洋画家小山剛さんはほとんどの絵をアクリル絵の具で描きます。洋画家がほぼ油絵具を使う中で少し異色の存在かもしれません。
なぜアクリル絵の具を使うのか?
油絵具も使っていたけれど、小山さんが中学生の時出会ってしまったアクリル絵の具は当時夢の絵具と言われていました。使い方によっては水彩画のようにもパステル画のようにも油絵のようにも描けるという触れ込みでした。
50年近く前のことです。
当時は「夢の絵具」と言われながら開発途上で不備もあった。
それでも開発は日々続けられ、今では随分「夢」に近づいています。
あんなに夢中になってアクリル絵の具の使い方を研究した日々。
自分ほどアクリル絵の具の進化を見続けたものはいないだろうという自負のもと、今でもというか今はというか使っているのです。というのはやっぱり油絵具で描いていた時期もあるから。
人によっては絵具をランク付けすることもあります。日本画の絵具を頂点に油絵具・アクリル絵の具・パステル・水彩絵の具・・・。
それも小山さんにとっては片腹痛いこと。絵具に優劣などない。
もし表現の上で油絵具に叶わない何かがあるとしたらそれを克服すべくアクリル絵の具の使い方を考えればいいし、アクリル絵の具でしかできない表現を追求するのもいい。
小山さんにとって今回の個展のタイトルに「アクリル画展」と入れたのには大きな理由がありました。