風景の中に人がいることはありますが、人物が中心のスケッチは今回この1点だけです。
時を違えて描いた雲南省の2つの少数民族の女性の姿です。
人物というより民族衣装のためのスケッチです。
美しい衣装です。
鈴木喜家さんは人が着古した衣装に時間や心を見る思いで魅力を感じるそうです。一部をを買い求めたりもしました。
当時その人々にはなかなか現金収入を得る機会がなく、衣装が欲しいというと喜んで売ってくれたそうですが人々にも序列がありそれを乱すとちょっとした小競り合いまでおこったのです。中には新品はもっと高く売れると思いそれを買ってほしいと言う人までいたとか。
買うのは絵描きさんたちなので他の観光客のような感性ではなかったのですね。
鈴木さんが買ったのは左の絵の方が被っている帽子のような飾りで、錫でできた飾りはシャラシャラと涼やかな音がして軽かったそうですが、どれくらい使ったものなのか日本に持ち帰ると匂いが凄くて閉口したそうです。
誰かが使ったものには使われてきた歴史が見え隠れします。そのストーリーを思いながら描くから絵に魂が宿ります。そんなことは彼らにはとんと興味もなく、できれば新品を高いお金で買ってほしかったのですね。