キーポイントは「朱赤」だったートライアングルミュージアム

お互いの進捗状況は写真の交換だけという条件で制作は始まりました。

HUMMINGBIRDDESIGN安達真由子さんははまだのりこさんの絵に使われていた「朱赤」に目が行きました。縁あって手元に来た「朱赤」の服地。それははまださんの絵の中の人物が着ていた「朱赤」のワンピースと近い色でした。その色はプリズムのちょっとクリームがかった白い壁によく映える。あのワンピースを作ろう。「朱赤」のワンピース。ワンピースは色のボリュームとしてもなかなかなものになる。

一方はまだのりこさんの手元にあの「朱赤」のワンピースはもうない。過去作品は既にファンのところに行っていまっていました。同じ衣装を着た作品を描く。ワンピース作品も数点仕上げ、その色のパンツを過去に描いたものも今回は出品してくれている。ということは以前にもこの「朱赤」はよく使っていたのに、意外なことに「この展覧会のためにいつもは使わない朱赤の衣装を着た人物を描いたのね」という人が何人もいる。ヒトが持つ印象とは面白いものだ。

そして溝渕美穂さんは、キーポイントは朱赤と見たけど朱赤を使わず朱赤をサポートする方針を決めました。溝渕さんが好きなちょっとくすんだクリーム色や黄緑は「朱赤」に合う。それだけでは物足らないと「朱赤」に合う「赤」のブローチを作る。これはなかなかの挑戦。一筋縄ではいかなかったことと思う。写真では「朱赤」よりの色に見えるがこれがなかなか複雑な色で、絵を描く人なら驚くことでしょう。

このように「朱赤」1つとっても3人がそれぞれの仕事に敬意を払って自分らしさを表現しようと制作を進めてくれたのです。
昨日舞台人のお一人がこの展覧会を観てくださったのですが、とても興味を持って観てくださいました。表現者すべての人に通じる大切なものがこの展覧会には詰まっています。これはファッションだけを観ていただく展覧会ではありません。お互いへのリスペクトと自分らしさをどう作品に生かしていくかの軌跡です。

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