます。

雀は野鳥なので飼うことはできません。
ベランダで餌箱を置いてやるくらいしかできませんが、仲良くしています。

餌箱に来る雀たちの写真を撮り、絵にしています。
その絵をこうやって展覧会でみなさんに見ていただいているのです。

雀との時間は中村さんにとってとても心休まる時間でもあります。
だから見ている私たちもとても優しい気持ちになれるのですね。