
生き物たちは地面にいるばかりではありません。
水辺にもいます。
蓮とメダカ。
メダカが泳ぐそばには散った花びらがある。
当たり前の光景はかけがえのない「静穏」
いくつもの負が教えてくれた大切な一瞬。
こんな様子を中村理恵さんはいつまでも見ていられると言います。
心がどんどん静まっていく時間。

WHITE MATES bldg.1F 1-14-23Izumi Higashi-ku Nagoya Japan Phone052-953-1839

生き物たちは地面にいるばかりではありません。
水辺にもいます。
蓮とメダカ。
メダカが泳ぐそばには散った花びらがある。
当たり前の光景はかけがえのない「静穏」
いくつもの負が教えてくれた大切な一瞬。
こんな様子を中村理恵さんはいつまでも見ていられると言います。
心がどんどん静まっていく時間。

ある日散歩していた中村理恵さんは団栗が芽を出しているのを見つけます。
その芽は団栗の落ち葉がいっぱいの地面から生えていました。その落ち葉の下には芽が出なかった団栗もあるでしょう。団栗だけではなく小さな虫たちも生きているに違いありません。
そんなことを考えていたら、生き物の営みは繰り返されると言いますが、全く同じストーリーを辿るわけではないし、少しずつ違った営みがあるはずだと思いが巡りました。
そんな思いを絵にしてみたいということから生まれた絵です。
「輪廻」
大きな流れとしては繰り返されるのだろうけど、全部同じではない。かけがえのないその営みは尊い。
胡粉を使い葉っぱを半立体にし箔を載せて丁寧に描き上げていく。
手のかかる技法で仕上げられた絵です。
地面に降り積もった乾いたあるいは湿った葉っぱの表現も見てください。
その下にもきっと団栗があると想像した中村さんの思いが見えるでしょうか。

山内寿美展「内胞」
2025年11月20日(木)-30日(日)*火曜休廊
正午-午後7時(最終日は午後5時まで)
アーティストトーク
11月22日(土)午後6時から(ギャラリー内)

X’MAS ARTIST SHOP 2025
2025年12月4日(木)-12月25日(木)*12月9日(火)16日(火)休廊
正午-午後7時(日曜日は午後5時まで)

石川真海きものクリエイション5Uniqueness(個性)
2025年11月7日(金)-16日(日)*火曜休廊
正午-午後7時(日曜日は午後5時まで)
11月7日(金)午後 coccoワークショップ(要予約)
キッチュなパーツを組み合わせて根付帯留めブローチを作ろう
参加費2000円(予約先withsns.prism@gmail.com)
11月13日(木)午後2時~ 林孝子ワークショップ(要予約)
ガラス作家林孝子さんが作ったパーツを自由に組み合わせて作る帯留め
*帯留めはペンダントとしても使えます
参加費2500円(予約先withsns.prism@gmail.com)

日本画の学生だった頃キャンパスに生えていた烏瓜の実を初めて中村理恵さんは見ました。なんて美しい色の実なんだろうと感激したものです。
以来ずっと中村さんの大好きな烏瓜の実。
花も素敵だけど、実の色の美しさは格別。絵にあの美しさが出せただろうか。
烏瓜の周りにアリンコが群がるのも自然の中の真実。
中村さんの絵には昆虫を初めとした小動物がたびたび登場します。
あちらの世界に行ってしまった人が自分に会いに来てくれているというのはたまに聞く話ですが、そうであったらいいなとも思うのだそうです。
そんな「再会」もあるのかもしれない。それは願いでもあるのだろう。
「よき便り」

花の持つ生命力に圧倒される。それを描きたいと中村理恵さんは思う。
花が咲けば受粉して実がなり、次の世代が育ち始めるのだから、そこに生きる力を見るのはとてもよくわかる。
ただの美しさではなくそこに命が繋がっていく力の気を花の周りのボワッとした表現で描いてみる。
この絵の前で涙を流した人がいた。
この絵に花が持つよい気が込められていたということにほかならない。

植物が大好きな中村理恵さんはその周りにいる小さな動物たちも大好きです。
共存している姿はみんなみんな大好き。
ある日中村さんは「紅カミキリムシ」に出会います。
きれい!かわいい!とウチに連れて帰りました。
調べてみるとこの虫は栗の木が好き。
それなら栗の葉っぱと一緒に描いてみよう。
栗の葉っぱを食べたかもしれないから、虫食いにしてみよう。せっかくなら自分好みの素敵な虫食いの跡にしよう。
そうやってこの絵は出来上がりました。
動物も植物も精一杯生きている姿は愛おしい。
「紅カミキリムシ」はこの後逃がします。
カミキリムシが飛ぶときどんな儀式があるか知っていますか?気になる方は是非動画を調べてみてください。なかなかユニークなんです。もちろん中村さんに教えていたんですけどね。

中村理恵さんは植物が大好きです。
子どもの頃から「大きくなったらお花屋さんか絵描きさんになりたい」と言っていたそうです。どちらも実現させてしまったのですが。(お花屋さんで働きながら今ではフラワーアレンジメントの講師としても活躍しています)
どんな時も緑がそばにあれば生きていけると思うほどです。
記憶が飛ぶほどの時期にも植物は身近にあった。
なんでこんなに緑が好きなんだろうと考えてみる。
植物の生命力を感じると、自分の中にも生きていこうという力が湧いてくる。
何かの加減で緑からしばらく遠ざかると緑のそばに行きたいと切実に思うそうです。緑が無い生活は中村さんには考えられない。
植物が持つ生命力を絵の中に描きこみたい。
どんな辛い時も自分を奮い立たせてくれた緑の力が描けたらいいな。描きたいな。それが中村さんの絵を描き続ける理由。
「夏水仙」
これも彼岸花の仲間です。
なぜこの種類に魅かれるのかなと、今は想いを巡らせているところです。
いつかその答えにたどり着ける日が来ると私は信じています。答えが出るまでたくさん彼岸花の仲間を描いてほしい。絵描きさんは描くことでしか答えにたどり着くことはできないし、それが一番いいのだと思っています。

「刻」
この個展のDMに使われた絵です。
20年以上前に、実は正確にいつ描かれたか不明な絵です。
中村理恵さんは年齢的に記憶が曖昧と言うわけではないのです。そこには深いわけがあります。この絵を描いた前後10年、それ以上に時間が経っているのかもしれませんが彼女にとって大きな出来事それもあまり嬉しくないことが起こりました。そのころの記憶が飛んでしまうほどの出来事が約10年の間に2回も起こった のです。理不尽な別れ。
彼岸花を描き始めてこの花には「再開」と言う花言葉があることを知りました。
この絵は二枚で一対です。二枚の絵は繋がっています。そしてなんと左右を入れ替えても繋がるように描かれています。写真の並びだと2匹の蝶はそれぞれ反対を向いていますが左右を入れ替えれば向かい合います。
理不尽な別れはいつか「再開」する。
必死になって夢中になって描き上げたこの絵のたくさんの記憶はほとんど飛んでしまった。でもこの絵があったから生きてこられた。これからもこの絵とともに中村理恵さんは絵描きとして生きていきます。
そういうわけでこの絵は非売とさせていただきました。
*理不尽な別れについての具体的な質問はSNSでも会場でも一切お受けできませんことをご承知おきください。その経緯(事情)は中村さんの絵の本質ではないとプリズムは判断しています。