強くありたいー御囲章木版画展

「御囲章木版画展よくあること」のDMに使われた作品です。

作品が伝えることを中心に書いてきましたが、今日は御囲さんの技法について書きます。今までの個展でも毎回書いてきたことなのでもう十分ご存じの方は今日のブログはスルーしてください。

御囲さんの作品は木版画なのだけど、一版多色刷り(彫り進め)という技法です。一般的な木版画は色数だけ版を作ります。4色なら4枚版木を彫るということです。「彫り進め」は版木は1枚。4色であっても1枚。たとえ10色であっても1枚です。

この作品は黄色・水色・青・黒がかった青の4色のインクを使うのですが、まず黄色分の版を彫ります。彫りあがったら黄色のインクで刷ります。刷り上がったら黄色分の版木に水色分を彫ります。彫りあがった版木で水色を刷ります。紙の上では水色の下には必ず黄色があるということになります。青・黒がかった青も同じように彫って刷ります。黒がかった青のインクの下には黄色・水色・青のインクが重なっているということになります。最終的に見える色はそれぞれの色の重なりによりもので、4色以上に見えるのは御囲さんの計算でなりたっている結果です。

なかなか複雑な作業のように思いますが、もう30年もやっているのでこれが普通ですと御囲さんはさらっと言います。間違えることもほとんどないそうです。そうは言いますが、線の複雑さも相まって超絶技巧という言葉が頭をよぎります。

そういう工程で生まれた作品なので1色目の版木は2色目を彫り始めると同時に存在しなくなります。つまり、作品が完成したら他の版画と違って刷り増しをすることができません。過去の作品も含めてある程度の枚数を一色目から確保するそうです。でも売切れたらそれで永久に増えることは無いのです。

工程を頭に置いて観るのも一興です。

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