昔は良かったというなかれー秋の閑話

どの作品も30年ほど前のものばかりです。
世の中はまだバブルの余韻の中でした。

当時のプリズムはデザインに特化したギャラリーでした。
オーナーがデザイナーだったこともあったけれど、デザインが一番輝いていた時代だったことが一番の理由でした。

デザインは経済状態が良ければ発展するものです。
1964年の東京オリンピックあたりから始まっていた日本のデザイン文化の発展はバブル経済で大きな花を開いていました。

まだまだパソコンは普及しておらず、そのクオリティも低かったことからデザイナーやイラストレーターは自らの手が頭が作り出すものが全てだった。
だからその感性や技術を競い合うことに没頭していました。
見る側にしてみればこれほど面白い世界はない。

日本のグラフィックデザインは世界一と言われていたのです。
東京に行けば世界に通用するデザインが溢れていた。名古屋でもそれが観たいし、観せたい。そういう思いで34年前突っ走っていたことが懐かしくも愛おしい。

今日の写真の壁はそんな時代の作品です。
今だってとても美しい。ちっとも古ぼけてもいない。

もっと肩の力が抜けてないと。そんながちがちの美しさなんてくつろげない。
そんな声が聞こえるのもわかるんだけど・・・。
いつからか世の中には「癒し」と言う言葉が溢れている。

「24時間戦えますか」って言葉もありました。それはやっぱりちょっと違うんじゃないと思う。
だけど、たまには全力疾走してみるのもいいよね。

この壁の前でそんなことを思う自分はもう過去の人なのだろうか。

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