日本に限らないのかもしれませんが伝統工芸迷走しているように思う。
時代とともに生き続けるのは難しいことはのはわかる。人々は便利さを求めた進化を望んだ。伝統の技術を残すこととそれは大きな矛盾の中にある。
技術や経済は大きく変化したけれど、気候はそこまでの大きな変化はない。
日本には四季があり、その変化に合わせて着るもので調整をしてきた。
綿や麻は四季を通じて利用されたようだけれど、吸湿性に優れたそれはとりわけ夏には生地を薄くすることで好まれたことはよくわかる。
浴衣の初めは湯上りの汗取りや寝間着だったそうですが、江戸時代には外出着にもなった。そうなると、人の目を考え、しゃれたものが出回るようになる。浴衣地の進化はそのあたりからのものと思われる。
しかしながら時代が下ると「着物」そのものが時代に合わなくなり、次第に浴衣もなくならないまでも随分存在が小さくなっていく。
「着物」文化が廃れていくことにも悲しく思うのだけど。それについては秋の「ぴんぽんまむ」展でまたそこは追究しますのでここまでにします。
浴衣に話を戻しますが、「着物」にしなくても浴衣地は残ってもいいはず。
吸湿性に優れ、洗濯も簡単。夏の服地としてとてもいい。
そんなことを考えているのは私だけではなかった。古布で洋服を作っているウサギ商店さんだってずっとまえからそう思っていたし、思っているだけでなく作っていた。それは展覧会にして多くの人に知ってもらわなくては、とここでプリズムの出番となったのです。
浴衣地で洋服を作る。そんなに驚くような発見ではない。もう50年ほど前に森英恵は世界に浴衣地服のコレクションを発表している。
それなのにそれは定着していない。
それでも果敢にウサギ商店さんは今回浴衣地服を発表してくれています。
その心意気を見てほしい。会期は長いのでこれからたくさんの作品を紹介していきます。できれば会場で袖を通してみてほしい。おしゃれで着心地の良い夏服は浴衣服だってきっとわかっていただける。