市井の人々に向けてー登龍亭獅篭展2

獅篭さんのことを先日「B級のセンス」と書きちょっと失礼なんじゃないかとお叱りをうけました。

B級グルメという言葉がよく使われますが、これって誉め言葉だと思っています。手に入りやすい食材だったり手に入れやすい値段だったりの食べ物っていうことで、これは決しておいしくないものではなく、よくぞここまでおいしく作ったものだということだと思うのです。

現代では人はみな平等と言われていますが、クマさんはっつぁんの時代は身分制度があり上も下もあった。今は本当に無いのか?建前としては無いけれど、完全に無いとも言えない。

落語の世界で言えば長屋の人々はB級に入るのかと思う。じゃそういう人々はダメな人なのかというと、決してそんなことはなく人としてのおいしさがたっぷりな人はいっぱい出てくる。
お金を稼ぐことは苦手だったり、少々のだらしなさはあっても、人としての本質が上質ならヒーローになれる。逆にズルをしたり人の尊厳を踏みにじったりする人は絶対はどんなに身分が高くてもそうはなれない。

獅篭さんの作品は市井の人々の目を通した世界観なのだと思う。
コロナで心も病む寸前だった人はいっぱいいます。あの人もこの人もあの少女もこのおじいさんも・・・獅篭さんもそうだった。だからこそ生み出された作品たち。

落語家の登龍亭獅篭さんは心の底からそういう人々を愛していて自然にそいう心根でこの事態を受け止め作品にしたのだと思う。

「絵を描いているうちに少しずつ心が落ち着いていった」と彼は言います。
おいしいB級の人々をこれからも描いていってほしい。落語を語るように絵を描いてほしいと願います。

個展は明日が最終日です。
今回は厳しい人数制限をしたのでお断りせざるをえなかった方々もいらっしゃいました。本当に申し訳ありませんでした。来年また毎日落語会付き個展を開いてくれます。来年はもう少したくさんの方にもお出でいただける状況であることを祈っています。

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