今年は桜の便りが記録的に早いというのにコートの写真はいかにも野暮ですが、今日の話に登場しますのでご容赦を。
今までもGokiの服は後姿が美しいと何度も書いてきました。
これは加藤裕之さんの技術力と美しさを見極める力が作り上げているのだと思います。
YohjiYamamotoでパタンナーとしてしっかり修行をされた賜物です。
デザインを正確に形にするための型紙を作るのがパタンナーの仕事です。
耀司さんが作りたい形を実現する。それができたからこそ自分のデザインも正確に形にできるのです。
そもそもどういう形が美しいのか厳しい目を持っていなければ、美しい形はできるはずもない。
絵で言えば自分の描きたい明確なイメージがあって、それを実現するために高いデッサン力を持った画家が素晴らしい絵を描くということに近い。
そして後姿。
洋服を試着するとき多くの人は前から見える部分に気を取られる。鏡の前で前姿のチェックに余念がない。後姿はどうしても無防備になる。
私はお客様のそんな姿を後ろから見ることになるのだけど、そのとき無防備なはずの後姿がGokiの服だととても美しく見えるのだ。そんなとき思わず「後姿が素敵」と言ってしまうのだけど、多くの方が怪訝な顔をされる。
上質な服は無防備なはずの後姿をちゃんと守ってくれるのだ。
それを加藤さんは人間の体のことをちゃんと計算してパターンを起こしている。
ハイブランドの厳しい修行で培われたものだ。
凝った構築的なデザインでもシンプルなオーソドックスなデザインも、美しく着られる服を作るのはきっと難しいのだと思う。
コートやジャケットではこの差が歴然と見えてしまう。
このコート、最後の1枚なのだけどスペシャルプライスでお待ちしています。