
この展覧会はインスタレーションですから、「見え方」がとても重要です。
どう見えるかを何回かギャラリーが空になっている状態の時を見計らってテスト展示をしました。
プリズムの床とメインの部分がどうもしっくり馴染まない。
床がそっぽむいているようなというか、木で鼻をくくったようなというか、とにかく作品がしらッとして見える。
どうしたものか、山内寿美さんは頭を抱えてしまいました。
別の布をかませる案、和紙を敷く案・・・
何だか違う。
最終的に廃棄する石油製品の綿のようなものがあるので飾りつけの時に持ち込んでみることになりました。それが写真の綿のようなものです。
ビジュアル的に床に馴染ませることばかり考えていたので気づかなかったのですが、布も和紙もこの作品のコンセプトに合ってなかった。
「身に着けた物」と「石油製品」で汚染物質を取り込んで「進化」するというコンセプトに反するものが合わないのは偶然ではなく必然だった。
制作の上でふと見失ってしまっていたことを素材がちゃんと教えてくれたいい例となりました。ちょっと恥ずかしいことを暴露してしまいましたが、山内さんがちゃんと心のアンテナを張り巡らせていたから間違わずに済んだことなのだと思います。
