4つのブランドーGoki & Artists 2026 Spring

現在Goki社には4つのブランドがあります。
一番上のタグがGoki(加藤裕之)さんのオリジナルブランド。あとの3つは後進デザイナーが担当するブランドです。

Gokiさん亡き後Goki社社長の松岡哲史さんは、Gokiさんがキャドに残したパターンを世の中が受け入れてくれる限り素材を変えて復刻しながら若いデザイナーのデザインとともに世に出していこうと決断しました。
その決意を聞いたとき、プリズムもできるだけサポートしていくことを決めました。

「プリズムが服を展示するのは絵だけで勝負できないからなんでしょ?」と言われたことがあります。悔しかった。この言葉はGokiデザインの本質を見てくれていないこととともに、他のプリズムの作家の皆さんを侮辱する言葉でもありました。また、ファッションを随分下に見ているよという宣言でもあります。

作品は最終的にそこにあるものが全てなのかもしれませんが、出来上がるまでの過程にそれはそれは尊い人の心の葛藤や愛があります。ファッションデザインだって他の作品の制作とその点において変わりはありません。ましてやGokiさんのように流行りの形を追って服作りをするのではなく、自分が理想とする形を追求しながらスタッフの生活が成り立つぎりぎりを見極める。

そのために縁の下で歯を食いしばった松岡さんの深い愛があってこそ美しい服を皆さんに届けることができたんだと信じています。

松岡哲史さんのことーGoki & Artists 2026 Spring

プリズムにGoki(加藤裕之)さんの作品を運び込む前にGokiさんに「車椅子のことはみなさんにつたえていいのかどうか」1度だけ聞きました。答えはNO。それからGokiさんが現役で仕事をしている間は公にそのことを伝えることは全くしませんでした。そのハンディを逆の武器にしたくはないのだとわかったからです。

この世にもういないGokiさんだけど、そのデザインは彼の境遇が悔しくて一緒に彼のデザインを世に出そうと奮闘努力した松岡哲史さんなくして実現できなかったはず。この物語もGokiデザインとともに伝えたかった。モノに宿った魂の叫びがあるはずだから。それにはGokiさんが背負っていた境遇も公にしないわけにはいきません。松岡さんに相談するとOKが出ました。

松岡さんは飄々とした人です。現実の無理難題は当然のこと、Gokiさんが抱えていた精神的な負担も全部背負ったはずです。個展が決まるとGokiさんはできる範囲内で最大限の「美」を追求しました。頭脳はGokiさんだけど動くのは松岡さん。Goki社はまだ立ち上げて2,3年目。今思うと私も若気の至りで松岡さんの負担のことなど考えの外でした。

個展会場はYhoji Yamamotoの店舗内のよう。Yhojiさんを追いかけていたGokiさんがまだ30代で追いかけるだけで精一杯だったんだと思います。あんな展示助っ人がいたとはいえよく1日でやったなと今も思います。

当時Goki社のスタッフはGokiさん松岡さんを入れても3,4人だったと思います。今だって5,6人です。まだ立ち上げたばかりの会社だから顧客から連絡があればすぐにでも駆けつけなければいけない。とても会期中誰かが会場にいるなんてとても厳しい。結局Goki展は1年で辞めることになりましたが、今回のような展覧会には協力は惜しまないと言っていただき30年もお付き合いいただいています。

私の中では簡素ではあるけれど手作りのファッションショーが個展の中でいつか開けるようにいろいろ画策していましたがとうとう叶いませんでした。

この絵はGokiさんの似顔絵です。松岡さんが描きました。よく似ている。ね、Yhojiさんみたいでしょ。2年ほど前にカットソーにプリントして売り出しました。松岡さんもモード学園でファッションを学んだ人です。卒業後はアパレルメーカーの営業で経営手腕を磨いてきたのでGoki社を立ち上げ運営できたのですね。

「もうワシあかんわ」って何度も松岡さんの口からでましたが、そっからが松岡さんの強さが発揮されます。
短い冬に職人さんの後継者不足に、泣きたい日々のはずですが、松岡さんは負けない、これからもずっと。

My First Goki-Goki & Artists 2026 Spring

今日私は初めて手に入れたGokiのベストスーツで出勤しています。
約30年前のものです。

当時時々寄っていた服屋さんでそこのオーナーが「新しく立ち上げたブランドがあるんですけど観てください。Gokiっていうんですよ。」と見せられた数点。どれもおしゃれでかっこよく全部欲しいくらいでしたが一番気にいたこれに決めました。

Yhojiっぽくてかっこいい。その店の前を通れば新しいデザインが見られるかもと足しげく通ったものです。

ある日「そんなに好きならデザイナーに会わせてあげようか」と夢のような話。乗らないわけがありません。

今も年2回開催されるバイヤーさん向けの展示会に連れて行っていただきました。会場に飾られている服はどれも斬新で構築的でかっこいい。Yhojiっぽくはあるけれど。

デザイナーのGoki(加藤裕之)さんにも会わせていただきました。本人もYhojiっぽい。聞けばYhoji Yamamotoに憧れて名古屋モード学園で懸命に学びついにYhoji社に入社したという経歴を持つと言うではありませんか。地方の学校からあの世界のYhoji Yamamotoに入社するなんて並の力ではできないことです。

Gokiさん、車いすユーザーでした・・・。

Yhojiさんのもとで全身全霊で仕事をしてきたけれど、事故にあってしまったんです。後ろ髪どれだけ引かれたのか、失意の帰郷は想像に難くありません。

そんなGokiさんの状況を悔しく思っている人がGokiさん以外にもいたんです。それが30年以上も苦楽を共にしてきたGoki社の社長松岡哲史さんでした。

初めて訪れたGoki社には鋭く美しいデザインとGokiさんをサポートする深い愛情に満ち溢れていました。私にも何かできないだろうか。私にできるのは展覧会しかない。展覧会にしたい。

初めGokiさんはうんと言ってくれませんでした。彼はコレクション発表ならファッションショーしかないと言います。展覧会は違うと考えていたんです。

私はその数年前に今は無き青山の東高現代美術館で観たISSEI MIYAKEのPLEATS PLEASEの話をしました。何度もしたと思います。新しい形のコレクション発表だと説得しました。

やっとGoki展が始動できたのです。

 

今日着ているスーツは30年前のものですがデザインは全然色あせていません。
上質な平織りウールの裏地はなんと白の綿。さすがに裏地は若干シミがありますが外からは見えないのでOKです。
ベストの裏地はリバーシブルかと思うほど丁寧に付けられています。こういうところが30年前の高い縫製技術なんです。
スカートの裏地も同じ白の綿です。スカートのプリーツが1.5㎝と浅いうえにスリットもないので歩きにくいと不評だったそうですが私は全然苦になりませんでした。
これからも大事に着続けたい1点です。この会期中にまた着てきますね。

 

パステルオレンジーGoki & Artists 2026 Spring

Gokiの基本色は黒。
どんな季節も黒が基本色。どんなデザインもまずは黒のラインナップです。

それでも季節の色が入ってきます。
パステルオレンジがやっと春だねと言っているようです。
柔らかめの素材に優しいパステルオレンジが厳しかった冬を忘れさせてくれるように思えます。

春物の入荷は未だ滞っていますが、精一杯春を演出できるよう無い知恵を絞っています。

寒の戻りが厳しいーGoki &Artiats 2026 Spring

寒の戻りが厳しい。昨日東京では大雪警報が出る寸前というほど雪が降ったそうです。プリズムも昨日一昨日とお休みだったのでギャラリー内が冷え切っていて暖房の効きがいまいちで辛い1日になっています。

この展覧会が始まったときには2月の終わりだと言うのに暖かすぎて冬物に目が行かないなと思っていましたが、やっぱりこんな日もあるのですね。

どんなに寒くても3月だと思うと見た目は冬らしすぎないものを着ていたい。だけど暖かくしていたい。まあまあ心はわがままなものです。

中綿入りでショート丈なら春の軽さがあって暖かい。しかもポリエステルの中綿なのでお洗濯はおうちで手洗い。こいうの1枚あるときっと便利です。

春になると会いたくなる絵ーGoki & Artists 2026 Spring

プリズムの近くにはハクモクレンの街路樹があります。今年は冬が短かったからでしょう、もうずいぶんつぼみが膨らんでいます。

この田辺雅一さんの木蓮の絵、やっぱり春になると会いたくなります。ここ数年毎年この展覧会には飾らせていただきています。

やっぱりいい絵です。
花びらの根元のオレンジがかったピンクとバックのチャコールグレイがセンスの良さを感じます。筆の勢いではなく正確な筆運びが知性的です。

製造業への思いーGoki & Atists 2026 Spring

ちょうど1週間ほど前2月の終わりにこの展覧会の搬入があり、Gokiの服を持ってプリズム担当のYさんが来てくれました。第一声「すみません。春物1枚も無いんです」え?春の展覧会なのに春物が無い・・・。絶句。

そこから少しずつ事情を話してくれました。
前々から縫製の職人さんが少なくて納期が厳しいということは聞いていました。トップの技術を持つ陸前高田が津波被害から完全復活は厳しいことも。
それ以来別の地域(岐阜などもその1つ)が隆盛かというとそういうことは全くない。衰退の一途なのだそうです。縫製職人はますます高齢化して納期なんて言っていられない状況にまできているのです。
その大きな理由は職人さんに十分なお金が回っていないこと。世界的な技術を持つ職人さんにそれに見合った工賃が払われていないことで次の世代が育たなかった。

日本の工賃が高くて(いや本当は決して高くはない)安く労働力が手に入る国に縫製を持って行ってしまったことで日本に縫製技術が残らなかったというのが実情です。
これってもしかして縫製だけのことではなく多くの製造業にあてはまることなんじゃないのだろうか。

資源の乏しい日本が経済力を持ったのは惜しみなく労働力を提供した結果だったと思うのだけど、それを手放してしまった。
これからますます世界のグローバル化は進む。安い工賃だったはずの工賃は特別安くない日がきっとくる。手放してしまった技術はそう簡単に取り戻せない。
目先の欲に目がくらんでしまった私たちの代償は驚くほど大きいのかもしれない。

2月の終わりから早い春が来てしまったおかげで今年はGokiの冬物が例年になく大量に入ってきています。今日もどっさり入荷しました。もちろんスペシャルプライスです。冬物は元々値が張るものばかり。来年用に是非冬物をご用意ください。Gokiは日本の素材で日本で作ることにも拘っています。

春季休廊のお知らせ

「Goki & Artists 2026 Spring」は昨日始まったばかりなのに大変申し訳ありませんが、スペースプリズムは明日3月2日(月)から5日(木)まで4日間春季休廊に入ります。何卒よろしくお願い申し上げます。3月6日(金)よりまた皆様のお越しを心からお待ちいたしております。

Goki & Artists Spring 2026

アパレルメーカーGoki社(加藤裕之ブランド)の洋服とプリズム所蔵作品で「春」を観ていただきます。

2026年2月28日(土)-3月29日(日)*月火曜休廊 3/4,5春季休廊
正午-午後7時(日曜日は午後5時まで)

猫展30ー今日は猫の日、そして最終日

今日2月22日は「猫の日」です。
毎年この日界隈はプリズムも「猫展」を開催していますが、今年は「猫の日」がこの展覧会の最終日となりました。(午後5時まで)

可愛い猫さんたちを十分堪能していただいたことと思います。作家の皆様とともに来年の猫展がもっと充実できるように精進いたしますので待っていてくださいね。

次回は2月28日から「Goki & Artists 2026 Spring」です。
Gokiのファッションとプリズム所蔵作品で楽しい春を観ていただきます。
3月29日(日)まで。*月火休廊3月4,5日春季休廊