ガゼボー加藤鉦次個展

加藤鉦次さんは画家としてスタートラインに就こうとする頃、イタリアを中心にヨーロッパを巡り絵の勉強をしました。その時に見た植物の緑が忘れられないと言います。

その緑が描きたくて今も緑の絵具を使って絵を描きます。
日本で見る植物はあの緑と違うのだけど、絵具で緑を塗ると今もあの時の色が蘇り気持ちが高揚するのだそうです。

日本ではあの色が見られないから絵が描けないと言った明治のころヨーロッパで絵を勉強した画家たちが多くいたと言いますが、加藤さんは緑の絵具で絵を描いているとそれだけであの色を見ることができるのだそうです。

それくらい強烈な色の印象。

そしてあの頃のわくわく感を今も植物を描くことで取り戻す。

加藤鉦次個展/作品集出版記念ー心象風景ー

洋画家加藤鉦次さんが画業50年を記念して作品集を出版しました。
この展覧会はその記念展です。

プリズムの空間ではどんなに数を厳選しても50年を見ていただくことはできません。過去50年の代表作は4月11日(火)から「ノリタケの森ギャラリー」で見ていただきます。こちらが第一会場となります。

プリズムは第二会場です。こちらでは加藤鉦次さんの現在を見ていただきます。ここはすべて新作の展示です。過去作はありません。

第一会場(ノリタケの森ギャラリー)
2023年4月11日(火)-16日(日)
午前10時ー午後6時(最終日は午後4時まで)
第二会場(ギャラリースペースプリズム)
2023年4月6日(木)-16日(日)*会期中無休
正午-午後7時(最終日は午後5時まで)

会期の都合上プリズムでの加藤鉦次さんの在廊は4月6日(木)ー10日(月)の正午から午後6時です。8日(土)のみ午後2時からの在廊とさせていただきます。*11日(火)ー16日(日)はノリタケの森ギャラリーに在廊します。

 

小鹿アキコイラストレーション展ー最終日

「小鹿アキコイラストレーション展」は本日最終日です。
緻密なペン画をお楽しみいただけたことと思います。

次回は4月6日(木)から「加藤鉦次個展/作品集出版記念」を開催します。
画業50年記念展です。

カカポー小鹿アキコイラストレーション展

愛知県に生まれ育ち、結婚を機に14年前に東京に移り住んだ小鹿アキコさん。
作家としてのスタートがプリズムだった縁で東京に移ってもずっとウチの作家でいてくだいました。今回は子育ても少し先が見えてきたので作家として本腰を入れるリスタートとして5回目の個展を開いたのです。

多くの方々に東京に住んでいるのになぜわざわざ名古屋でリスタートなのかと言われました。私自身もそう思ったのですが、ここからもう一度旅立つ決心だったようです。

東京に行ったころ足りないデッサン力を養うために習いに行ったり、3年前にはこのリスタートのためにイラストレーション塾に通ったり、人知れずずっと前を向いて小鹿さんは生きてきました。声をかけたグループ展はほぼ全部出品してくださいました。それでも個展とグループ展では作家にとって大きく意味が違います。全責任を一人で追わなければいけない個展は精神的にも肉体的にも背負うものが違います。そのリスクを背負って個展に臨んだ小鹿さんの勇気にリスペクトを感じます。

そしてこの14年間ほとんど名古屋に来ることのなかった小鹿さんを見守り続けこの個展にも駆けつけてくださった小鹿ファンの皆さんに私からも感謝申し上げます。小鹿さんはこれからも進化を続けるはずです。ずっとずっと見ていてください。プリズムからもお願いいたします。

DMにした作品もお気に入りだそうですが、この「カカポ」も小鹿さんの自信作です。

人気ですー小鹿アキコイラストレーション展

このシリーズが人気です。
架空のキャラクターでまだ名前もないのですが、ふんわりした姿かたちの動物です。

縄跳びも虫取りもあまり上手ではありません。
こんな子絶対意地悪じゃないし、きっと優しい。

自分のまわりにもいそうな子。

「息子がモデルかな」とふと優しいママの顔になっていましたよ。小鹿さん!

幸せに触れたいー小鹿アキコイラストレーション展

それぞれの絵の猫たちはみな好きなものがあるのだそうです。
好きなものは「幸せ」

「花」が好きな猫は「花」に触れたいのだし、「おしゃれ」が好きな猫は「おしゃれなもの」に触れたい。

そして猫の後ろにある額の絵は縁起がいいと言われている昆虫ばかり。

フェルメールを彷彿とさせるこのシリーズ。

この猫たちどの角度から見ても鑑賞者を観ているということを見つけた方がいらっしゃいました。確かにこちらを見ているんです。本当ですよ。

音に触れたいー小鹿アキコイラストレーション展

「触れる」は触感。だけど、五感すべてが「触れる」でもある。
「音」もその1つ。

「音」をテーマにしたシリーズが「音に触れたい」
「触れる」の世界が広がった。

それとともにストライプや市松模様を絵の中に入れ込んでいくことがこのシリーズでは他の絵と少し違います。イル―ジョンになっているのがグラフィックデザインを勉強していた小鹿アキコさんならではの表現なのかもしれません。

「音」がテーマでも登場する動物たちはやっぱり小鹿さんの大好きなちょっと珍しい魅力的なビジュアルでした。

影に触れたいー小鹿アキコイラストレーション展

子供の頃、誰もが一度は影に触ってみたいと思ったはずです。
手と手は触れることができても、あとのところはやっぱり触れることができない。

触れたくても触れることができないものがあると初めて知るのはもしかしたら自分の影なのかもしれません。

「影」
ただの自然現象としてとらえるだけでなく、心にせまったとらえかたもよくされる。この連作は少女とその影が触れられない関係であったものが仲良くなり、心の中も見えるようになる。最後影が林檎を食べてしまうのだけど、林檎は少女。食べられることは残酷なことではなく、影と少女は実は1つだということがわかる成長の物語。

影を不穏とするか自身と同体と考えるか。奥の深いシリーズだ。

時間ー小鹿アキコイラストレーション展

全ての小鹿作品はほぼ丸ペン・墨汁で描かれています。

この世界に入ってくる人はかなりの確率で「漫画家」を夢見たことがあります。
小鹿アキコさんも例外ではありません。
丸ペンは当時漫画を描く画材として一般的なものでした。
中学生の時近所の文房具屋さんで手に入れて以来ずっとこの画材を使っています。

漫画家になる勉強をしようと専門学校を考えていたけれど高校の先生に止められてデザインの専門学校に入りました。そこではいろいろな画材を手にしましたが最終的に「ペン画がいい」と先生に褒められたことで最初に戻ったのだそうです。

デザイン専門学校でイラストレーションを描くうちに自分は漫画のストーリーを追ってたくさんの絵を描くより、1枚の絵をじっくり完成させていくほうが向いていることにも気が付いたそうです。

細い線が描ける丸ペン1本で陰影をつける。
ベタ面さえも細い線を重ねて描く。
細い線を重ねることでベタ面に温かみが出る。
もちろん繊細な1本の線でニュアンスを出す。

実は丸ペンは使いこなすのが難しい画材と言われています。
中学生の頃から使い慣れた丸ペンだから小鹿さんにはこれ以上使いやすい画材はないのだろう。それでもこれからの進化も楽しみだ。

ブラックホールに触れたいー小鹿アキコイラストレーション展

昨日紹介した小鹿アキコさんの作品は「触れられる触れたいもの」、まあその気になってチャンスをキャッチすれば触れることができる「生き物」たちの絵でした。

今日は「ブラックホール」
これは現時点で触れることができないもの。理論上は存在するし存在が証明されてはいるようですが、この世にこれに触れた人はいません。見た人さえいない。

そんなブラックホールを小鹿さんの「ものがたり」はこうなる。
チョコレートケーキにブラックホールがあったなら。
人の頭にブラックホールがあったなら。
普通の歩いているそばにブラックホールがあったなら。
・・・・・

あなたならどうなると思う?
小鹿さんは絵を通して観る側に話しかけているかのようだ。

小鹿さんは触れてみたい、のだそうだ。
吸い込まれるのだろうか。どんな力で?どんなふうに?
そう思うとわくわくするのだろう。
わくわくするから彼女は絵にする。