パイン姐さんー加藤茂外次展

しゃれたたたずまいの作品の中でひときわ異彩を放っている作品がこれです。

「加藤さんこういう絵も描くんだ!?」と何人ものお客様から声がかかります。

こういう方向に行くことがいいのかどうかはわかりませんが、肩の力を抜くことはきっと大事なことなんだと思います。

肩の力を抜くことと適当にやることとは全然意味が違いますが、本人にとってみればその見極めってきっととても難しい。

それは作家に限ったことではありません。どんな人にも言えること。

Cちゃん(加藤茂外次さん界隈の方)に似てるともっぱらの噂です。

アンモーンー加藤茂外次展

「アンモーン」とは隠れた者と言う意味らしい。エジプトの太陽神のことなのだそうです。

羊の角と同じ形の角を持つ神。「アンモナイト」の語源でもあるそうです。
画面右下あたりにアンモナイトのようなものも描かれています。

古代へのロマンを感じる作品です。遠い昔。そこへは行くことはできないからこその甘い感傷。

「アンモーンの樹」という楽曲があります。興味のある方は調べてみてください。その曲を聴きながらこの絵を観るのもいいですよ。

夕凪ー加藤茂外次展

ウォータレスリトグラフの作品です。
先日紹介したウォータレスリトグラフの作品は色味を押さえたものでしたが、これは色の存在が大きい。

まさに美しい夕凪の穏やかな風景です。

で、この作品の海や街の美しい色のことなんですが、その部分はリトグラフではありません。そこはシルクスクリーンで刷られているのです。
つまりこの作品は正確に言うとウォータレスリトグラフとシルクスクリーン版画という2つの技法で制作されているということになります。

版画のことならなんでも知っていてなんでもできる加藤茂外次さんだからできた作品なのです。それぞれの技法の良いところを作品に生かしていく。あまり聞かないことだけど面白いですね。実は先日紹介したリトグラフにも一部シルクスクリーンで制作されていたのでした。

カイゼルベルグー加藤茂外次展

現在一番人気の作品です。
版画なので複数枚用意があります。

なんでわざわざこんなことを書くかと言うと、お客様の中に「これは赤丸が付いているのでもうないのですよね」と尋ねる方が案外いらっしゃるからなんです。

ついでに版画についている分数の意味を書きます。これは良く知られていることなので知っていらっしゃる方は飛ばしてください。

版画作品ではだいたい左下に1/5とか3/25などの分数のような表記があります。これはエディションナンバーあるいはシリアルナンバーと言われるものです。分母に当たる数字が刷った枚数。分子に当たる数字が通し番号です。刷った順と言う方もいらっしぃますがだいたいはする作業に没頭していてそこは順番通りとはいかないものらしいです。

分母のあたる数字は変えてはいけないのがルールです。最初に5枚と決めたなら5枚までは刷ってもいいけれど8枚も10枚の刷ってはいけません。1/5が世の中に2枚も3枚もあってはいけないのです。このルールを破る作家は信用されません。

ただし版画にはa.p.とかe.a.と表記されたものがあります。
a.p.は英語で「artist proof」e.a.はフランス語で「epreuve d’artiste」。どちらも作家保存と言う意味です。これはエディションナンバー外のもので数に決まりはありません。エディションナンバーの管理が大変だから全部作家保存にしてしまう作家もたまにいらっしゃるのは事実です。

他に非売h.c.や試し刷りt.p.なるものもあるそうですが、私は見たことがありません。

版画の豆知識でした。

風の絆-加藤茂外次展

この作品だけは新作ではありません。
30年ほど前に制作したものだそうです。
当時コンペに出したまましまってあったのを最近掘り出してきたのだけど、あまり人前に出していなかったので今回見ていただこうということになりました。

「30年前も今もたいして進歩していないなぁ」と本人はおっしゃるけれど・・・。30年前と言うことは加藤茂外次さんが40歳になるかならないかと言う頃です。技術的には技法の習得も完成された頃だっかのではないでしょうか。

作品とは技術だけのことではない。技術の習得があってこその深みが出るのだから言葉通りを受け取るわけにはいきません。加藤さんの謙遜の言葉と捉えています。

そこからどうしていくのか。それは作家としてそれ以降の大きな課題となっていくはずです。

他の作品はすべて近作です。
そういう構成なのだと思ってこの展覧会を観ていただくのも面白いのではないでしょうか。

オルレアンのJD-加藤茂外次展

「・・・JD」って何?
加藤茂外次さんは「女子大生」と寒いギャグを飛ばしていますがそんなわけはなく「ジャンヌ・ダルク」です。

馬に乗って凛々しく戦いに赴くジャンヌ・ダルク。
気高い心を持つ人をその当時の絵のようにエッチングで制作しました。

エッチングは私の浅い知識では銅板をニードルで線を彫ってその溝にインクを入れて紙に刷って版画にする。簡単に言えばそういう工程です。

そう、浅い知識ならそんなところなのだけど、それなら線だけの表現になるはずです。ところがよくよく見るとニードルの線では説明のつかないところがいっぱいある。一番わからないのがクレヨンで描いたような部分がある。

先ほど溝にインクを入れてって書いたけど、溝を腐食させて深さを調節することも版画の世界では技がいるらしい。
銅板だから酸に漬けて腐食させるのだけど、酸が付かないようにカバーすればそこは腐食されないということになる。建築用のクレヨンで描けば描いたところは腐食されないのでインクが入らず白く残る。白のクレヨンで描いたように見えるというわけです。これは他にもやっている作家がいるかもしれないけれど、一応加藤さんが独自に開発した技なのだそうです。
馬のお尻のあたりがその技で表現した部分です。よく見てください。

う~ん!

まだまだこれなんだろうがきっとでてくるんだろうな。

陽光・ヴィエステー加藤茂外次展

ヴィエステはイタリアの街です。
加藤茂外次さんはコロナ前にはヨーロッパにたびたび出かけ取材をしていました。今回の個展ではそんな旅先でのスケッチがたくさん出品されています。

この作品はDMに使われていますので、今回の顔ともいえる作品です。

技法はウォータレスリトグラフ。リトグラフは版を作るとき「彫る」ということをせず描くのとほとんど変わらない線が表現できます。そのなかでウォータレスはまた最近開発された簡易な方法なのだそうです。簡易と言ってもそれまでのように水を大量に使わないということでやっぱり子供でもできるということではありません。

作品を観ていると、鉛筆やフェルトペンで描いてあるように見えます。線が活きていると言われる所以です。
ラフなタッチが旅先の高揚感をさらにリアルに伝えてくれます。

コロナの不安も少し癒えてきましたので、こんな異国の地に身を置いてみたい気分になりますね。

加藤茂外次展ー風の行方23

プリズムでの個展も3回目になりました洋画家であり版画家でもある加藤茂外次さんの展覧会です。プリズムでは版画を発表してくださっています。

加藤さんの技法は多岐に渡っていまして、木版画もシルクスクリーンもエッチングもリトグラフも・・・・、どれもできるし、どれも制作します。
今回は2つの技法で構成されています。エッチングがほとんどでリトグラフが2点ほど入っています。

いくつかの制作ポイントは日々のブログで紹介します。お楽しみに。

また、ほとんどの日加藤さんが在廊しますので是非直接お話をお聞きすることをおすすめいたします。

作家在廊日
11月23,24,25,26日12月1日      13:00-18:00
11月22日                  13:00-17:00
12月2日                 14:00-18:00
*11月27日のみ在廊できません。

11月25日(土)午後5時からギャラリートークをいたします。人数制限はありません。できましたらマスクなどご用意いただけると嬉しいです。

下駄ラボ・cocco+・滄空ーきものクリエーション3

着物生活では着物だけ持っていても着ることができません。
帯やら帯を締めるための帯揚げや帯締めも必要になります。履物も現代に暮らす人々にとって一般的な靴ではだめではないけれどそれはイレギュラーなこと。

確かに洋服が基本の現代人にとって着物を着るには各種のハードルを越えなければならないことは事実です。

まあここは楽しむしかない。ダメなことを数えるより楽しいことを思うことの方がいい。

こんな着物ならこんな下駄が素敵。
こんな帯ならバッグはこれがいいかも。
この着物と帯なら帯揚げにこんな色を持ってきたらスパイシー。

なんて着物生活を彩る「ぴんぽんまむ」の仲間たちも展覧会に出品してくださっています。下駄Lab.・cocco+・滄空のみなさんにも注目してください。

Hanyi-yaー石川真海きものクリエイション3

昨年も出品してくださいました一閑張バッグのHanyi-yaさん。

篭バッグを分解して和紙を張り込み作ります。一番上の浮世絵がポイントです。浮世絵だけでなく古いマッチを張り込んだものもありますが、いずれも古いものを使っていますから素材集めも大変です。

今年は無地のトートバッグ状のものも新作として予約販売しています。

軽くて水に強いのがウリです。

男性にはアタッシュケース型のバッグが人気。