小山恵さんにとって曼殊沙華(彼岸花)もからくり人形に匹敵するくらい重要な存在だそうです。
一本の曼殊沙華も繊細で完璧な美しさを見せてくれますが群生しているときに放たれる朱赤の塊には我を忘れて見入ってしまうそうです。
毒があるから触ってはだめだと子供の頃大人に言われた人は多いと思います。そんな経験がこの花の怖さに繋がっているのだろうけれど、「毒」「だめ」というワードはかえって子供の心に怖いもの見たさの心を育ててしまう。怖いものをそっと見てみたら、それは別の世界に連れ去られてしまいそうな美しさがあった。大人の目を盗むようにして見た曼殊沙華はまたさらに美しさを増していた。
あの朱赤をシャープに柔らかく描きたいと日本画まで勉強するほど恵さんは曼殊沙華にのめり込んだ。顔彩なら自分が納得のいく朱赤がかけるようになりました。そしていつしか主に使っているアクリル絵の具でもあの朱赤のニュアンスが描けるようになってきたと言います。
曼殊沙華とからくり人形は恵さんの心の中では同じ意味合いを持ちます。
これからも絵の中に何度も登場することと思います。