奏楽堂ー小山剛アクリル画展

名古屋の方にはよく知られていますし、前回の朝ドラでもたびたび登場した鶴舞公園の奏楽堂です。明治43年に建てられましたが昭和9年の室戸台風で崩壊し平成7年に復元された名建築の1つです。

よく知られた場所ですが何だか違和感がありませんか?
周りの木々を描きませんでした。
小山剛さんは今回の風景画を白昼夢のようにしたかったので他の建物も、以前紹介した豊橋の名建築「公会堂」も周りの木や建物を排除したのです。気配の手掛かりを消す。

建物だけを取り出したような絵。
現実にはあり得ないのに、そこにあるもの。そこにあることは現実。
この絵に何を見、何を感じるか。小山剛が投げかけた問いに答えても答えなくてもいい。彼は投げかけてなどいないのかもしれない。

銀河ステーションを夢見るー小山剛アクリル画展

今回の小山剛さんの個展は「アクリル画展」と銘打っていますが一部クレパスを使用しています。

この絵は一番クレパスをたくさん使った絵です。
ベースはアクリル絵の具で描かれていますがその上からほとんどの表面はクレパスで描かれています。

アクリル画と言っておきながらクレパスを使うことに特別問題はありませんが気になるところではあります。クレパスを使う理由も聞いてみました。
「アクリル絵の具はあまり伸びがよくなくて下の絵具との馴染みが油絵具のようではありません。その点クレパスは油絵具に似た伸びがあり色と色を馴染ませたいときには使います」と。

乾きの早いアクリル絵の具ではできないことをそもそも乾き具合などないクレパスで補う。

小山さんもサクラクレパス派だそうです。そもそもどうやらクレパスはサクラのオリジナル商品のようですね。

冬を駆けるー小山剛アクリル画展

洋画家小山剛さんはほとんどの絵をアクリル絵の具で描きます。洋画家がほぼ油絵具を使う中で少し異色の存在かもしれません。

なぜアクリル絵の具を使うのか?
油絵具も使っていたけれど、小山さんが中学生の時出会ってしまったアクリル絵の具は当時夢の絵具と言われていました。使い方によっては水彩画のようにもパステル画のようにも油絵のようにも描けるという触れ込みでした。

50年近く前のことです。
当時は「夢の絵具」と言われながら開発途上で不備もあった。
それでも開発は日々続けられ、今では随分「夢」に近づいています。

あんなに夢中になってアクリル絵の具の使い方を研究した日々。
自分ほどアクリル絵の具の進化を見続けたものはいないだろうという自負のもと、今でもというか今はというか使っているのです。というのはやっぱり油絵具で描いていた時期もあるから。

人によっては絵具をランク付けすることもあります。日本画の絵具を頂点に油絵具・アクリル絵の具・パステル・水彩絵の具・・・。
それも小山さんにとっては片腹痛いこと。絵具に優劣などない。
もし表現の上で油絵具に叶わない何かがあるとしたらそれを克服すべくアクリル絵の具の使い方を考えればいいし、アクリル絵の具でしかできない表現を追求するのもいい。

小山さんにとって今回の個展のタイトルに「アクリル画展」と入れたのには大きな理由がありました。

「人類の歴史の記憶」を大作に描きこんでいる小山剛さん。
小品に描かれて人物にも通じるテーマでもあります。

目から入る情報が頭に蓄積される。
描かれている人物の目にはその手掛かりになるのかと思われる何かが描かれています。そう思うと目のに映っている何かが気になって仕方がなくなる。

「人類の歴史」といっても大上段に構えた歴史の大きな流れと言うものだけではなく、ひっそりと生きてきた人々の歴史もあろう。それだって「人類の歴史」だ。だからこの目に映っている何かは誰もが知っている何かとは限らない。それでもその「記憶」はその人にとってとても大事な何かなのに違いない。

「記憶」は具体的なものもあるし、抽象的なものもある。
具体的な出来事やモノの場合もあるし、抽象的な感情のこともあるだろう。

人物の目から目が離せない。

時の積層を見つめる人ー小山剛アクリル画展

小山剛さんが所属する公募団体「新制作」での展覧会ではここ数年このシリーズを出品しています。メイン中のメインとなる作品です。大作でこちらも100号で今回の出品作品中最も大きな作品です。

人物画
人類の歴史が人の頭の中で記憶として残っているならというイメージで描かれた絵です。
人一人の記憶だって膨大なのに人類の記憶の積み重なりとなれば小山さんが一生をかけて描いても描き切れない膨大なテーマでもあります。

人が生きている。生きていた。生きていく。
人であることを意識した時から始まる大命題を小山剛的に絵で表す。

公会堂-小山剛アクリル画展

風景画
小山剛さんにとってはメインテーマではないものの大切な画題。

人物画がメインであり、人物画に対しては「戦う」という意識がある。
真っ向勝負の厳しい気持ちの中で自分の絵に対してそう簡単にOKは出せない。考えに考え抜いたうえでの制作。ある意味手あかがいっぱいついた領域なのだそうです。

一方風景画は絵を描くことが好きだと意識し始めた中学生の頃から得意であり、教科書で知った遠近法など研究してうまくいったときの喜びはとても新鮮だったと言います。絵が上手だった子供の多くが経験することでもあるかもしれません。

メインである人物画を描いていてともすると重くなってしまう「絵を描くこと」
風景画を描くとあの頃の新鮮な気持ちが蘇るのだそうです。

そうするとまた人物画に対して新たな気持ちで取り組める。
小山さんにとってどちらも大切な領域ということです。

ここで1つ面白エピソード。
今回の個展の作品25点の中の1点に「prism」という文字が隠れています。
探し当てた方には何かほんのちょっといいことをプレゼントします。

FACE(F6)ー小山剛アクリル画展

人物(顔)と風景で今回の小山剛さんの個展は構成されています。

人物は学生時代からずっと追っているいわばメインテーマです。
人物と言うモチーフから小山さんが何を描こうとしているのか。それは生命です。「いのち」とは何か。どんな意味があるのか。自分にとって、他者にとって。身近にあるのにとてつもなく深い。

描いても描いても描き足りない何か。見ても見ても完全には見えてこない何か。

描けば見えてくるのか。見えてくるはずだ。でもまだ見えきってはいない。

小山剛アクリル画展ーいのちの息吹

洋画家小山剛さんのアクリル画の展覧会です。
プリズムでは初めてですがもう個展の経験も豊富な画家さんです。

人物画と風景画で構成された個展になっています。
なぜ人物と風景なのか?そこには作家にとっての必然性がありそうです。

11月1日(金)午後5時30分からギャラリー内にてアーティストトークも予定しています。(予約不要・入場無料)是非こちらもお出かけください。

その他作家在廊予定は下記のとおりです。
10/31,11/2,3,4,7,9           12:00-19:00
11/1,6,8                            16:00-19:00
11/10                                13:30-17:00

*火曜定休

御囲章木版画展「なんとかなってる」ー最終日

本日「御囲章木版画展ーなんとかなってる」は最終日です。(午後5時まで)
2年後2026年10月に次の個展を予定してくれています。「なんとかなってる」はその後どうなっていくのかみなさんも楽しみに待っていてください。

次回は10月31日(木)より洋画家小山剛さんの個展「いのちの息吹」を開催します。11月1日(金)午後5時30分よりアーティストトークも開催します。(予約不要・入場無料)是非お出かけください。