石垣ー登龍亭獅篭展5

「石垣」・・・・何で石垣?

先日営業で石垣島に行かれた登龍亭獅篭さん。
石垣島で見た石垣を版画作品にしてみました。石垣なのだからずっと並んでいるのが本来の姿とこのように壁に立てかけて展示しています。
落語家だから堂々とダジャレの発想です。

そこを面白いと思うかはぁ?と思うか。

座布団1枚と思った方はこの展覧会が大好きになると思います。
笑いを作品にする。こんな作品だけでアートが成り立つならそれが最高なのだけど、残念ながらこの世はむしろ笑いは作品になりにくい。

たまには難しいことは無しにして笑ってみてください。

宇宙人に連れ去られたシリーズー登龍亭獅篭展5

このシリーズもシルクスクリーン版画です。

さらっとシルクスクリーン版画と書いてしまったけど、この版の作り方が驚きなんです。
普通シルクスクリーン版画の版は光を当ててインクの通らない部分の繊維を潰すことで版にするのですが獅篭さんは違いますした。インクが通らなければいいのだからインクを通したくない部分をアクリル絵の具で描いて版を作ってしまったのです。何という荒ワ・・・いえ独自性。

で、「宇宙人に連れ去られたシリーズ」ですが、年に何回か獅篭さんは記憶をなくすのだそうです。朝起きると、なぜここにいる?という日。
そんな自分を戒めるためのシリーズなんですって。
何だか落語家らしいといえばらしいのですが、ねぇ。

猫と金魚ー登龍亭獅篭展5

「猫と金魚」は「登龍亭獅篭展5」のサブタイトルでもありますが、落語の演目の1つです。

戦前の漫画「のらくろ」の作者である田河水泡の作です。
漫画家になる前に絵描きを志したころもう1つの夢である文筆家も目指していました。そんな頃大衆紙には落語や講談が掲載されており、そこに目を付けた田河は新作の書きおろしも執筆したのです。

「猫と金魚」はそんな中の一作です。
猫好きな獅篭さんがこの噺に目を付けないわけはない。

どんな噺?
可愛い猫娘がでてくるのかな?
それは獅篭さんの落語会に来ていただければ多分聞けます。

落語会は6月15日(土)16日(日)22日(日)午後6時から(5時半開場)
*2,000円 3日間5,000円
下記よりご予約の上お出かけください。
withsns.prism@gmail.com

 

「猫と金魚」登龍亭獅篭展5

6月後半は恒例の「登龍亭獅篭展」です。コロナ禍を越えて今回は5回目の開催となりました。

「猫と金魚」は漫画家田河水泡が作った落語です。
今回はこのお話をテーマにした作品だけではなく大須演芸場界隈の人々も引き続き描いています。

作品はシルクスクリーン版画が中心の表現ですが、それについても独自の方法を編み出しているのも驚きです。

今回はギャラリートークはありません。
毎年の獅篭展同様落語会(要予約・有料)を開催します。
6月15日(土)16日(日)22日(土)の午後6時開演です。是非お出かけください。予約は下記より受け付けます。*入場料2,000円 通し5,000円
withsns.prism@gmail.com

落語会の開催日と都合により6月21日(金)23日(日)は正午から午後5時までの営業となります。その他は通常の正午から午後7時までです。*火曜定休

登龍亭獅篭さんは初日と金土日曜日は在廊です。

百瀬博絵画展ー最終日

「百瀬博絵画展」本日最終日です。
明日を生きるために必死で描いた絵。たくさんの方々の心に沁みたようです。
2年後のこの季節また「百瀬博絵画展」を予定しています。

次回は6月13日(木)から6月といえばの「登龍亭獅篭展」です。
ギャラリートークはありませんが15(土)、16(日)、22日(土)午後6時(開演)から落語会(有料2000円、通し5000円・要予約)を開催します。
※withsns.prism@gmail.comからご予約ください。

時を忘れるー百瀬博絵画

今回出てきた新しいモチーフです。

今はみち代さんのことを知ると少し悲しい絵に見えますが、形としてのモチーフだそうですから仰向けに寝ている天使はこれからいろいろな展開をしていくのだと思います。

新しいモチーフやテーマも出てくるし、過去に描いて今はあまり描かなくなったモチーフをまた近頃気になっているなんていうのこともあるのだそうです。
鈴木喜家さんの個展のとき何十年もまえに描いたスケッチを前に新たな気持ちが湧き上がって描きたくなることがあると聞きました。過去のモチーフの話はそれに通じます。

たくさんのエピソードを見せてくれた「百瀬博絵画展」は明日最終日です。
長く描き続けてきた作家の展覧会是非お出かけください。

時を忘れる(2)ー百瀬博絵画展

昨日紹介した作品とモチーフは同じ構図も左右逆転はしているもののほぼ同じです。でも随分雰囲気が違います。色は少しダーク気味だし、何より天使の羽が薄くなっています。

「羽が薄くなっていますね」と言うと百瀬さんは驚いたように「本当ですね。言われるまで気が付かなかった。羽を薄く描こうとは全然思わずに描きました。このくらいがバランスがいいなと思っただけなんです。」と。

そんな会話の後全体を見回してみると近作の天使の羽が少し薄くなっていっているように見えました。ここ2年ほどの作品ばかりですがそれでも2年前より羽が薄くなっている。はっきり薄くなっているというわけではないのですが。

人の心は劇的に変わることもあるけれど、日々ほんの少しずつ変わっていくものでもあります。変わらないようでやっぱり変わっていく。

百瀬さんにとって羽は何なんだろう。モチーフにストーリーが無いと本人は言いますが・・・、無意識のストーリーはやっぱりあるのかなぁ。

一日の終わりー百瀬博絵画展

この個展で一番大きな絵です。50号。

横向きの天使の手に小鳥が留まっている。あるいは天使が手に小鳥を乗せている。天使は小鳥を見つめる。
と言うモチーフ。

モチーフ自体はここ2,3年に出てきたものです。

モチーフにストーリーはないと百瀬さんは言うけれど、このモチーフには何かある。何かあるというよりモチーフそのもにストーリーを観ないわけにはいかないという気にさせられる。

天使には緑のカバンはもちろん頭の小鳥のお面もなくなっています。
そうやって少しずつモチーフも変化していきます。モチーフの変化は百瀬さんの中にある造型性の問題だということです。

モチーフとは別に色の変化もあります。今回は黒バックが多いことも変化の1つです。黒なのに柔らかいのも百瀬さんらしい。

 

 

誰も知らない場所へ(6)ー百瀬博絵画展

百瀬博さんは大の猫好きです。お宅の猫に限るのかな。

みち代さんがお友達から譲り受けた猫2匹を「僕の方が寝心地がいいらしくて毎日一緒に寝てるよ」って。すっかり猫たちのお父さんになっています。

猫に乗っている天使が手を前にあげているのはなぜか聞いてみました。
「この姿勢でないと造形的にうまくないんですよ」
さすがにこの手には何か意味があるに違いないと思ったのですが、そこにストーリーはないというのです。

ただこの天使の顔の角度はこれしかないというところを探りに探ったのだそうです。角度が変われば絵の意味が変わるとさえおっしゃいます。

猫に乗った天使。
深読みしなくてもかっわいいたっのしい、でいいかな。

よいことがあった(2)ー百瀬博絵画展

10年ほど前の個展のとき「最後に天使が降りてきたんだ」と嬉しそうに話してくれた百瀬博さんを覚えています。

10年のうちに初めは首から下げていた緑のカバンが無くなっている。なぜかなと思っているのですが、もう個展が始まって6日もたちたくさんお話を聞かせていただいていると、どうやら造形的にカバンが要らなくなったということらしい。

今回のブログで何度も書いているようにモチーフそのものには造形的な必要性はあるけれど心情的な示唆は無いというのが百瀬さんの絵なのです。だから緑のカバンに絵のストーリーとしての意味を見つけようとしなくてもいいのだということがやっとわかってきました。

天使もそうです。天使は形としての必要性はあるのだけど10年前のあの日別の形が百瀬さんの心に降りてきたとしたらそれが重要なモチーフになっていたのかもしれません。それ本当?

それでも天使でない別の何かはありえたのだろうか?多分それはない。やっぱり天使でなければいけなかったはずです。天使の向こうにある百瀬さんの心が天使を通してしかストーリーになりえなかったのだから。

なんだか言葉遊びをしているようで申し訳ないのだけど。

悲しいことも嬉しいことも辛いことも絵の中に描きこんで塗り込んで楽しく美しい絵に仕上げることが今の百瀬博さんがしたいことのなです。