
今日私は初めて手に入れたGokiのベストスーツで出勤しています。
約30年前のものです。
当時時々寄っていた服屋さんでそこのオーナーが「新しく立ち上げたブランドがあるんですけど観てください。Gokiっていうんですよ。」と見せられた数点。どれもおしゃれでかっこよく全部欲しいくらいでしたが一番気にいたこれに決めました。
Yhojiっぽくてかっこいい。その店の前を通れば新しいデザインが見られるかもと足しげく通ったものです。
ある日「そんなに好きならデザイナーに会わせてあげようか」と夢のような話。乗らないわけがありません。
今も年2回開催されるバイヤーさん向けの展示会に連れて行っていただきました。会場に飾られている服はどれも斬新で構築的でかっこいい。Yhojiっぽくはあるけれど。
デザイナーのGoki(加藤裕之)さんにも会わせていただきました。本人もYhojiっぽい。聞けばYhoji Yamamotoに憧れて名古屋モード学園で懸命に学びついにYhoji社に入社したという経歴を持つと言うではありませんか。地方の学校からあの世界のYhoji Yamamotoに入社するなんて並の力ではできないことです。
Gokiさん、車いすユーザーでした・・・。
Yhojiさんのもとで全身全霊で仕事をしてきたけれど、事故にあってしまったんです。後ろ髪どれだけ引かれたのか、失意の帰郷は想像に難くありません。
そんなGokiさんの状況を悔しく思っている人がGokiさん以外にもいたんです。それが30年以上も苦楽を共にしてきたGoki社の社長松岡哲史さんでした。
初めて訪れたGoki社には鋭く美しいデザインとGokiさんをサポートする深い愛情に満ち溢れていました。私にも何かできないだろうか。私にできるのは展覧会しかない。展覧会にしたい。
初めGokiさんはうんと言ってくれませんでした。彼はコレクション発表ならファッションショーしかないと言います。展覧会は違うと考えていたんです。
私はその数年前に今は無き青山の東高現代美術館で観たISSEI MIYAKEのPLEATS PLEASEの話をしました。何度もしたと思います。新しい形のコレクション発表だと説得しました。
やっとGoki展が始動できたのです。
今日着ているスーツは30年前のものですがデザインは全然色あせていません。
上質な平織りウールの裏地はなんと白の綿。さすがに裏地は若干シミがありますが外からは見えないのでOKです。
ベストの裏地はリバーシブルかと思うほど丁寧に付けられています。こういうところが30年前の高い縫製技術なんです。
スカートの裏地も同じ白の綿です。スカートのプリーツが1.5㎝と浅いうえにスリットもないので歩きにくいと不評だったそうですが私は全然苦になりませんでした。
これからも大事に着続けたい1点です。この会期中にまた着てきますね。
