久野晴美木版画展ー最終日

「久野晴美木版画展」は本日最終日です。(午後5時まで)
神獣を主役に吉祥文様で散華する。ここからまだまだ久野ワールドは広がります。次回のプリズムでの個展は2年後の2027年4月の予定です。

明日からプリズムはGW休廊です。
5月9日(金)から春夏の「ストール展」です。(15・16・20日休廊)

阿吽ー久野晴美木版画展

久野晴美さんが大好きなシーサーを「阿吽」にしました。
自分らしいシーサーができるようになったのでこの個展では3作品のシーサーを展示しました。そして写真の右の「阿」をDMにしました。

久野さんの個展は明日最終日を迎えます。

これからのシーサーの進化も観ていただけると嬉しいです。

裏彩色ー久野晴美木版画展

久野晴美さんの木版画は一版刷りです。
一版なのになんでこんなに色数が多いの?
それは黒いアウトラインのところだけが木版画でいろのところは神の裏から絵具で塗っているからなんです。

これは棟方志功の版画と同じ技法です。
久野さん、棟方志功が大好きで同じ技法で版画を作りたくてずっとこの技法で制作をしているのだそうです。

裏から色を入れているのでくっきり色が出ないのが特徴です。優しい風合いが作れるのがとても気に入っているそうですが、裏からも表からも色を入れることもこれからは試していきたいとこの個展の中から新たな意欲が湧いているとのことです。

 

散華(続き)ー久野晴美木版画展

散華のために作った作品はほとんど奈良正倉院の宝物に描かれたたくさんの文様を参考にしています。

久野晴美さんは度々奈良に行かれます。ご家族の研究が古い文化を掘り起こすことだそうで、旅の道連れのうちにどんどん興味が湧いてきたようです。もともと版画は制作していたのですがテーマがそちらにどんどん寄っていったというところでしょうか。

今回の個展に向けてテーマの絞り込みをしていくうちにさらにテーマが深まった。

神獣は仏教と密接なものではない。散華は仏教とのつながりが深い。
大事な存在「仏様」が古人(いにしえびと)にとって大事な「神獣」と同等な存在かも。それなら散華(さんげ)してあげたい。どうせ散華するのなら正倉院の宝物にある吉祥文様はふさわしのではないだろうか。

久野さんなりのテーマとモチーフのセレクトでこの個展はできました。
散華は花だけではなく「瑞雲」だったり「蝶」や「蜻蛉」・・・。花も吉祥文様もおもてなし。

散華ー久野晴美木版画展

シーサーや花鹿の周りにあるの何だろうと思ってここ数日会場の様子を見ていた方もいらっしゃるかと思います。「散華(さんげ)」です。

仏さまの供養するのに花を撒きます。花を模した紙片も散華です。
久野晴美さんは花の版画だけでなく吉祥文様の版画を散華として壁に飾りました。

今回は仏様はありませんが、神獣へのおもてなしの「散華」です。
ギャラリー内が華やかで温かい空間に仕上がっているのではないかと思います。

ひと休みー久野晴美木版画展

これはシーサーです。
シーサーも神獣の1つに入りますね。

学生の時沖縄でシーサーに出会った久野晴美さん。衝撃だったそうです。

「面白い!好き!大好き!描きたい!」

私のシーサーを描きたいと描き始めたのだけど、ちっとも自分らしくない。何回描いても納得のいくものではなかった。それでも描き続けた。やっとこれならという作品ができた。

シーサーはなかなか個性的姿かたちをしているのでどうしてもそれにひっぱれてしまう。悔しい思いをしながらどうしても描きたかった。
何十年もかけてやっと描けたシーサーを観てください。

みんなが知っるシーサーとは一味も二味も違う久野晴美のシーサーはやっぱりちょっとのんびりしている。この作品なんてなんとお休み中なんだから。「なんくるないさー」ってね。

「雲の中から」(花角)ー久野晴美木版画展

正倉院の宝物に描かれている「花鹿」という霊獣がいます。
頭に花冠をかぶった鹿です。

牛みたいになっちゃったけど、これはこれでいいかなと久野晴美さんは言います。

正倉院にいる「花鹿」も「花鹿」だし、久野さんが彫った「花鹿」も「花鹿」
また別の人が描いたら別の「花鹿」になるのが楽しい。

久野さんの「花鹿」美しい毛をたなびかせて颯爽と歩く姿が高貴です。

青龍ー久野晴美木版画展

中国の神話に登場する神獣の1つ青龍。
中国では5本爪は皇帝にしか許されません。
上級家臣もしくは属国は4本。庶民や属国以下の国は3本。
その昔日本は中国にとって属国以下の存在だったらしい。だから中国から日本に入ってきた龍は3本爪だったと言われています。

この青龍は3本爪です。
久野晴美さんは5本にするか3本にするかちょっとだけ迷ったそうです。
多くの人を守ってほしいから3本にしました。庶民の味方。
だからお顔も厳めしくはなく、親しみやすい優しいお顔。
これも久野さんらしい神獣への思いです。