ラスト・ディール

定休日だったある日「ラスト・ディール」という映画を見てきました。

ある年老いた美術商が主人公。
イリヤ・レーピンの作と思しき作品に出会いその真贋を解き明かしながら最後の商売に賭ける。その中で家族への愛を見つけていくという内容なのだが。
結局、ディーラーとしては失敗をし、失意の中亡くなる。

真贋を追いかけるスリルや、美術商としての失敗には面白さはあったものの、その絵の存在は彼の救いにならなかった。というよりそこは重要ではなかったことがどうにもすっきりしない結末だった。

絵は単に商品でしかなかった。
家族や友人の愛はあっても絵そのものが心を救うことはなかったことに、何だか言いようの無い寂しさを感じた。

そんなことだからギャラリーで稼げないのだと言われそうだけど、私は信じたい、絵の持つ力を。
この1枚に出会ったから生きていける。今日食べるパンは必要だけど、巨万の富よりも1枚の絵は明日の力になる。
マーク・ロスコの絵を見て「明日も生きていこう」と描き残した少年は今日もきっと明日を夢見て生きていると思う。

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