革ブローチのよしだ律さんが作品を作り始めたのはほんの2,3年前のことです。
クラフト系の作家の場合そのジャンルの技術をある程度習得し作家としての引き出しをいくつも作ってからでないとデビューは難しい。よしださんの場合はその期間も短いしこのブローチに関しては先生について研鑽を積むという経験もありませんでした。
丸く切った革を組み合わせただけのブローチなのにそれはとてもチャーミングだった。研鑽を積むことは大切なことだけど彼女の中にあるとびきりの感性をしばらくしまっておくのはいかにも残念な気がしたので、グループ展に誘ってみたのです。以来どんどん作品を作り評判も良く今に至るのです。異素材を使ったりほかの形も試してみたりしていますが、丸だけの作品に勝るものはもう少し先のようです。
素材の研究や技術の習得は制作上必要になったときその都度研鑽を積んでもいいのかもしれません。そういう考え方は違うとおっしゃる方がいるのは重々承知の上ですが、年齢的なことも考慮に入れてこういう進み方もあってもいいのではないかと思っています。
いろいろな大きさの丸を組み合わせただけなのに無限に広がるよしだ律の世界は本当に美しい。
足りないこともたくさんあるかもしれませんが、今ここにあるブローチの魅力を知ってほしいと思います。