九相図向日葵ー平塚啓Paper Art

「九相図(くそうず)」耳慣れない言葉です。
これは仏教絵画の1ジャンルです。
死体の変遷を九つに分けて描いたもので、見ることで修行僧の悟りの妨げとなる煩悩を払い現世の肉体を不浄のもの・無常なものと知る修行のための絵画なのだそうです。
煩悩を払うために絶世の美女とされていた小野小町の九相図は何点もあったようです。
ネットで調べてみると何点も観ることができますが、ショッキングな絵でもあるので閲覧注意とあることも多いように思います。案外科学者の目で事実をありのままに描いていたということがわかります。

美しいと言われる女性になぞり平塚啓さんは向日葵の花の九相図を作りました。
植物なので動物のような凄惨さ(あくまで一般的な主観です)がないのも作品制作のモチーフとしては選びやすかったのでしょうか。
何よりも大きな違いは平塚九相図には煩悩の払拭や無常を知ってもらうという目的は無い。

人の体も花も朽ち果てた先に未来を養っていくものがあるのも事実である。
前回の個展では大きな木の作品が会場にありましたが、これは彼のお父様の死に見た次の世代へ受け継がれるものがテーマでした。
九相図を制作する中で平塚さんが得たものは何だったのか知るのが明日以降のプリズムの楽しみです。

そして圧巻にもこの作品510時間という時間を費やしたことも書いておきます。

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