小西雅也ーもう一度観てほしい、この1点。

私的ロードショー 『明日に向かって撃て』
映画をテーマにした個展の時の作品。この映画は従来の西部劇の概念を崩す映像感覚、洒落た音楽、主人公たちの生き様など、今も変わらない魅力があります。
この絵は映画の1場面を描きましたが、コラージュの技法を多用して、ポートレイトとしてではなく、絵画作品として仕上げました。この映画にも共通する、どこか古めかしい表現と新しさとの融合を意識してみました。主演の一人、ロバート・レッドフォードが昨年亡くなって、自分にとっても名実ともにこの映画は「伝説」になりました。
(小西雅也)

シンガーでもある小西雅也さんは映画が大好き。ライブでは映画音楽もたくさん歌ってくださいます。大好きなものを大好きな絵と歌でまた表現。愛の深さを感じます。

小山恵ーもう一度観てほしい、この1点。

「茶運び人形」
からくり人形には、神様に捧げる舞を踊る神聖なからくり人形と、人々が愛でるための愛らしい座敷からくり人形とがあります。
本作は、座敷からくり人形の中でもポピュラーな茶運び人形です。
動く人形が持ち合わせた、生命を模した不可思議な、愛らしくもシュールな、からくり人形という存在。
その濃厚な魅力をなんとか表現しようとした一作です。
(小山恵)

からくり人形に対峙する小山恵さんの姿勢はここからさらに深まっています。
プリズムでの個展はまだ1回だけですがこれからがとても楽しみです。きっとずっと描き続けるモチーフになるはずのからくり人形。

久野晴美ーもう一度観てほしい、この1点。

昨年、スペースプリズムで木版画の個展を開催しました。正倉院柄からイメージした小さな作品を、たくさん壁に貼り展示しました。手元に残った気に入っていた作品を額に入れ再構成しました。
(久野晴美)

たくさんのモチーフピースを木版画で制作しプリズムの壁いっぱいに張り込んだ展覧会場の作品構成は他に類を見たことはありませんでした。
手元に残った木版画ピースを再構成して額装するのもやってみたかったことだったそうです。

高北幸矢ーもう一度観てほしい、この1点。

大好きなチューリップ、花の重みで美しく垂れた茎のカーブが巧く描けたと思える一枚です。
スケッチ画が好きで、そこから鉛筆画へ発展させた頃の作品です。
この度の展覧会のためにあらためて背景に手を入れました。
(高北幸矢)

今回出品作品に加筆はOKと言う条項がありました。時間が経つと見えてくるああしたいこうしたいを封印する必要は無いと考えたからです。

溝渕美穂ーもう一度観てほしい、この1点。

「四時半ごろ」
近所を散歩していて、あ、好きな感じ、と、ツンときた家。ブロック塀のある普通の昭和感。好きポイントは青い物干し台。気になるこの佇まいを絵にしよう。
描いたのは2010年。世の中がこんなにも激変するとは微塵も想像していなかった頃のことだ。
今の自分はどう?内側を覗いてみるが、なんだ、そう変わってはいないみたい。それでいいことにする。
またツンとくる、に出会いたくて散歩に出かける。
(溝渕美穂)

いいなと思うこと。これがいい、これでいいと思うこと。
正直な気持ちを絵にするということは、自分とちゃんと向き合うこと。
絵には作家の人柄が出るってそういうこと。

 

建部弥希ーもう一度観てほしい、この1点。

全面絵画「ゆらめくカタチ」
制作年:2023年
素材:キャンバス・油彩・水性アルキド樹脂絵具
サイズ:17.2×13.3×7cm

■コメント
全面絵画での個展開催のきっかけは、前年の2022年に作った手のひらサイズの4個だった。手の中でも愛でられ
る作品として制作していた為、個展に際し大きなサイズへの挑戦は試行錯誤の連続であった。縦横の比と厚みと
のバランスがしっくりきたのがこのくらいのサイズを制作した時で、その後さらに巨大にしていく際の目安になった
のを覚えている。上下も表裏もないので、置き方により様相を変えるカタチを楽しんでもらいたい。
(建部弥希)

「全面絵画」という新たな視点で絵を描く。
絵を書くこと以上にその視点を文章化することは困難を極めただろうと思う。それでも文章化することはこの新たな視点を言葉として曖昧なまま制作を続ければ立体に絵を描く作家と同じ括りになってしまう。書いた制作の視点はすぐに英語訳中国語訳にした。記すことが大事になることもある。

音部訓子ーもう一度観てほしい、この1点。

「BODYは語る・命は踊る」
2023年、スペースプリズムで個展「ノーベル文学賞受賞作品装丁+
ルーブル美術館招待作品」をいたしました。
今回はルーブル美術館招待作品の連作3点の中の1点です。
「BODYは語る」は以前から取り組んでいるテーマで、東京で個展をし
た時に150cmx150cmの大作を5点連作で展示しました。
人間の喜怒哀楽、感情や想いを身体で表現した時の動きに魅了されます

一人一人の自己表現として、様々な表現方法で身体を屈指し踊るが如く
舞う姿は尊く美しく悲しい。
そして、見えないところにこそ描きたい何かがあると波動を探し彷徨い
続けています。
到達点は無く長い長い道のりです。
(音部訓子)

私もBODYシリーズが大好きです。
このシリーズで源氏物語を描いていただいてからどのくらい時間がたったのでしょうか。その前から描き続けているシリーズですがその都度新しい発見があることが嬉しい。

服部純栄ーもう一度観てほしい、この1点。

「懐郷」
出生地はあるが故郷は無い。子供の頃、とにかく引っ越しが多かった。不安と緊張感を常に抱えて焼き付けなければならなかった情景の記憶は断片的であり、しかし鮮明である。黒い海、路地、石階段、鉄工所、商店街の金魚屋、百貨店の屋上、踏切、公園の遊具・・・そして赤い色。
この絵を描いた頃、それらを繋げたら故郷が見つかると思ったのかもしれない。
傍らに赤い毛糸を偲ばせて描いた6点シリーズの1点。
(服部純栄)

温度・湿度・匂い・音
ほんのちょっとした空気の流れまでを含めて「気配」というのならこの絵には気配まで描き込んである。しかもけだるいほどの日常の気配。だからこそそこに危うい未来を予感させる。

石本真裕子ーもう一度観てほしい、この1点。

『ひとつの空』
空にはためく万国旗を、自由に羽ばたく鳥の姿に重ね描きました。
自由と平和を象徴する鳥はよく私の作品に登場します。
四つ切り画用紙に際限なく浮かんでくる鳥たちをクレパスで無心で描いた感覚を
今でも鮮明に覚えている作品のひとつです。
(石本真裕子)

「無心に描く」
それは画家にとってかけがえのない時間、なはずなのに別の事に気を取られたり、無心ではあったが出来上がってみると何か物足りなかったり。その時間も絵も満ち足りていた会心の作。そうたくさん描けることなないのかもしれません。

加藤鉦次ーもう一度観てほしい、この1点。

“花シリーズ”よりの1枚
やはり風景作家でした。花を描きつつ“花のある風景”なのだと。描きたかったのは、花にまとわる空気だったと思います。
大作中心で小品はあまり手がけて来なかった作者が、プリズムでの個展数回を通してテーマが広がり、勉強になったとしみじみ申しておりました。そして制作中も会期中も悩みつつも楽しんでいた様子。プリズム作家皆様との交流も心なごむ時間でした。感謝!
(加藤素子=加藤鉦次夫人)

昨年10月に逝去された加藤鉦次さんの作品です。
プリズムにとってほんとうに大事な方を亡くしました。プリズムでは最後の展覧会になるかと思います。
鉦次さん、ありがとうございました。