百瀬みち代さんの体の痛みは「目」だけではありませんでした。
長年の手仕事で「手」も傷めてしまったのです。
手関節の軟骨も擦り減ってしまったのです。軟骨の再生は無いのでもう元には戻りません。
今では日常生活もままならない。
それでも今までのようにとはいかなくても、布仕事が大好き。
ミシンでなら縫えるからと袋物の新作を作ってくださいました。
「こんなことしかできないのだけど、それでも布を触っているのは楽しい至福の時間」とおっしゃいます。
今このときをどのように生きるのかを大切にしているから、失った何かを悲しむのではなく今できることを喜ぶ。
ギャラリーは作品を見ていただく場ではあるけれど、百瀬さんの生き様を語ってもいいのではないかという思いから私はこの展覧会を企画しました。
百瀬さんの古布への思いをお伝えできればいいなと思っています。