
私の知識不足かもしれませんが、佐々木悟郎さんが植物だけを描くのをあまり見たことがありません。
好きだな。こういう静かな植物画。
図鑑じゃないから実際の色に忠実ではないけれど、そこに悟郎さんの感性が見える。構図だって自然界にこういう並びがあるわけじゃない。
園芸家や華道家が見せる花の見せ方とは全然違う佐々木悟郎の植物への眼差しがある。
情緒的にならず、かといって冷徹ではない。
アンティーク小物を描く時のように対象物への愛おしさがそこには描き込まれている。
こんな絵と暮らしてみたい。

WHITE MATES bldg.1F 1-14-23Izumi Higashi-ku Nagoya Japan Phone052-953-1839

私の知識不足かもしれませんが、佐々木悟郎さんが植物だけを描くのをあまり見たことがありません。
好きだな。こういう静かな植物画。
図鑑じゃないから実際の色に忠実ではないけれど、そこに悟郎さんの感性が見える。構図だって自然界にこういう並びがあるわけじゃない。
園芸家や華道家が見せる花の見せ方とは全然違う佐々木悟郎の植物への眼差しがある。
情緒的にならず、かといって冷徹ではない。
アンティーク小物を描く時のように対象物への愛おしさがそこには描き込まれている。
こんな絵と暮らしてみたい。

「Something Old and New」
タイトルの通り新しい作品古い作品・新しい物古い物・新しい何か古い何か新旧取り混ぜた構成の展覧会です。
中部地方の風景は30年ほど前の愛知の銀行のカレンダー用にに描いたシリーズです。10年ほど続いたと言いますから120点は描いたのでしょう。今より描くのが早かったそうでそれほど描き込んでないとのこと。描き込まないで絵にするのも作家の個性です。色合いも今より柔らかな感じがします。
先日このカレンダーで悟郎さんの絵のファンになったとおっしゃる方がいらっしゃいました。色もモチーフも今もずっと好きでいてくださるようでした。それも嬉しいことです。
それにしても日本人はなぜこうも富士山が好きなんだろう。確かに美しい山だと思う。でもそれだけではないような気がする。スペイン人はシエラネバダの山々にこんな思いを持つのだろうか。

この個展では数点のコラージュ作品があります。
佐々木悟郎さんはイラストレーター。
依頼された題材を悟郎絵に仕上げるのが仕事です。
だから描き始める前に完成した絵が見えている状態で描き始めるのだそうです。
コラージュの場合集めたパーツを机の上であーでもないこーでもないと納得のいく画面ができるまで動かしていく。レイアウトが決まるまでの過程は面白い。
この作業はイラストレーターとしての頭の中のリセットともいえるそうです。
そうやって作ったコラージュのアイデアをイラストレーションにも生かしていく。このパーツのレイアウトをこの絵の中に描いていったのだなとわかる作品も何点かあります。
そんなことを知ってこの個展を見るとまた違った面白さが味わえます。

この個展のために冊子を作ってくださいました。
「PRISM WORK BOOK GORO」
プリズム展のためのアイデアを描き貯めたノートを冊子にしたものです。
悟郎さんの右手に持っているのがアイデアノート左手が冊子です。
実際のノートには無い作品も数点入ったサービス冊子でもあります。(1,000円)
じっくり読んでいただくと制作の真髄がぐっと迫ってきます。
アメリカで身に着けた英語の力を持続させるために日ごろから英語で日記を書いたりしているそうですが、このアイデアノートも英語の文章が入っています。そちらも是非読んでくださいね。

佐々木悟郎さんのイラストレーションにはアンティーク小物を描いたものが度々登場します。この絵もその1つです。
レトロなアメリカン・ヨーロピアンはおしゃれです。
モデルになった小物は悟郎さんのコレクションでもあります。どれほどたくさんお持ちなんだろう。ショップで矯めつ眇めつしている悟郎さんを想像するとなんだか微笑ましい。
吟味に吟味を尽くして持ち帰った小物たちをおうちでもきっと愛でて愛でて愛でているのでしょう。そうして絵にする。
アンティーク小物としてお買いになったものもあるし、なんとL.A.に住んでいた時に買った生活用品のパッケージもコレクションの1つになっています。
絵とともに実物も展示してあるものもありますので、観てください。
この絵に描かれているマッチもミニカーもあります。
ほぅ、こうなるんだ。

今回の佐々木悟郎さんの個展のDMに使われた絵です。
悟郎さんは日本の芸大を卒業してからアメリカはロサンゼルスのアートセンターにイラストレーションの勉強のため留学をしました。
どれほどたくさんの大きな夢をいだいてアメリカに向かったことでしょう。
この絵にはアメリカ行きの飛行機・アメリカでの住まい・学びの地・街のビル・乗っていた自動車を詰め込みました。
そのままアメリカに残りたいと思ってはいたものの、夢はどれも叶うというものではなかった。
あの時の自分と今の自分との距離を測るようにあの時を描く。
・・・あれ?また前回の百瀬博展とリンクする。
百瀬さんとスペインの距離、悟郎さんとL.A.の距離。
時間は芳醇な熟成を助けることもある。
「Something Old and New」
これがこの個展のタイトル。
最後までにその真髄を見つけていただけたら嬉しいです。

「百瀬博絵画展」は本日(5月24日)最終日です。
2026年現在の百瀬博さんの心を見ていただきました。次回は2028年5月18日が入った会期に個展を開いていただきます。2年後の百瀬さんの心はどんなふうになっているのか待っていてください。
プリズムの次回は5月28日(木)-6月7日(日)*火曜休廊「Something Old and New佐々木悟郎のイラストレーション」です。5月30日(土)午後5時からアーティストトークも開催されます。(予約不要・入場無料)是非お出かけください。

もうお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この個展で一番今までと違うところは色です。
搬入の日、色のトーンがいつもと違うことに驚きました。サーモンピンクや優しいブルーをバックに使うことが多かった。ご覧の通り今回だってたくさん使われているのですが、ぐっとトーンが落とした色になっているのです。
これまで以上に色にはこだわったと百瀬博さんは言いました。
今までは「こんな感じでいいかな」と大まかな色出しでよかったのだそうですが、今回は微妙な色合いも今の気持ちと合っているかどうかとても気になって手を入れたのだとか。色の種類は一緒でもトーンを落としたくなったともおっしゃいました。
なぜかはわかりません。うがった見方をすれば年齢?と思ったりしますが人の心はそんなに単純なものでもないし、案外単純なところもあるし。
これからだってきっと何かが変わっていく。
変わっていく何かを見つけ続けられることは嬉しいことです。

80号の大きな絵です。この個展では一番大きな絵。
「この絵が描けたのがこの個展で良かったこと」と百瀬博さんは言いました。
3人の天使の顔が全部違ってどれも描けた満足感があったそうです。
この感覚はきっと本人でなければわからないことなのかもしれません。
百瀬さんの言葉が今は私の中でうまく理解できていないなと思っています。もう十分理解できている方もいらっしゃるのだろうけれど。だから私はこの言葉だけを忘れずにいられたらいつかわるかもしれないとも思っています。
今日紹介している絵にも関係がありますが、天使が着ている衣装、これはみち代さんが古布の洋服の作家をしているときに制作したものの中で今もご自宅に残っているものや写真に残っているものを参考にしています。個展の絵を描き始めたころに「今度の天使にはみち代さんの作った服を着せたいと思っている」とおっしゃいました。
もともとみち代さんがプリズムの作家だったこともあり、古布の丈夫な所を小さく切って繋げてポイントにしていたことも懐かしい。天使の衣装の裾はそんな工夫ポイントだったんです。
やっぱりみち代さんと一緒に絵を描いたという実感がこの絵にもたくさんあるのだろうな。緑や赤の服はなかったけれど、これはやっぱりみち代さんデザインの洋服です。
博さんにしかわからないこの絵の満足感があってもいいなとも思うのです。

自画像を描くのは初めてではない。今までは何かに不満を持っているかのような険しい顔しか描けなくてとても展覧会に出す気にはならなかったと百瀬さんは言います。
穏やかな顔に描けたので今回は出品してみようと思ったそうです。もちろん自画像は初出品。
いつも穏やかでいる百瀬さんしか見たことがないのでやや意外な感じのコメントでしたが、本人にしかわからない本人が嫌いな部分が過去にはあったのかもしれません。そう思うと過去の自画像も見てみたいと私の野次馬根性が頭をもたげます。
怒りっぽいおじいさんの話がたまにネットでは騒がれたりします。ずっと穏やかだった人。ずっと怒りっぽい人。前は穏やかだったのに怒りっぽくなった人。怒りっぽかったのに穏やかになった人。その理由はいろいろだろうとは思います。病気で怒りっぽいには気の毒に思いますが、「丸くなったね」と言われるのは悪くない。
百瀬さんのように自画像を描いてそれを自覚する75歳は絵描きとしてとてもいい時間を過ごしてきたということですよね。