「雀が少なくなっているね」ということが中村友美さんの個展会場ではたびたび話題になります。
原因は何か?いろいろな憶測が飛びます。そのどれもが原因の1つだと思われてなりません。
雀好きの方だけでなく多くの方ができれば前のように雀がたくさんいてほしいと願っているのだということだけはよくわかります。
この作品も中村さんの願いですね。
WHITE MATES bldg.1F 1-14-23Izumi Higashi-ku Nagoya Japan Phone052-953-1839
「雀が少なくなっているね」ということが中村友美さんの個展会場ではたびたび話題になります。
原因は何か?いろいろな憶測が飛びます。そのどれもが原因の1つだと思われてなりません。
雀好きの方だけでなく多くの方ができれば前のように雀がたくさんいてほしいと願っているのだということだけはよくわかります。
この作品も中村さんの願いですね。
絵に対して技術的なことを称賛することはどこかはばかられる気がします。
プロフェッショナルのイラストレーターとは技術が成熟しているのは大前提だからです。未熟な技術でプロを張っていくのは素人に対して厚かましいことでもあるのですから。
その大前提をもってしても「うまいなぁ!」と思わず唸ってしまうことってあります。
この絵を観たとき水の表現に対して唸ってしまいそうでした。
子雀の可愛さもさることながらさりげない水輪の表現がいいなと思ったのです。
光と陰で水輪が優しく広がっていく様がいかにも子雀の頼りなさを表しています。
前にも書きましたが中村友美さんの絵はほとんどパステルで描かれています。
前回の個展はパステル画の指南書「手軽で楽しい ふわかわパステル画」(誠文堂新光社刊)の出版記念展だったのですからパステルの技術は言うまでもないことです。
パステル技術とデッサン力はさらに表現力を光らせる。
生まれたばかりの動物というのは何であんなに可愛いのだろう。
人間も猫も象も猿も。雀だって雛(赤ちゃん)は可愛い。
動物が本来持っている母性のスイッチを入れるためだと聞いたことがあるけど、可愛いと思うビジュアルは小さくて柔らかくて丸っこいという共通なものがある。そして行動がよちよちとした不完全さもある。
この子雀のよちよち感は足のあげ方に見える。
地をつかむ足もいかにもおぼつかない。
こんな子雀がちゃんと生きていけるのだろうかと心配になる。
天敵は山ほどいるだろうに。
種の保存というメカニズムの中で親雀は子育てに心血を注ぐ。
ヒトと一緒にはできないけれど、それでも生物として共通の何かは必ずある。
もしかしたらどこかに雀も人も同じ目線があるのかもしれない。
「中村友美イラストレーション展」のDMにした作品です。
子雀が成鳥になる確率がどのくらいかわわかりませんが、それでも全部が全部成鳥になるわけではないことは知識のない者にも想像がつきます。
中村さんは子雀の成長を祈ります。その気持ちが絵を描かせているのかもしれません。
どんな小さなものでもこの世に生を受けたのなら命を輝かせてほしいと願う。
毎日見るからこそ強く思うこと。
中村友美さんは雀のことを「ちゅん」と呼んでいます。
確かに雀はちゅんちゅんと鳴くと言いますが実際には「じゅっ」と鳴いたり「ぴっ」と鳴いたりするのだそうです。鳴き方を違えて雀同士でコミュニケーションをとっているのかもしれません。
中村さんにとって最愛の雀が花の中にいたらいいなと思っていたらこの黄色い花と一緒に写っている写真をみつけたそうです。この花はキンセンカでしょうか?そうではないかもしれませんがこういう場面が実際にあることを知り絵にしてみました。茶系の雀と黄色の花はよく合います。可愛さ倍増。
ベランダから見るだけでは雀たちの生態はほんの一部しかわかりませんが、他の環境の中に行ってみたり、ネットやテレビでもいろいろなことを知ります。さらなる魅力も絵にしていきます。
初夏から夏にかけては雀にとって子育ての季節。
親子の雀は気になる存在だと言います。
野生の動物は雀だけでなく厳しい環境にいるので成鳥になるのは至難の業です。
子連れの雀に会えば夏の間ずっと中村友美さんは心にかけているそうです。
親鳥とそんなに大きさが違わなくても嘴が黄色いのは子供です。
嘴は少しずつ黒くなりますし、顎のあたりの羽は白から黒に変わっていきます。
親子の暖かな空気が絵の中に溢れています。
この展覧会が始まったと同時にコロナがまた不穏な動きになってきました。
適切な行動がこの感染を広げないために不可欠だと思われます。
ギャラリーではマスク・消毒・人数制限などできるだけのルールの下で運営していますが絶対はありません。
もしみなさんがギャラリーに行くことに躊躇があるのでしたら、みなさんの安心を最優先させてください。作品は実物を見るのが一番ですがネットでの鑑賞も現状ではやむを得ないことと思います。
そしてもし作品を購入したいなと思っていただけるのならメールや電話での対応も致しますので是非ご活用ください。
withsns.prism@gmail.com
052-953-1839
毎日ベランダに来る雀を見ていると、1羽1羽見分けることができるようになります。
中村友美さんにとって雀への想いが深まってもいったのです。
羽の柄の特徴が見分けられるようになります。
そのうち個体の気性のようなものもわかるようになります。何羽かと遊びに来ると気の強い雀もいるし、遠慮気味の雀もいる。遠慮気味の雀は餌をたくさん食べていないのではないかと気にかかったりします。
写真も撮ってみようとチャレンジもしました。スマホやペット用見守りカメラで撮って見たりもしましたが、なかなか思うように撮れません。絵を描くための参考資料にしたかったのですが限界があります。野鳥を撮るには熟練の技術がいります。それで知り合いの写真家中野さとるさん村田眞宏さんに許可をいただいてお二人の写真を参考にさせていただくことにしました。(ありがとうございました)
写真を参考にしながら心の中では毎日会っている雀たちを思い描いての制作です。
この雀は寒空の中羽に空気を貯めて体温を保っています。「膨ら雀」の状態です。何だか木に雀が実っているように見えたそうです。
子供の頃から動物が大好きだったと中村友美さんは言います。
その中でも特別雀が好きだったというわけではなかったのですが、動物画の大家竹内栖鳳がいろいろな動物を飼って写生に励んだことを知り、写生の大切さを意識するようになりました。動物は好きだけど、街暮らしの中で動物を身近にすることは難しい。
しかし。
雀は毎日のように彼女のベランダにもやってくる。
雀を飼えたらいいなと思うものの、雀は野鳥なので飼うことはできません。
餌を与えることなら許されるなとベランダや廊下に餌を置いて雀に会う日々。
毎日会えば日ごとに愛おしさが増していきました。
時間のたつのも忘れてただ見るだけの日。
愛しい姿をスマホで撮影する日。
子雀が成長していく様子も知ります。
どこか不調を抱えながらも懸命に生きる雀にも会います。
寒くなれば羽を膨らませて暖を取る日もありました。
好きな動物の中の1つだった雀はいつしかかけがえのない大好きな動物雀になりました。
心にあふれる雀への愛は中村さんの生きる証である絵となりました。
雀は約50点の絵の中でも生きています。
本日「X’MAS ARTIST SHOP 2021」は最終日です。
そして2021年のプリズムの営業も最終日となります。
今年もたくさんたくさんありがとうございました。
昨年ほどではないにしても今年もなかなかの激動の年でした。
少しずつこの状況には慣れてきましたが、そうであってはいけないとも思います。
さて来年のプリズムは1月8日(土)から中村友美さんの個展で始まります。
今頃ラストスパートの最中だろうと思います。
気合十分の展覧会を是非ご覧ください。
2022年もよろしくお願いいたします。