水野清波ーもう一度観てほしい、この1点。

【慈 あたたかくいのちをまもる母のちから】
漢字や短い言葉には深い意味があり
「言霊」と言われ魂を宿します。
そして言葉を形にしたのが書。
そんな「ことのは」をテーマにした個展
【告白-ことのは】での作品です。
コピーライター岩田舞海さんの言葉
「あたたかくいのちをまもる母のちから」からイメージした、「慈」(茲は増やす、心は心臓の形の古代文字)を入れ
作品にしました。
(水野清波)

漢字には意味がありその意味に沿った感情を「書」にする。
文字に対する清波さんの真摯な姿勢が好ましい。

小山剛ーもう一度観てほしい、この1点。

「古い都の王」
1977年12月、愛知県美術館で17歳の時に見たピカソ展。
自由で力強いフォルムと色彩。エネルギーで満ち溢れた画面構成。
その衝撃は、その後の人生の進路を変えてしまった。
大学卒業後は、遠ざかったり、近づいたりもしながらも、ピカソから距離を取っていた
が、あれから約50年。
今なら自分なりの、キュビズムを応用した表現ができるのではないか?
そんな思いで描いた一枚が、「古い都の王」なのです。
(小山剛)

強く魅かれた作家がいることの幸せ。
先日「日美50年」で岡本太郎もピカソに魅かれピカソと格闘した日々を語っていたけれど、そういう作家がこれからも出現してくれるのはピカソもさぞや嬉しかろう。いや嬉しくはないのかも。

はまだのりこーもう一度観てほしい、この1点。

『ききみみ』
2024年春、個展『メロウな日々』に出品したイラストレーションです。
花や動物たちのことばが聞こえる、そんな耳があったらいいなと思っていました。
その耳はとても大きくて、小さな声も拾うことができるはず。
この大きな耳に聞こえてくることばは何だろうと思うととても楽しくなります。

はまだのりこさんがこういう可愛い絵が描けるのはそういう素敵な想像があるからなんだね。花や動物はどんなおしゃべりをしているのか、みんな知りたいよね。

馬場陽子-もう一度観てほしい、この1点。

「青の余白」
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作家の頭の中のファンタジーを外(作品)に出すのはたやすい。でもそれがきちんと思うように表現できたか、と問
われると難しい。頭の中の理想に向かってどんどん創り続けていく。そして楽しみながら創ることをあきらめずに「
そうそう、創りたかったのはこれだった!」という境地にたどり着いた作品は意外と少ないのかもしれない。これは
そんな、作品。
(馬場陽子)

作家の理想は作家にしかわからないのだけど、理想にたどり着いた幸せがこの中にあると知ると満ち足りた気持ちになる。

山内寿美ーもう一度観てほしい、この1点。

「内皮」
75* 55* 4cm
ニットワンピース、ビーズ、メディウムほかミクストメディア
2025年11月の個展ではテーマを「内胞」とし、人の中身を表現しました。
長く身につけられたものには、身体の記憶や感情の痕跡が残存しているように感じます。それらを基布に、表面に
現れる球状の集合体により、今そうなっているであろう我々の「内側」を「外側」にひっくり返した様(さま)を表わし
ました。
このニットワンピースは長年愛用したもので、それがまるで自身の「第二の皮膚」として感じられ、制作に至ったも
のです。
(山内寿美)

昨年のインスタレーションを覚えている方もたくさんいらっしゃることともいます。この作品があのインスタレーションの出発点でした。大きな川のような内臓のような作品に多くの方が目を奪われていましたが、作家にとって原点の存在意義は計り知れません。

平塚啓-もう一度観てほしい、この1点。

タイトル「ブチハイエナ」
「死肉食」や「獲物の横取り」など、負のイメージが強い彼女ら(圧倒的なメス社会なので彼女ら、です)ですが、強
力な顎で動物の骨まで砕いて食べ、消化し、生命の循環の中で大きな役割を果たしています。
私は彼女らの愛らしい少し間の抜けた顔が好きで、昨年の個展の際に制作した作品が本作品です。
ちなみに「威嚇している」のか「あくびしている」のか、よく訊かれますが、どちらのつもりで制作したかは秘密です

(平塚啓)

平塚さんがハイエナに見る生命力をもう一度噛みしめてみたらきっと違った何かが見えてくるように思います。

もう一度観てほしい、この1点。

スペースプリズムは創業以来36年が過ぎました。
その間個展は一体いくつ開催したのだろうか。もうとっくに数えることすらできなくなっています。

数々の個展が終わった瞬間「何でこの作品残ってしまったんだろう」と悔しい思いを持ちこして次に行かなければならないことがしばしばありました。
いい作品だったのになぜ?
作家本人にもきっとその思いはある。もちろんプリズムと作家の思いには乖離がる。それでも心に残るチクリがあることに変わりはない。

今回そんな思いのある作品を27人の作家の皆さんに1点ずつ出品していただきました。もう一度観てほしい見どころを書いた文章を添えての展示です。
作家の思いを読んで作品をもう一度観て作家の切ない思いを絵の中に見てほしいと思います。明日からのブログにはそれぞれの作家が書いてくださった文も掲載予定です。

作家在廊予定
4/16(木)   14:00-19:00  加藤素子(加藤鉦次夫人)
17(金)    13:00-14:30  音部訓子
14:30-16:00  高北幸矢
18(土)   12:00-14:00  平塚啓
14:00-17:00  山内寿美
17:00-18:00  馬場陽子
19(日)    12:00-14:00  はまだのりこ
14:00-15:00  小山剛
15:00-16:00  水野清波
18:00-19:00  鈴木喜家
20(月)    13:00-15:00  サノエミコ
22(水)     15:00-18:00  御囲章
17:00-19:00  倉中玲
23(木)  12:00-15:00  石本真裕子
15:00-18:00  服部純栄
24(金)  15:00-17:00  溝渕美穂
25(土)     12:30-14:30  久野晴美
14:30-16:30  小山恵
*変更の場合は追ってお知らせいたします。

髙木伸彦 かけるやきものⅡー最終日

本日(4月12日)「髙木伸彦かけるやきものⅡ」は最終日です。(午後5時まで)
もう散り終わった桜は今日までプリズムでは舞っています。
来年も個展を開催予定です。夏になるか秋になるのか現在調整中です。

次回は「もう一度観てほしい、この1点。」を4月16日(木)から開催いたします。プリズムで個展を開催した26人の「この1点」への思いをもう一度観てください。

好きは大事ー高木伸彦かけるやきものⅡ

現在68歳の髙木伸彦さんは陶作家としてまだまだ駆け出しでもあります。
60歳で定年を迎えそこから本格的に勉強すべく瀬戸窯業高校の専攻科に行き見ていただくのに自分なりの合格点が出るまで腕を上げそこからの個展でした。

昨年初個展を開き今回はそれから1年3か月の2回目。
同じギャラリーで個展を開くには少し短い期間しかありませんでしたが、20代で始めた作家とは違い少し急ぎ足での開催はやむを得ないことです。

そうは言えこのお歳のほとんどの方がそんな無謀なことやろうとは思わないのではないでしょうか。定年後に学校に行くと言えば、よくそんな気になるなと返されたそうです。

還暦を過ぎてから次のステージに作陶を趣味ではなく作家として目指したいと考えた髙木さんの心がすでにアーティスティックだなと感動しました。
そして何より学校に入るまでの40年以上展覧会を膨大に見続けてきた髙木さんの作るものに興味津々。

想いと手のギャップもきっと面白い作品になるのだろうとの期待を裏切らない展覧会になっています。

3回目もすでに視野に入れているそうです。

形ー高木伸彦かけるやきものⅡ

桜の花びら1つとっても、角度を違えてみれば違った形が見えてくる。
モチーフは桜の花びらだからこそその見え方の違いを作品化するにあたり研究し尽くす。

自然が全てを教えてくれると工芸の作家もアーティストも時々語るのを耳にすることがある。

高木伸彦さんも自然観察をよくしていると言います。
だからこそ知る形の変化。

目で見たものを作品に落とし込んでいく醍醐味は作家のみが知る。