石川真海きものクリエイション5ーUniqueness(個性)

きものスタイリストぴんぽんまむ石川真海さん5年目の個展です。

そもそもスタイリストとはコマーシャルフォトを撮影するときのチームの一員として衣装や小物をコーディネートするプロフェッショナルです。
スタイリストとして洋服を扱う方は時々雑誌などで紹介されることはありますが、きものとなるとぐっと少なくなります。まず着付けができなければ仕事として成り立ちません。石川さんはもともと洋服のスタイリストでしたが、きものスタイリストをめざして着付けから勉強をしました。今では着付け師としての仕事もこなしています。

今回の個展では石川真海のスタイリングを5人のフォトグラファーに撮影していただきました。チームが変わればスタイリングの生かし方も変わります。そこも今回の個展の見所です。Uniqueness(個性)が見えれば幸いです。
この展覧会を観てきものスタイリストとしての仕事に広がりができてくれば嬉しい。

そしてきものスタイリストは洋服のスタイリストと違ってブティックやメーカーで洋服を借りてくる場合が多いのですがきものの場合はストックを持たなければなりません。たくさんのストックは画家にとって使わないかもしれない絵具を持つのと同じです。石川さんの感性で買い集めても使わないこともあります。そういった着物の販売もしています。新しい着物ではありません。格安で販売していますのでこちらも是非ご覧ください。すべて石川真海の感性でチョイスしたものばかりです。

中村理恵日本画展ー最終日

本日(11月2日)「中村理恵日本画展」最終日です(午後5時まで)
優しさ・美しさ・強さ・・・たくさんの要素を持った作品の数々でした。
明日からまた次に向かって描き進めていきます。

次回は11月7日(金)から16日(日)「石川真海きものクリエイション5」です。
初日が木曜日ではなく金曜日になります。石川真海さんのきものスタイリングをお楽しみください。(火曜休廊)

枇杷ー中村理恵日本画展

たくさんの実を付けた「枇杷」豊穣。

木の実が木にたくさん生っているのを見るとだれもが嬉しくなるのは人の本能なのかもしれない。木の実があれば飢えることは無いという安心感なのかと思う。

それは人間に限ったことではないのではないだろうか。
蛙が枇杷を食べることは無いかもしれないけれど、なんだか蛙もリラックスしているように見える。

なぜ枇杷と蛙と思って調べてみたら、実った枇杷の周りには虫が寄ってくる。それを狙って蛙が寄ってくるという事があるそうな。枇杷は食べなくても、食べ物は豊富ってこと。それは蛙も嬉しい。

植物大好きな中村理恵さん。
そのリアリティも大事にしています。

静穏ー中村理恵日本画展

生き物たちは地面にいるばかりではありません。
水辺にもいます。

蓮とメダカ。
メダカが泳ぐそばには散った花びらがある。

当たり前の光景はかけがえのない「静穏」

いくつもの負が教えてくれた大切な一瞬。

こんな様子を中村理恵さんはいつまでも見ていられると言います。
心がどんどん静まっていく時間。

輪廻ー中村理恵日本画展

ある日散歩していた中村理恵さんは団栗が芽を出しているのを見つけます。
その芽は団栗の落ち葉がいっぱいの地面から生えていました。その落ち葉の下には芽が出なかった団栗もあるでしょう。団栗だけではなく小さな虫たちも生きているに違いありません。

そんなことを考えていたら、生き物の営みは繰り返されると言いますが、全く同じストーリーを辿るわけではないし、少しずつ違った営みがあるはずだと思いが巡りました。

そんな思いを絵にしてみたいということから生まれた絵です。

「輪廻」

大きな流れとしては繰り返されるのだろうけど、全部同じではない。かけがえのないその営みは尊い。

胡粉を使い葉っぱを半立体にし箔を載せて丁寧に描き上げていく。
手のかかる技法で仕上げられた絵です。
地面に降り積もった乾いたあるいは湿った葉っぱの表現も見てください。
その下にもきっと団栗があると想像した中村さんの思いが見えるでしょうか。

よき便りー中村理恵日本画展

日本画の学生だった頃キャンパスに生えていた烏瓜の実を初めて中村理恵さんは見ました。なんて美しい色の実なんだろうと感激したものです。

以来ずっと中村さんの大好きな烏瓜の実。
花も素敵だけど、実の色の美しさは格別。絵にあの美しさが出せただろうか。

烏瓜の周りにアリンコが群がるのも自然の中の真実。
中村さんの絵には昆虫を初めとした小動物がたびたび登場します。
あちらの世界に行ってしまった人が自分に会いに来てくれているというのはたまに聞く話ですが、そうであったらいいなとも思うのだそうです。
そんな「再会」もあるのかもしれない。それは願いでもあるのだろう。

「よき便り」

 

 

朱花ー中村理恵日本画展

花の持つ生命力に圧倒される。それを描きたいと中村理恵さんは思う。

花が咲けば受粉して実がなり、次の世代が育ち始めるのだから、そこに生きる力を見るのはとてもよくわかる。

ただの美しさではなくそこに命が繋がっていく力の気を花の周りのボワッとした表現で描いてみる。

この絵の前で涙を流した人がいた。
この絵に花が持つよい気が込められていたということにほかならない。

静ー中村理恵日本画展

植物が大好きな中村理恵さんはその周りにいる小さな動物たちも大好きです。
共存している姿はみんなみんな大好き。

ある日中村さんは「紅カミキリムシ」に出会います。
きれい!かわいい!とウチに連れて帰りました。

調べてみるとこの虫は栗の木が好き。
それなら栗の葉っぱと一緒に描いてみよう。
栗の葉っぱを食べたかもしれないから、虫食いにしてみよう。せっかくなら自分好みの素敵な虫食いの跡にしよう。
そうやってこの絵は出来上がりました。

動物も植物も精一杯生きている姿は愛おしい。

「紅カミキリムシ」はこの後逃がします。
カミキリムシが飛ぶときどんな儀式があるか知っていますか?気になる方は是非動画を調べてみてください。なかなかユニークなんです。もちろん中村さんに教えていたんですけどね。

夏水仙-中村理恵日本画展

中村理恵さんは植物が大好きです。
子どもの頃から「大きくなったらお花屋さんか絵描きさんになりたい」と言っていたそうです。どちらも実現させてしまったのですが。(お花屋さんで働きながら今ではフラワーアレンジメントの講師としても活躍しています)

どんな時も緑がそばにあれば生きていけると思うほどです。
記憶が飛ぶほどの時期にも植物は身近にあった。

なんでこんなに緑が好きなんだろうと考えてみる。
植物の生命力を感じると、自分の中にも生きていこうという力が湧いてくる。

何かの加減で緑からしばらく遠ざかると緑のそばに行きたいと切実に思うそうです。緑が無い生活は中村さんには考えられない。

植物が持つ生命力を絵の中に描きこみたい。
どんな辛い時も自分を奮い立たせてくれた緑の力が描けたらいいな。描きたいな。それが中村さんの絵を描き続ける理由。

「夏水仙」
これも彼岸花の仲間です。
なぜこの種類に魅かれるのかなと、今は想いを巡らせているところです。
いつかその答えにたどり着ける日が来ると私は信じています。答えが出るまでたくさん彼岸花の仲間を描いてほしい。絵描きさんは描くことでしか答えにたどり着くことはできないし、それが一番いいのだと思っています。

刻ー中村理恵日本画展

「刻」
この個展のDMに使われた絵です。

20年以上前に、実は正確にいつ描かれたか不明な絵です。
中村理恵さんは年齢的に記憶が曖昧と言うわけではないのです。そこには深いわけがあります。この絵を描いた前後10年、それ以上に時間が経っているのかもしれませんが彼女にとって大きな出来事それもあまり嬉しくないことが起こりました。そのころの記憶が飛んでしまうほどの出来事が約10年の間に2回も起こった のです。理不尽な別れ。

彼岸花を描き始めてこの花には「再開」と言う花言葉があることを知りました。
この絵は二枚で一対です。二枚の絵は繋がっています。そしてなんと左右を入れ替えても繋がるように描かれています。写真の並びだと2匹の蝶はそれぞれ反対を向いていますが左右を入れ替えれば向かい合います。

理不尽な別れはいつか「再開」する。

必死になって夢中になって描き上げたこの絵のたくさんの記憶はほとんど飛んでしまった。でもこの絵があったから生きてこられた。これからもこの絵とともに中村理恵さんは絵描きとして生きていきます。

そういうわけでこの絵は非売とさせていただきました。

*理不尽な別れについての具体的な質問はSNSでも会場でも一切お受けできませんことをご承知おきください。その経緯(事情)は中村さんの絵の本質ではないとプリズムは判断しています。