on the road・・・宵ー花井正子展

クリアな色の美しさに目を奪われ、他のものが目に入らない、最初はね。

目が慣れてくると、うるさいほどに呼びかけてくる。
話しかけるというより、呼びかけてくるの方が断然相応しい。

ちょっと黙っていてくれないかなと思うほどだったのに、いつの間にか淑やかにそこに佇んでいた。

そうなると言いたいことは何だったのかと、追いかけるのはこちらの方になっていることに気がつく。

時既に遅し、か・・・。
もうこの絵は何も語っては来ない・・・。
本当に2度と語ってはくれないのだろうか?

多分数年一緒に暮らしてみてほしい。
きっとある時、突然あなたに呼びかけてくる。
饒舌な存在であることに気付く。

月光ー花井正子展

私は「光の道」と言われるものにとても魅かれます。

最近は福岡の神社のことをさすことが多いようですが、それではなく日の出か日の入りに見られる陽光、あるいは水に映る月の光。

日本では見渡す限り広大な大地というものがあまり無いので海に登る日や沈む日の煌めきにそれを見ることが多い。海なら月も「光の道」として見ることができる。

月の「光の道」にはたくさんのものが見えないだけに青白く水面に写る光は凄惨ささえ感じられる。

風景というのは不思議だ。それには意志も意図もない。それでも人はそれに感動する。月はただそこにあり、たまたまあった水に道のように写っているだけ。それなのにそこに何か意味を見つけようとしてみたりするし、力をもらったりする。

ただそこにあった「月光」を観客が自由に観ることを思い、だけど隠しきれない思いが透けて見える花井正子の「月光」がここのある。

エッジの効いた絵ー花井正子展

花井正子さんは「エッジを効かせたい」とよく言います。

この絵は私の定位置から一番良く見える作品なのですが、実に気持ちよくその「エッジ」が目に入ってきます。

空と海。山と空。光と影。昼と夜。此岸と彼岸。生と死。

分かれ目をきっぱり描くこと。

これが描けた時、彼女の中で大きな勇気が生まれるのだと私は信じている。
だから「エッジ」を描くときは一際全身全霊をかけている。

何ものにも惑わされず、描けた「エッジ」だから、観る者は圧倒され感動するのだと思う。

花井さんは土日曜日在廊予定ですが、9月30日(水)も午後1時から6時在廊することになりました。

どこへ行くのかー花井正子展

花井正子さんの作品には随分昔から「道」がよく登場する。

この「道」はどこに行く「道」なのか、あるいはどこに行ける「道」なのか。

なぜ「道」が描きたかったのか。

答えはきっとこれらの絵の中にあるのだけど・・・。

決して言わないでほしい。

ミステリーの結末を告げるほど無粋なことは無い。

そして良質なミステリーならゆっくり時間をかけて読みすすめたい。
細かいディテールの中に素敵なヒントがキラ星のごとくちりばめられているはずだから。

 

*長くこの絵たちと会話を楽しみたい方は是非ギャラリーまでお声をかけてください。電話での対応も可能です。(052-953-1839)

 

白の理由ー花井正子展

「なぜ白?」と尋ねると「虚無を描いているのだから色に意味はない」と花井正子は嘯く・・・。

彼女は「私のテーマは明るい虚無や」と関西弁で言う。
そのたびに私は彼女の言葉に欺かれているような気がして落ち着かない。

絵を描くことは至福の刻を過ごすことと言う花井にとって、彼女の手から紡ぎだされる絵が「虚無」であるわけはない。絵を描くことだけが彼女の「Shanguri-la」に行き着く手段のはずだから。

あ!
この世に存在しない「Shanguri-la」は行き着けたなら「虚無」なのだろうか。
そんな、はずは、ない、と、思いたい。

花井の描く色は「白」も「青」も「赤」も一色なのに、たくさんの何かが見える。言葉にすることはできないけれど、時にはうるさいほど雄弁だ。だからだろうか、私は「虚無」に辿り着けず、絵の前で幸せな途方に暮れる。

 

花井正子展Masaco HanaiーShanguri-la

「Shanguri-la」(理想郷)
右から3番目の絵はDMにも使った絵でタイトルはまさに「Shanguri-la」

この絵の時間は日が落ちた頃なのだとか。
少しずつ闇が世界を包む。
1日の業を終えて眠りに就く時間。休息の刻。Shanguri-la・・・。

この壁にはそんな時間の絵を集めてみました。
美しい空間です。

空の上から・・・、水平線を望んだり・・・、山の端を見・・・、月の光を眺め・・・

この壁がこの展覧会の肝と言えそうです。

花井正子さんは土日曜日在廊しますが、明日9月21日(月)午後2時からも在廊することになりました。

Goki & Artists 2020 Autumnー最終日

「Goki & Artists 2020 Autumn」は本日最終日です。

次回は9月19日(土)から「花井正子展ーShangri-la」です。

しばらくプリズムはCOVID-19の影響により、会期の設定がイレギュラーになります。「花井正子展」も通常木曜日が初日になりますが19日土曜から始まります。最終日は10月4日(日)とさせていただきますので、お間違いなきようお願い申し上げます。

Goki & Artists 2020 Autuunー変わっていく

COVID-19で自粛を言われた頃から、「ファッション業界は秋からが本格的な氷河期に入る」とささやかれていました。

この展覧会を通してそれを実感することとなり、とても悔しい思いをしています。

ファッションは他人に見ていただけることで自己表現をしていく世界です。
自粛は解除されたけれど、まだまだ旅行どこらか飲食すら春より前の状態には戻っておらず、華やかな気分で出かけるということが日常ではなくなってしまっています。

作り手がデザインした服やアクセサリーを受け手が自由にアレンジできるファッションだからこそ、ファッションデザインは誰でもがアートに関われる世界。だから、プリズムはファッションを展覧会として企画することを続けてきました。

今は「ウチで楽に着ることができる、部屋着的な物だけが細々と売れる」とファッション業界の人々は言います。かっこいい美しい服を人々は求めていません。

それでも、もうすぐ、きっと、巣ごもり生活は終わります。
来月にはFashion Crossroadも企画しています。
みなさんに素敵な提案をし続けたいと思っています。

 

 

Goki & Artists 2020 Autumnー季節は巡る

台風10号は甚大な被害をまき散らしながら、北へと進んでいます。
被災した皆様には心よりお見舞い申し上げます。

夏の暑さが格別だったための災害なのかと思います。

そして季節はまるで帳尻を合わせるかのようにある日突然変わっていきます。
もう半袖の出番も少なくなってくるでしょう。

今年はCOVID-19からも実を守らなければなりません。
早めに長袖も用意しなければね。
昨日までこのスカートには半袖のカットソーが合わせてありましたが、今日から長袖に替えました。

手持ちの服をうまく組み合わせるのはこの季節の必然です。
風邪など何があってもひかないようにご用心ください。

Goki & Artists 2020 Autumnー色が勝負

今年のように秋冬物の素材が少ないという特殊事情を除いても、この季節はとかく着る物には困ります。
よっぽどお財布の事情が許す方はまあ置いといて、季節の変わり目の気温の変化にも健康的に合わせていかなくてはいけない。見た目も大事だし・・・。

こんな季節はやっぱり羽織もので凌いでいくのが一番。

赤と青と黒で2つのコーディネートをしてみました。手前は透け感のある涼しい素材なので気温の高い日用。奥は黒のカットソーのロングカーディガンで中は青のノースリーブチュニックで、ちょっと冷えるかもしれない日用。

白っぽい色を入れてしまうと、夏っぽくなってしまうので濃い色ばかりを組み合わせてみました。