デビューの頃ー谷口広樹追悼展

谷口広樹さんのデビューはバブル前夜ともいえる時代でした。
パルコが主宰するグラフィック展での大賞がそうだった。
だいたいパルコという存在がバブルの中で最も輝いたんだ。
今あるパルコはあの華やかだった時代のパルコとは全然違う。

時代の最先端を発信するパルコギャラリーやパルコ劇場はすごいエネルギーの中で爆発していた。

そんなパルコも谷口さんの味方でした。
東京藝大卒という経歴も、そういえばという程度。

渋谷のパルコギャラリーでの個展をプリズムに持ってきたのはそのバブルもはじけた後でしたがまだまだその熱量は十分でした。作品集も出版され、谷口さんはどこまで行くのだろうと思っていました。

パルコギャラリーから届いた作品には150号か200号くらいの作品もあって、西武運輸が運んでくれたのですが、当時3階にあったプリズムにどんな手段を使っても入れることができず、泣く泣くそのまま東京にお返ししたことを懐かしく思い出します。谷口さんだって見せたかったんです。その作品の写真くらいは撮っておけばよかったな。

昨夜たまたま当時の映像を駆使してドラマ仕立てにバブル期の空気を紹介する番組を見ましたが、文化にとってはやっぱり底上げを果たした重要な時代だったと思う。

いつの間にか業界から姿を消してしまった人もいましたが、その素晴らしい時代のエキスを地道に吸収した人もたくさんいました。谷口さんもその一人だった。
それから30年ずっと一線で活躍し続けたのですから。それを見続けられた幸せも今感じています。

カテゴリーNews