スケッチ(写生)は日本画において下準備というにはあまりに大きな意味を持っています。
そもそも日本という国の風土は四季がありそれは生活をするうえでも大きなキーポイントでもあります。必然的に日本の文化にも大きくかかわっています。
日本画もしかりです。
四季は自然の中に溢れています。日本画は自然の理(ことわり)を表す芸術とも言われていて、それはスケッチをすることでできる自然との対話の中で作家が体得するものだと考えられています。日本画の学びはスケッチをどれだけするかだとも言われている由縁です。スケッチは単に下絵の素材となるだけのものではないのです。
鈴木喜家さんも膨大な量のスケッチを描いてきました。
この「黄河石林」はどちらも横長のスケッチですが、上の絵でスケッチブック6ページ下の絵で4ページを繋いでいるのが写真を拡大すると見えると思います。
こんなふうにその場でつなぎ合わせても描きたくなったことがよくわかります。
作家にとっては画家として本画に対する準備であり、また画家としての修練で描いたであろうスケッチに今私たちはその場で画家鈴木喜家が場から得たエネルギーを自分のパッションとして画面に落とし込む臨場感を味わうことができます。