春風と修羅ー小山剛アクリル画展

人物画がかなり大きな位置を占める小山剛さんの世界ですが、この人物は少し異色な感じがします。厚塗りをしていないこともありますが、なによりも人物が真正面を向いていない。

「修羅の春」
修羅は激しい感情の表れ。私たちは「阿修羅像」で知ることが多いのであの厳しい顔を思い浮かべるかもしれません。
小山さんは宮沢賢治の「春と修羅」という詩に着想を得て描いたそうです。
わたしはとある美術館で観たドラクロアの絵を思い起こしました。

この絵にしても阿修羅像にしてもドラクロアの絵にしても、若者のピュアな感情の表れが見えます。長く生きていると人は丸くなると言いますが、丸くなったのは心の中から飛び出したばかりの新鮮で強い感情が人と人の間で揉まれて新鮮さも失いかけるということでもあります。あんなピュアな表情をかつて自分も持っていたのだろうか。そうだったらいいな。それはそれで苦しい時間でもあったはずだけど。

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