考え方を見直すーGoki & Artists 2021 Spring

ちょうど10年前の今日も「Goki」展だった。
東北大震災が起こったあの日、とても現実とは思えない光景を私たちはリアルタイムで見ることとなった。

昨年はCOVID-19の蔓延。これは今も渦中にあるのだけど。

どちらもパニック映画を見ているような現実だった。
パニック映画は今や絵空事ではなく、現実に明日起こるかもしれないこと。起こるはずがないから娯楽だったのだけど、もはや娯楽にはなりえないほど日常に近づいてきている。

話を10年前に戻す。
あの展覧会中日々刻々と状況がわかってくると、ファッション業界はとんでもないことになりそうなことがわかってきた。
被災地の一地域陸前高田が壊滅状態になってしまったこと。ここは日本のトップブランドが絶大な信頼を置く縫製工場のメッカだったことから、その年の縫製を他地域で全部賄うのは難しいという現実があった。
Gokiも例外ではなく、急遽その年の方針を大幅に変えざるをえなくなった。

昨年もそれに近いことが起こったのだった。
COVID-19にどう対処すべきかという時期にstay homeが言われ、社会は止まった。繊維工場も例外ではなく、ちょうどその年の秋冬物の生産に追われるはずだったのに、止まってしまった。しかも冬場にもっと蔓延するかもしれないのだからたくさんの完成品を作ってそれが大量の在庫になるかもしれないという懸念の中どう考えるべきか悩んだであろうことは明らかなことだ。

大量生産大量消費を見直すべき時がきたのかもしれない。
本格的な夏や冬を迎える前に始まるバーゲンで30%も40%も安くなった服があふれていたのは何だったのだろうか。バーゲン前に買ってもらわなくても成り立っていたファッション業界。明らかな二重価格を多くの人は受け入れてきた。

本当に必要なものを適正な価格で売り買いするシンプルな構図に戻したい。

私が好きなあるブランドでは、昨年の夏からバーゲンはしないと宣言した。

ものに対する厳しい目を持つこともこれからは大切なことになるのかもしれない。

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