このネックレスのパーツはすべて1粒1粒平田佳子さんの手によって作られています。
1粒1粒粘土を丸めて1粒1粒糸を通す穴を開ける。
書いてしまえばそれだけの工程です。
粘土を丸めるのはそれほど大変ではないと言います。実は穴を開けるのは気が遠くなるような手作業なのでした。柔らかい粘土に針状のモノで穴を開ければ針が通った先に押し出された粘土が残ります。それを取り除くとまた少し穴がふさがる。反対から針を通すと先ほどではないにしても、やっぱり粘土が残る。また反対から針をお通す。そんな作業を数回繰り返してやっとビーズ状になる。それを1本のネックレスを作るために何個繰り返せばいいのでしょうか。
雑貨屋さんなどで安価な陶ビーズネックレスを売っていることがありますが、きっと量産できるのでしょう。こんなにきれいなビーズではありません。
平田さんの制作で驚くのはこれに類する根気強い手作業。
そして、その手作業こそが平田作品の真髄。
ざっくり見える作品たちですが、この繊細さがなければできないのです。
作品に汗の跡が見えたらかっこ悪いとある作家が言っていて感動したことがありますが、平田作品はまさに汗の後を見せないクールさが隠し味になっています。