自分らしさとはー御囲章木版画展

先日来技術的な話ばかりになっていたけれど、最も大事は作品の本質的なことを掘り下げてみようと思います。

植物的なモチーフではあるけれど、植物を描いているわけではない。

自然界を見回してみると、植物が繁茂しているところではいろいろなことが起きています。成長の先がぶつかることがある。うまいことお互いが回避することがある。元々小さくしか育たない種のそばに大きな種が発芽して日陰を作り小さな種が絶えることもある。日影があるからこそ育つ種もある。同種の植物を見たって個体が持つほんのちょっとした生命力の差が生き死ににまで大きくかかわることだって自然界には当たり前のようにある。

人の世界にも似たようなことがあるのではないだろうか。
強面の人からはできるだけ離れていようとするし、仲良くできそうな人には積極的に近づこうとするではないか。

植物だって人だってそんなアクションには必ずエネルギーを必要とする。
御囲章さんにとってそれはとても興味深くおもしろいことだったから絵(版画)にしたのだ。

植物と人は全く同じだと言っているわけではない。ただ、どこか本質的に重なる部分があってそれが彼の創作の源になっているってことを知っていただきたいと思うのです。

カテゴリーNews