始まりは・・・ー林孝子雅羅素展

林孝子さんがガラスで作品を作り始めたのは間もなく50歳になろうとしていた頃でした。それまでしてきた仕事がひと段落したのを機会に、ガラスの加工が家業なのだからもっとガラスのことを知ろうとガラス作品を作る勉強を始めたのです。

夏だけではありますが、月曜日から金曜日までガラスの学校に行って勉強をし、金曜日の夕方から自宅のある岐阜に向かい日曜日の夜まで家業の仕事をし、日曜日の夜に東京に向かう。仮眠をとって月曜日の朝からはガラスの学校で勉強をする。それを3年続けた。長野の学校も行きました。

ガラスと言ってもいろんな種類がある。吹きガラスやステンドグラスやパートドヴェール・・・。

孝子さんが制作しているのはヒュージングと言う技法です。板ガラスを炉で溶かしてくっ付けて制作していきます。
孝子さんの家業は板ガラスの加工です。建材のガラスなので廃棄する端材の単位が大きい。廃棄されたガラスを材料に作品にするならヒュージングはぴったりだったし、性格的にも他の技法よりそれが良かったのだそうです。

ガラスは再生可能な素材です。
それなのに捨てられることも少なくありません。ある時ある建物を取り壊すことになりそこに使われていたクリスラスガラスのタイルも廃棄処分されることになっていました。それならばともらって帰って作品にしていったのです。

そうやって廃棄ガラスで作品を作ってもやっぱりその端材が出る。
最後は小さなアクセサリーを制作する。
建築資材を加工する炉で小さなアクセサリーを作るのは案外大変なんだそうだけど、それでも最後まで何かに作ってあげたいと思うのが孝子さん。ガラスへの思いの深さが素敵です。

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