HOKUSAI

情けない話で何とも言い訳でしかありませんが、ずっと映画館が怖かった。
映画好きの皆さんからはさんざん映画館の換気は基準がもともと厳しかったのだから感染の心配はないと聞かされていましたのに。そうだろうなと頭ではわかっていたのですが、暗い閉じられた空間というだけのことでイメージとして心が拒絶していました。

「HOKUSAI」もう天岩戸の前で天宇受売命(あめのうずめのみこと)の踊りを一目見たくなって天照大神が気を許した、というほどおおげさではないけれど、この映画は見逃せないと、ほぼ1年ぶりに映画を観てきました。

内容についてはいろいろありますが、2つ心に響くポイントがありました。

1つは蔦谷重三郎が北斎に「お前は何で絵を描くのか」問うたこと。
若き北斎はその問の答えを見つけるためにまさに七転八倒するのです。もちろん結果はその答えを見つけ絵を描くことに壮絶な邁進をするのですが・・・。

「何で絵を描くのか?」
絵を描く人はみんなその答えを知っているわけではなく、北斎ほどの絵師でもその答えを見つけるのに死ぬほど苦しむ。最後までたどり着けない画家だっているに違いないし、そんな問に答えを見つけようとしたこともない画家だっているかもしれない。本当はものすごく深い問なんだけど。

2つ目は、老年期の北斎を演じた田中泯の体の動き。
世界的ダンサーでもある田中泯だから、心情を体の動きで表現するのだが、ダンサーを越えて、俳優としての動きの中でダンサーとしての感覚を持っているのが素晴らしかった。考えずとも筋肉が反応している感じ。それもダンサーを前面に出さないように動く。美しすぎない動き。場面によってはダンサー田中泯になっているところもあったが、こちらの見たいという気持ちも満たしてくれているようで満足でした。

観に行くべきかどうかはそれぞれが求めるものによると思うので、〇でも×でも△でもない。

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