山内寿美展[inside]

昨年3月から地球レベルで大混乱を引き起こしたコロナ禍。
誰もが絶望に陥った瞬間でもありました。
プリズムも営業自粛を強いられ自分自身がどう生きて行っていいかわからなくもなりました。そんな時安達真由子さんが「世の中で必要としているマスクが足りないから作品を作るつもりだった布でマスクを作りました。ファッションデザイナーだからできたこのマスクをプリズムはギャラリーとして発信してください」と背中を押さたのです。その一言がきっかけで「win the virus展」をネット上だけで展開しました。それに賛同したお客様作家の皆さん、これはもうアートのコミューンでした。そんな作家の1人に山内寿美さんがいました。

彼女もコロナ禍に少し心が沈んでいた時、こんな時こその作品を作ることでだんだん元気を取り戻すことができたのです。

作家は作品を作ることでしか立ち直ることができない。
山内さんはもっとも健全な方法で自分を取り戻したのです。
もともとここ数年海洋汚染をテーマに作品を作り続けていたのでその考えにそってコロナ禍持捉えていきました。

以下彼女のテキストを載せますので、作品鑑賞の手掛かりとしていただければ嬉しいです。

[inside]   山内寿美展

コロナ禍の中、進化へ、美の妄想。

ここ数年、アクリルボックスの中に様々なミクストメディア(複数の制作技法を組み合わせる手法)を構成した[inside](ヒトの内側)シリーズを制作している。
当時、海洋プラスチック問題が浮上した頃、様々な対策がとりいれられたものの、人体に入り込む有害物質を完全に排除するのではなく、いっそ取り込んで進化したら・・・、それは醜悪でとても美しいだろう、という妄想からはじまった。
そして現在、未知のウィルスに人類は脅かされ続け、ついにはヒトの心も蝕んでいく。
はたして進化はただの妄想だったのか。
それでも作り続けなければ、どうにかなりそうな心情のなか、目に見えないものへの恐怖、畏怖、そして、同じく目に見えないものへの想いや祈り、そんなものがないまぜになった作品群を、まさに、このコロナ禍たっただ中、発表する。